データのバックアップと保護の概要
公開日: 2016年3月
対象: System Center 2012 SP1 - Data Protection Manager、System Center Data Protection Manager 2010、System Center 2012 R2 Data Protection Manager
バックアップの概要
データを DPM にバックアップすることで保護する対象の各コンピューターまたはサーバーに、DPM 保護エージェントをインストールします。 DPM 管理者コンソールで、保護する各データ ソースを保護グループに追加し、各グループについてバックアップ、記憶域、保有期間、および復元の設定を構成します。 バックアップするデータは、DPM によって次のように格納されます。
<Install Drive>\Program Files\Microsoft System Center 2012\DPM\DPM\Volumes\Replica — Replica フォルダーには、マウントされたデータのレプリカ ボリュームが含まれています。
<Install Drive>\Program Files\Microsoft System Center 2012\DPM\DPM\Volumes\ShadowCopy — DPM データベースのバックアップ コピーが含まれています。
<Install Drive>\Program Files\Microsoft System Center 2012\DPM\DPM\Volumes\DiffArea — データ ソースの回復ポイントを格納する、マウントされたシャドウ コピー ボリュームが含まれています。
DPM はデータを記憶域にレプリケートします。 DPM は、短期保存にはディスク、Microsoft Azure、またはテープを使用でき、長期保存にはテープを使用できます。
DPM がバックアップできるクライアント、サーバー、およびワークロードの詳細については、「DPM による保護とサポートの一覧」を参照してください。
同期の概要
DPM はバックアップを行い、ディスクにデータを同期します。 この処理中 DPM は保護されたサーバー上にあるデータのレプリカまたはコピーを作成して管理します。 DPM はこのレプリケートされたデータの回復ポイント (スナップショット) を作成します。 レプリカは、DPM サーバーまたはカスタム ボリューム上のディスクのセットから構成される DPM 記憶域プールに保存されます。
レプリカは構成した設定に基づいて定期的な間隔で同期されます。 データの同期中、変更は保護されたソースから DPM サーバーに転送され、それらのデータ変更をプール内のレプリカに適用します。 DPM では、これを実行します。
増分同期 - DPM はデータ ソースで変更された内容を確認し、レプリカでの差分変更を更新します。
増分同期 (整合性チェックあり) - DPM はデータ ソースで変更された内容を確認し、レプリカの追加のブロック レベル チェックを使用してレプリカでの差分変更を更新し、データの整合性を保ちます。
保護されるデータの種類により DPM が依存する同期の方法 - ファイルまたはアプリケーション データ
ファイル サーバー上に存在する保護する必要があるデータが、ファイル データです。これには、Microsoft Office ファイル、テキスト ファイル、バッチ ファイルなどがあります。 アプリケーション サーバー上に存在し、DPM が認識する必要があるデータがアプリケーション データです。これには、Exchange ストレージ グループ、SQL Server データベース、Windows SharePoint ファームなどがあります。
ファイル データの同期
ファイルベースのリソース (ボリューム、共有、フォルダー) について、DPM 保護エージェントは、ボリューム フィルターと変更ジャーナルを使用して、どのファイルが変更されたかを判別します。次に、これらのファイルに対してチェックサム処理を実行し、変更されたブロックのみを同期します。 変更は DPM サーバーに転送され、次のようにレプリカに適用されて同期されます。
次の点に注意してください。
レプリカに整合性がない場合、DPM はアラートを生成します。 これを解決するには、レプリカで整合性チェックありの同期を実行します。DPM はブロックごとの検証を実行し、レプリカを修復してデータ ソースとの整合性を回復します。
保護グループの毎日の整合性チェックをスケジュールするか、手動で整合性チェックを開始することができます。
DPM は構成可能な定期的な間隔で保護グループ メンバーの回復ポイントを作成します。 回復ポイントは、データを回復できるデータの 1 つのバージョンです。 ファイルの場合、回復ポイントは、DPM サーバー上のオペレーティング システムのボリューム シャドウ コピー システム (VSS) 機能を使用して作成される、レプリカのシャドウ コピーから成ります。
ワークロード データの同期
アプリケーション データの場合、レプリカが DPM で作成された後、アプリケーション ファイルに属するボリューム ブロックの変更をボリューム フィルターが追跡します。 変更を DPM サーバーに転送する方法は、アプリケーションと同期の種類によって決まります。
DPM 管理者コンソールの同期と表示された同期は、基本的には増分バックアップです。 それをレプリカと組み合わると、アプリケーション データを正確に反映したものが作成されます。
DPM 管理者コンソールの高速完全バックアップというラベルが付いた同期は、完全なボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) スナップショットが作成されていますが、変更されたブロックのみが DPM サーバーに転送されることを示します。
1 回の高速完全バックアップで、アプリケーション データの回復ポイントが 1 つ作成されます。 アプリケーションが増分バックアップに対応している場合は、さらに同期のたびに回復ポイントが作成されます。
ワークロードは、次の種類の同期を使用します。
Exchange - 同期は Exchange VSS ライターを使用して増分 VSS スナップショットを転送します。 各同期と高速完全バックアップごとに回復ポイントが作成されます。
SQL Server - 読み取り専用モードでログが配布されるデータベース、または単純回復モデルを使用するデータベースは、増分バックアップをサポートしません。 回復ポイントは高速完全バックアップごとにのみ作成されます。 他のすべての SQL Server データベースでは、同期がトランザクション ログのバックアップを転送し、各増分同期と高速完全バックアップごとに回復ポイントが作成されます。 トランザクション ログとは、最後にバックアップされた時点からデータベースに実行されてきた、すべてのトランザクションの連続レコードです。
SharePoint - 増分バックアップをサポートしていません。 回復ポイントは高速完全バックアップごとにのみ作成されます。
増分バックアップと完全高速バックアップの比較
増分同期は、高速完全バックアップほど時間がかかりません。 ただし、同期の数が増えるにつれて、データを回復するために必要な時間も長くなります。 これは、DPM が最後の完全バックアップを復元してから、回復するのに選択された時点までのすべての増分同期を復元して適用する必要があるためです。
より高速な回復時間を可能にするため、DPM は定期的に高速完全バックアップを実行します。この種の同期では、変更されたブロックを含めるようにレプリカが更新されます。
高速完全バックアップ中に、変更されたブロックでレプリカを更新する前に、DPM はレプリカのスナップショットをとります。 データ損失ウィンドウを小さくするためだけでなく、より頻繁な回復ポイントを有効にするために、DPM は 2 つの高速完全バックアップの合間に増分同期を実行します。
ファイル データの保護と同様に、レプリカのデータ ソースとの整合性がなくなると、DPM はどのサーバーとどのデータ ソースがその影響を受けたかを示すアラートを生成します。 この問題を解決するため、管理者はレプリカで整合性チェック付きの同期を開始してレプリカを修復します。 整合性チェック中に DPM はブロックごとの検証を実行し、レプリカを修復してデータ ソースとの整合性を回復します。
保護グループの毎日の整合性チェックをスケジュールするか、手動で整合性チェックを開始することができます。