パフォーマンスに影響を与える DPM 操作の最適化
適用対象: System Center 2012 SP1 - Data Protection Manager,System Center Data Protection Manager 2010,System Center 2012 R2 Data Protection Manager
System Center 2012 – Data Protection Manager (DPM) のデータの複製と同期のパフォーマンスを最適化するには、次のような複数の方法があります:
ネットワークの調整を構成する
データ圧縮を有効にする
同期の開始時刻に時差を設定する
オフラインで初期レプリケーションを実行する
高速完全バックアップのスケジュールを変更する
ネットワークの調整を構成する
ネットワークの帯域幅の調整では、DPM でのレプリカの作成や同期に使用できるネットワーク帯域幅の量を制限します。 調整によっては各同期ジョブの完了にかかる時間が長くなることに注意してください。 調整は既定でオフになっています。
ネットワークの帯域幅使用の調整を有効にするには
-
DPM 管理者コンソールで、[管理] ビューに移動します。
-
[エージェント] ワークスペースを開いて、調整するコンピューターを選択します。
-
[コンピューターの調整] をクリックします。
-
[調整] ダイアログ ボックスで、[ネットワークの使用帯域幅の調整を有効にする] をクリックします。
-
コンピューターの [調整設定] ウィンドウで、[営業スケジュール] をクリックします。
[!メモ]
作業時間と作業しない時間に関して別々にネットワークの使用帯域幅の調整を構成し、保護されているコンピューターの作業時間を定義できます。
-
設定を適用するには、[OK] をクリックします。
ネットワーク帯域幅の使用はグループ ポリシーでも制限できます。 ローカル コンピューターでグループ ポリシーが予約できる帯域幅の制限により、DPM を含む、パケット スケジューラを使用するすべてのプログラムで予約できる分量を合わせた帯域幅が決定されます。 DPM のネットワーク帯域幅の使用制限により、DPM がレプリカの作成、同期、一貫性チェックで使用できるネットワーク帯域幅の量が決定されます。 DPM の帯域幅使用量の制限が、単独または他のプログラムの制限との組み合わせで、グループ ポリシーの予約可能な帯域幅の制限を超える場合、DPM 帯域幅の使用制限は適用されないことがあります。
たとえば、毎秒 1 ギガビット (Gbps) のネットワーク接続を備えた DPM コンピューターのグループ ポリシーで予約できる帯域幅の制限が 20% の場合、パケット スケジューラを使用するすべてのプログラムに 200 Mbps の帯域幅が予約されます。 その後、DPM 帯域幅使用が最大 150 Mbps に設定され、インターネット インフォメーション サービス (IIS) 帯域幅使用が最大 100 Mbps に設定されると、DPM と IIS の帯域幅使用制限を合わせたものがグローバル ポリシーで予約できる帯域幅制限を超え、DPM 制限が適用されないことがあります。この問題を解消するには、ネットワーク帯域幅使用調整で DPM 設定を下げます。
データ圧縮を有効にする
圧縮によって、レプリカの作成や同期の処理中に送信されるデータの量が少なくなるため、ネットワーク パフォーマンスの低下を招くことなくデータ スループットを増やすことができます。 ただし、このオプションを使用すると、DPM サーバーと保護されたコンピューターの両方で CPU の負荷が増加します。 圧縮の量とネットワーク パフォーマンスの向上のレベルはワークロードによって異なります。
圧縮は保護グループ レベルで有効になり、レプリカの作成、同期、および整合性チェックに適用されます。 回復ジョブでも圧縮が使用されます。
送信中の圧縮を有効にするには
-
DPM 管理者コンソールで、[保護] ビューに移動します。
-
[パフォーマンスの最適化] をクリックします。
-
[ネットワーク] タブをクリックし、[送信中の圧縮を有効にする] チェック ボックスをオンにします。
-
変更を適用するには、[OK] をクリックします。
同期の開始時刻に時差を設定する
パフォーマンスを最適化するために、すべての保護グループの同期が同時に開始されないように同期ジョブの開始時刻をずらすことができます。 同期の開始時刻をずらすことによって、別の DPM サーバーの二次的な保護を最適化することもできます。
同期の開始時刻に時差を設定するには
-
DPM 管理者コンソールで、[保護] ビューに移動します。
-
表示領域で保護グループを選択します。
-
ツール リボンで [パフォーマンスの最適化] をクリックします。
-
[ネットワーク] タブをクリックし、[<time> 開始時間のオフセット] フィールドで同期ジョブの開始時刻に対するオフセットとして時間および分を選択します。
[!メモ]
オフセットの最大許容値は、同期の間隔と同じです。
-
変更を適用するには、[OK] をクリックします。
[!メモ]
開始時刻を変更すると、同じ時間だけファイルの回復ポイントがずれます。 この設定は、クライアント コンピューターの保護グループには適用されません。
オフラインで初期レプリケーションを実行する
保護グループを作成するとき、保護するデータの最初のレプリカを作成する方法を選択します。 自動オプションを選択すると、PDM はネットワーク経由でデータをコピーします。 ただし、手動でレプリカを作成するオプションを設定できます。 このオプションを選択した場合、リムーバブル メディアを使用してデータを手動でコピーします。 保護されたコンピューターのソース パスと DPM サーバーのレプリカ パスの詳細を把握しておく必要があります。 保護するデータと同じディレクトリ構造プロパティ (タイム スタンプとセキュリティ権限) を維持することが重要です。 大量のデータの場合、ネットワーク経由で複製するより、手動で複製する方が短時間で完了することがあります。 DPM を展開して WAN のデータを保護するとき、保護グループに 5 GB 以上のデータが含まれる場合、手動で複製することをお勧めします。
ソース パスおよびレプリカ パスの詳細を表示するには
-
DPM 管理者コンソールで、[保護] ビューに移動します。
-
DPM サーバーでレプリケートするデータ ソースを選択します。
-
ツール リボンの [詳細の表示] をクリックします。[レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスが表示されます。
-
参照用に一覧の表示内容をコピーします。 レプリカ パスをコピーするには、[レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスで行を選択し、Ctrl + C キーを押します。
保護されているコンピューターから DPM サーバーにデータ ファイルをコピーするには
-
[保護] ビューで、保護されているデータを選択し、[詳細] ウィンドウで [レプリカのパス] を探します。
-
[詳細] ウィンドウでレプリカのパスを選択し、右クリックしてコピーし、メモ帳などのテキスト エディターに貼り付けます。 パスは次のように表示されます。
<Drive:>\DPM\DPM\Volumes\Replica\Fileserver.mydomain.corp.myorg.com\File System\D-87a82ad4-f9d2-11d9-b758-000d561ae74f\e55173e1-0b7a-4fa4-b4d1-387ac2b016b8\3ed60b1c-dcf8-442e-b441-d771a3d7f014\Users
[!メモ]
このパスへのディレクトリは長すぎるため、Windows エクスプローラーでは変更できません。
-
ユーザー フォルダーにアクセスするには、次の手順を行います。
コマンド プロンプトで、「mountvol」と入力し、Enter キーを押します。
マウントされたボリュームの一覧で、適切なパスに対応するボリュームを選択します。 パスは次のように表示されます。
\\?\Volume{a2072784-7573-4dce-a7e9-26713fd12697}\
** <Drive:>\DPM\DPM\Volumes\Replica\Fileserver.mydomain.corp.myorg.com\File System\D-87a82ad4-f9d2-11d9-b758-000d561ae74f\**
ボリュームをドライブ文字にマウントするには、以下を入力します。
mountvol k:\ \\?\Volume{a2072784-7573-4dce-a7e9-26713fd12697}\
[スタート] をクリックし、[マイ コンピューター] をダブルクックして、[ツール] メニューの [フォルダー オプション] をクリックします。
[フォルダー オプション] ダイアログ ボックスの [表示] タブの [詳細設定] ボックスの [ファイルとフォルダーの表示] の下にある [保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない (推奨)] オプションをオフにします。ファイルを表示することを確定するために [はい] をクリックし、[OK] をクリックします。
これで、Windows エクスプローラーで手順 3 の完全なパスを参照して表示することができるようになりました。
-
ボリュームのマッピングに使用するドライブ文字の下にあるユーザー フォルダーにデータを手動でコピーします (この例では、K:\)。 ユーザー フォルダーのデータをすべて上書きします。
-
レプリカの場所にデータをコピーしたら、整合性チェック付きの同期を行います。 保護は、整合性チェック付きの同期が正常に完了した後に、開始されます。
-
コマンド プロンプトで、以下のように入力して、ボリュームのマウントに使用したドライブ文字を削除します。
mountvol k:\ /d
[!メモ]
Windows Server 2008 の場合は、管理者特権でコマンド プロンプトを開き、コマンドを実行します。
SQL Server、Exchange Server、SharePoint などのワークロード データを複製する場合、次の手順を使用できます。
アプリケーション サーバーの手動レプリカを作成するには
-
特定のアプリケーション管理者コンソールを使用して、保護するデータ ソースのデータ ファイルの場所を決定します。 たとえば、Microsoft SQL Server 2005 データベースには SQL Management Studio を使用します。
-
ネイティブなバックアップ ツールを使用して、データ ソースのデータ ファイルをバックアップします。 Windows Server 2003 では、[スタート] メニューの [ファイル名を指定して実行] をクリックし、「ntbackup」と入力します。
アプリケーション バックアップではなく、ファイルレベルのバックアップを実行する必要があります。 たとえば、Exchange のログとデータベースは、アプリケーションとしてではなく、ファイルとしてバックアップします。
重要 Ntbackup ツールのボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) パラメーターを使用して、ファイル バックアップに回復ポイントが含まれるようにします。 このパラメーターは /SNAP:on です。
-
DPM 管理者コンソールで、[保護] ビューに移動します。
-
表示ウィンドウで、データ ソースを選択します。
-
[詳細] ウィンドウで、[クリックすると詳細が表示されます] をクリックします。[レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスには、保護されるサーバー上のデータ ファイルの元のパスと、このデータがコピーされるターゲット パスが表示されます。
-
Ntbackup を使用して、DPM サーバー上の対応するパスにデータ ファイルを復元し、手動レプリカを作成します。
-
DPM 管理者コンソールから DPM サーバーにデータをコピーしたら、[監視] ビューへ移動し、[アラート] ワークスペースを開きます。
-
[レプリカの手動作成が保留中] アラートでは、整合性チェック ジョブの実行を選択できます。
[!メモ]
また、このデータ ソースのナビゲーション ウィンドウの保護領域でも整合性チェック ジョブを実行できます。
別の方法として、アプリケーション サービスを停止し、保護されるサーバーと宛先 (DPM) サーバーとの間でファイルをコピーし、アプリケーション サービスを再起動することもできます。 その場合、SharePoint の場合は次のデータ ソース コピーする必要があります。
SQL データベースのすべて - 構成データベース、コンテンツ データベース、セキュリティ サポート プロバイダー データベース、検索データベース。
検索インデックス (検索サービスまたはサーバーを有効にしている場合)。
アプリケーション サーバーのレプリカを手動で作成すると、DPM に [レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスが表示されます。 [レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスの [宛先 (DPM サーバー)] 列の下に定義されるパスは、ソースの保護されたサーバー上にある対応する各データ ファイルのボリューム ルートに相当します。 指定された DPM レプリカ パス下のフォルダー履歴が保護されたサーバーのボリューム ルート下の相対パスまたはフォルダーの履歴と同じになるように、このボリューム ルートの下でフォルダー履歴を再作成する必要があります。 これは、データ ソースの一部である各データ ファイルに対して実行する必要があります。 たとえば、SQL Server データベース ファイルが G:\Dir の下にある場合、ファイルの名前は「G:\Dir\Dir.mdf and G:\Dir\Dir_log.ldf」になります。 この例を利用すると、[レプリカのパスの詳細] ダイアログ ボックスには次のパスが表示されます。
ソース (保護されたサーバー) |
作成先 (DPM サーバー) |
---|---|
G:\on widgets.corp.microsoft.com |
C:\Program Files\Microsoft DPM\DPM\Volumes\Replica\widgets.corp.microsoft.com\SqlServerWriter\Dir\5f933057-a1fa-432c-9c2f-86d64e91e21f\Full\G-Vol\ |
手動のロードを実行するには、最終パスが以下のようになるように、パスの下の dir\dir.mdf および dir\dir_log.ldf をコピーします。
データベース: \Program Files\Microsoft DPM\DPM\Volumes\Replica\widgets.corp.microsoft.com\SqlServerWriter\Dir\5f933057-a1fa-432c-9c2f-86d64e91e21f\Full\G-Vol\dir\dir.mdf
ログ: \Program Files\Microsoft DPM\DPM\Volumes\Replica\widgets.corp.microsoft.com\SqlServerWriter\Dir\5f933057-a1fa-432c-9c2f-86d64e91e21f\Full\G-Vol\dir\dir_log.ldf
高速完全バックアップのスケジュールを変更する
DPM でアプリケーション データを迅速に回復するた���には、高速完全バックアップを定期的に作成する必要があります。 高速完全バックアップ操作を実行すると、通常、サーバー リソースの使用量が数分間にわたり 5% 増加します。 サーバー リソースの負担を軽減するために、高速完全バックアップの頻度を低くすることができます。ただし、それによってデータ回復の時間が長くなることがあります。
[!メモ]
高速完全バックアップのスケジュールは、保護グループに属するアプリケーションについてのみ変更することができます。 保護グループに属するファイルについては、新しい保護グループの作成ウィザードを使用して短期バックアップの目標を指定します。
高速完全バックアップのスケジュールを変更するには
-
DPM 管理者コンソールで、[保護] ビューに移動します。
-
表示ウィンドウで、高速完全バックアップのスケジュールを変更する保護グループを選択します。
-
ツール リボンで [パフォーマンスの最適化] をクリックします。
-
[高速完全バックアップ] タブで、高速完全バックアップの時刻を選択し、[追加] をクリックします。
-
高速完全バックアップを実行する曜日を選択します。
-
変更を適用するには、[OK] をクリックします。
[!メモ]
高速完全バックアップを変更するには、保護グループの変更ウィザードを使用する必要があります。