比較式 (XQuery)
XQuery には、次の種類の比較演算子が用意されています。
一般的な比較演算子
値の比較演算子
ノードの比較演算子
ノード順の比較演算子
一般的な比較演算子
一般的な比較演算子を使用して、アトミック値、シーケンス、またはその 2 つの組み合わせを比較できます。
一般的な演算子を次の表に定義します。
演算子 |
説明 |
---|---|
= |
等しい |
!= |
等しくない |
< |
より小さい |
> |
より大きい |
<= |
以下 |
>= |
以上 |
一般的な比較演算子を使用して 2 つのシーケンスを比較するときに、最初のシーケンス内の値との比較結果が True になる値が 2 番目のシーケンス内に存在すると、全体的な比較結果は True になります。 それ以外の場合は、False になります。 たとえば、(1, 2, 3) = (3, 4) は両方のシーケンスに値 3 があるので True になります。
declare @x xml
set @x=''
select @x.query('(1,2,3) = (3,4)')
比較する 2 つの値の型は、比較できる型である必要があります。 具体的には、値の型は静的に確認されます。 数値の比較の場合、数値型の上位変換が発生する場合があります。 たとえば、10 進値の 10 が double 値 1e1 と比較される場合、10 進値が double 値に変換されます。 double 値の比較は正確には行えないので、不正確な結果になる場合があります。
一方の値が型指定されていない場合は、型指定されていない値が他方の値の型にキャストされます。 次の例では、値 7 が整数として扱われます。 比較する前に、型指定されていない値 /a[1] が整数に変換されます。 整数の比較は True を返します。
declare @x xml
set @x='<a>6</a>'
select @x.query('/a[1] < 7')
型指定されていない値が文字列または他の型指定されていない値と比較される場合は、xs:string にキャストされます。 次のクエリでは、文字列 6 が文字列 "17" と比較されます。 このクエリは文字列の比較になるので、False が返されます。
declare @x xml
set @x='<a>6</a>'
select @x.query('/a[1] < "17"')
次のクエリは、AdventureWorks サンプル データベースで提供されている製品カタログから製品モデルの小さいサイズの写真を返します。 クエリでは、PD:ProductDescription/PD:Picture/PD:Size によって返されるアトミック値のシーケンスと、単一のシーケンス "small" が比較されます。 比較が True になる場合は、<Picture> 要素が返されます。
WITH XMLNAMESPACES ('https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelDescription' AS PD)
SELECT CatalogDescription.query('
for $P in /PD:ProductDescription/PD:Picture[PD:Size = "small"]
return $P') as Result
FROM Production.ProductModel
WHERE ProductModelID=19
次のクエリでは、<number> 要素の電話番号のシーケンスと、文字列リテラル "112-111-1111" が比較されます。 特定の顧客の特定の電話番号がドキュメント内に存在するかどうかを判断するために、AdditionalContactInfo 列の電話番号の素のシーケンスがクエリで比較されます。
WITH XMLNAMESPACES (
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactTypes' AS act,
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactInfo' AS aci)
SELECT AdditionalContactInfo.value('
/aci:AdditionalContactInfo//act:telephoneNumber/act:number = "112-111-1111"', 'nvarchar(10)') as Result
FROM Person.Contact
WHERE ContactID=1
クエリは True を返します。 これは、その数字がドキュメント内に存在することを示します。 次のクエリは、前のクエリを少し変更したものです。 このクエリでは、ドキュメントから取得された電話番号の値が、2 つの電話番号の値のシーケンスと比較されます。 比較が True の場合、<number> 要素が返されます。
WITH XMLNAMESPACES (
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactTypes' AS act,
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactInfo' AS aci)
SELECT AdditionalContactInfo.query('
if (/aci:AdditionalContactInfo//act:telephoneNumber/act:number = ("222-222-2222","112-111-1111"))
then
/aci:AdditionalContactInfo//act:telephoneNumber/act:number
else
()') as Result
FROM Person.Contact
WHERE ContactID=1
結果は次のとおりです。
<act:number
xmlns:act="https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactTypes">
111-111-1111
</act:number>
<act:number
xmlns:act="https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ContactTypes">
112-111-1111
</act:number>
値の比較演算子
値の比較演算子は、アトミック値を比較するために使用されます。 クエリ内では値の比較演算子の代わりに、一般的な比較演算子を使用できます。
値の比較演算子を次の表に定義します。
演算子 |
説明 |
---|---|
eq |
等しい |
ne |
等しくない |
lt |
より小さい |
gt |
より大きい |
le |
以下 |
ge |
以上 |
選択された演算子に応じて 2 つの値の比較結果が同じになる場合、式は True を返します。 それ以外の場合は False を返します。 いずれかの値が空のシーケンスの場合、式の結果は False になります。
これらの演算子は、単一のアトミック値でのみ機能します。 つまり、オペランドの 1 つにシーケンスを指定することはできません。
たとえば、次のクエリでは、写真のサイズが "small" である製品モデルの <Picture> 要素が取得されます。
SELECT CatalogDescription.query('
declare namespace PD="https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelDescription";
for $P in /PD:ProductDescription/PD:Picture[PD:Size eq "small"]
return
$P
') as Result
FROM Production.ProductModel
WHERE ProductModelID=19
上のクエリに関して、次の点に注意してください。
declare namespace では、その後クエリで使用される名前空間プレフィックスが定義されます。
<Size> 要素の値が、指定したアトミック値 "small" と比較されます。
値の演算子はアトミック値でのみ機能するので、ノード値の取得に data() 関数が暗黙的に使用されます。 つまり、data($P/PD:Size) eq "small" も同じ結果になります。
結果を次に示します。
<PD:Picture
xmlns:PD="https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelDescription">
<PD:Angle>front</PD:Angle>
<PD:Size>small</PD:Size>
<PD:ProductPhotoID>31</PD:ProductPhotoID>
</PD:Picture>
値の比較でのデータ型の上位変換の規則は、一般的な比較でのデータ型の上位変換の規則と同じです。 また、SQL Server では、値の比較の際に、型指定されていない値に対しても、一般的な比較の際に使用するのと同じキャストの規則が使用されます。 それに対して、XQuery 仕様の規則では、値の比較時に型指定されていない値は xs:string に常にキャストされます。
ノードの比較演算子
ノードの比較演算子 is は、ノード型にのみ適用されます。 返される結果は、基になるドキュメント内の同じノードを表すオペランドとして、2 つのノードが渡されたかどうかを示します。 2 つのオペランドが同じノードの場合、この演算子は True を返します。 それ以外の場合は False を返します。
次のクエリでは、特定の製品モデルの製造プロセス内で、ワーク センター拠点 10 がプロセスの最初にあるかどうかがチェックされます。
WITH XMLNAMESPACES ('https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelManuInstructions' AS AWMI)
SELECT ProductModelID, Instructions.query('
if ( (//AWMI:root/AWMI:Location[@LocationID=10])[1]
is
(//AWMI:root/AWMI:Location[1])[1] )
then
<Result>equal</Result>
else
<Result>Not-equal</Result>
') as Result
FROM Production.ProductModel
WHERE ProductModelID=7
結果は次のとおりです。
ProductModelID Result
-------------- --------------------------
7 <Result>equal</Result>
ノード順の比較演算子
ノード順の比較演算子により、ドキュメント内の位置に基づいて、ノードの組み合わせが比較されます。
ドキュメント内の表示順に基づいて行われる比較は次のようになります。
<< : ドキュメント順で、オペランド 1 がオペランド 2 より前にあるかどうか。
>> : ドキュメント順で、オペランド 1 がオペランド 2 より後にあるかどうか。
製品カタログの説明内で、特定の製品のドキュメント順として <Maintenance> 要素の前に <Warranty> 要素がある場合、次のクエリは True を返します。
WITH XMLNAMESPACES (
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelDescription' AS PD,
'https://schemas.microsoft.com/sqlserver/2004/07/adventure-works/ProductModelWarrAndMain' AS WM)
SELECT CatalogDescription.value('
(/PD:ProductDescription/PD:Features/WM:Warranty)[1] <<
(/PD:ProductDescription/PD:Features/WM:Maintenance)[1]', 'nvarchar(10)') as Result
FROM Production.ProductModel
where ProductModelID=19
上のクエリに関して、次の点に注意してください。
xmlデータ型の value() メソッドがクエリで使用されます。
クエリのブール型の結果が、nvarchar(10) に変換されて返されます。
クエリから True が返されます。