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TOP (Transact-SQL)

SQL Server 2012 で、クエリの結果セットとして返される行を、指定した行の数または割合に制限します。TOP と ORDER BY 句を組み合わせて使用した場合、結果セットは、並べ替えられた行の先頭の N 行に制限されます。それ以外の場合、先頭の N 行が任意の順序で返されます。SELECT ステートメントから返される行、または INSERT、UPDATE、MERGE、DELETE ステートメントで処理する行の数を指定するには、この句を使用します。

トピック リンク アイコン Transact-SQL 構文表記規則

構文

[ 
    TOP (expression) [PERCENT]
    [ WITH TIES ]
]

引数

  • expression
    返す行数を指定する数式を指定します。PERCENT を指定した場合、expression は暗黙的に float 値に変換されます。それ以外の場合は bigint に変換されます。

  • PERCENT
    クエリの結果セットの先頭から、expression で指定したパーセントの行のみを返すよう指定します。小数値は整数値に切り上げられます。

  • WITH TIES
    限定された結果セットの最下位を分け合う複数の行を返す場合に使用します。ORDER BY 句と一緒に使用する必要があります。WITH TIES を使用すると、expressionで指定された値よりも多くの行が返されることがあります。たとえば、expression が 5 に設定されており、行 5 の ORDER BY 列の値と一致する行が他に 2 行ある場合、結果セットに含まれる行は 7 行になります。

    TOP...WITH TIES は SELECT ステートメントでのみ使用でき、ORDER BY 句が指定されている必要があります。同順位のレコードが返される順序は任意です。ORDER BY はこの規則に影響しません。

ベスト プラクティス

SELECT ステートメントでは、必ず ORDER BY 句と TOP 句を使用してください。これは、TOP の処理対象の行を指定するための唯一の方法です。

クエリ ページング ソリューションを実装するには、TOP 句ではなく ORDER BY 句で OFFSET と FETCH を使用します。OFFSET 句と FETCH 句を使用した方が、ページング ソリューション (データのチャンクまたは "ページ" をクライアントに送信するソリューション) を容易に実装できます。詳細については、「ORDER BY 句 (Transact-SQL)」を参照してください。

返される行の数を制限するには、SET ROWCOUNT ではなく TOP (または OFFSET と FETCH) を使用します。SET ROWCOUNT の代わりにこれらのメソッドを使用することをお勧めする理由は、以下のとおりです。

  • クエリ オプティマイザーでは、クエリを最適化する際に、TOP 句または FETCH 句の expression の値を SELECT ステートメントの一部として認識できます。SET ROWCOUNT はクエリを実行するステートメントの外部で使用されるので、その値をクエリ プランで認識することはできません。

互換性サポート

旧バージョンとの互換性のために、SELECT ステートメントではかっこが省略可能になっています。かっこが必須となっている INSERT、UPDATE、MERGE、および DELETE ステートメントとの一貫性を保つために、SELECT ステートメント内の TOP でもかっこを常に使用することをお勧めします。

相互運用性

TOP 式は、トリガーが起動されたときに実行されるステートメントには影響しません。トリガーによって inserted および deleted の状態となったテーブルからは、INSERT、UPDATE、MERGE、または DELETE ステートメントによって実際に影響を受けた行のみが返されます。たとえば、TOP 句が含まれる INSERT ステートメントの結果として INSERT TRIGGER が起動された場合、

SQL Server では、ビューを使用した行の更新が可能です。TOP 句はビュー定義に含めることができるため、行が TOP 式の要件を満たさなくなると、更新したときに特定の行がビューから削除される場合があります。

MERGE ステートメントで指定した TOP 句は、ソース テーブル全体と対象テーブル全体が結合され、挿入、更新、または削除操作の対象とならない結合された行が削除された後に適用されます。TOP 句を使用すると、結合された行の数が指定の値まで減少し、挿入、更新、または削除操作が残りの結合された行に順序付けなしで適用されます。つまり、WHEN 句で定義された各操作に行を割り当てる順序に決まりはありません。たとえば、TOP (10) と指定すると 10 行に影響し、そのうち 7 行が更新されて 3 行が挿入されたり、1 行が削除され、5 行が更新され、4 行が挿入されたりします。MERGE ステートメントはソース テーブルと対象テーブルの両方のフル テーブル スキャンを実行するので、TOP 句を使用し、複数のバッチを作成して大きなテーブルを変更すると、I/O パフォーマンスが影響を受ける場合があります。この場合は、一連のすべてのバッチが新しい行を対象としていることを確認してください。

UNION、UNION ALL、EXCEPT、または INTERSECT 演算子を含む TOP 句をクエリで指定する場合は注意が必要です。これらの演算子を選択操作で使用するとき、TOP 句および ORDER BY 句が論理的に処理される順序は必ずしも直感的ではないため、記述したクエリによって予期しない結果が返される場合があります。たとえば、次のテーブルとデータがある場合に、最も安価な赤色の自動車と青色の自動車 (つまり赤色のセダンと青色のバン) を取得する必要があるとします。

CREATE TABLE dbo.Cars(Model varchar(15), Price money, Color varchar(10));
INSERT dbo.Cars VALUES
    ('sedan', 10000, 'red'), ('convertible', 15000, 'blue'), 
    ('coupe', 20000, 'red'), ('van', 8000, 'blue');

これらの結果を得るためには、次のクエリを記述します。

SELECT TOP(1) Model, Color, Price
FROM dbo.Cars
WHERE Color = 'red'
UNION ALL
SELECT TOP(1) Model, Color, Price
FROM dbo.Cars
WHERE Color = 'blue'
ORDER BY Price ASC;

以下に結果セットを示します。

Model         Color      Price

------------- ---------- -------

sedan         red        10000.00

convertible   blue       15000.00

TOP 句は論理的には ORDER BY 句の前に実行され、演算子 (この場合は UNION ALL) の結果が並べ替えられるため、予期しない結果が返されます。したがって、前のクエリは任意の赤色の自動車と青色の自動車を 1 つずつ返し、その和集合の結果を価格で並べ替えます。目的の結果を得るための正しいクエリの例を次に示します。

SELECT Model, Color, Price
FROM (SELECT TOP(1) Model, Color, Price
      FROM dbo.Cars
      WHERE Color = 'red'
      ORDER BY Price ASC) AS a
UNION ALL
SELECT Model, Color, Price
FROM (SELECT TOP(1) Model, Color, Price
      FROM dbo.Cars
      WHERE Color = 'blue'
      ORDER BY Price ASC) AS b;

TOP と ORDER BY をサブセレクト操作で使用することにより、ORDER BY 句の結果が TOP 句に適用され、UNION 操作の結果の並べ替えには使用されなくなります。

以下に結果セットを示します。

Model         Color      Price

------------- ---------- -------

sedan         red        10000.00

van           blue        8000.00

制限事項と制約事項

TOP を INSERT、UPDATE、MERGE、または DELETE と共に使用する場合、参照される行は任意の順序に並べられません。また、これらのステートメントで、ORDER BY 句を直接指定することはできません。TOP を使用して意味のある順序で行を挿入、削除、変更する必要がある場合は、サブセレクト ステートメントで ORDER BY 句を指定して TOP を使用する必要があります。例については、後の「例」のセクションを参照してください。

パーティション ビューでは、UPDATE および DELETE ステートメントで TOP を使用することはできません。

(同じクエリ スコープ内の) 同じクエリ式で TOP を OFFSET および FETCH と組み合わせて使用することはできません。詳細については、「ORDER BY 句 (Transact-SQL)」を参照してください。

使用例

カテゴリ

主な構文要素

基本構文

TOP および PERCENT

同順位の値を含める

WITH TIES

DELETE、INSERT、または UPDATE の対象となる行の制限

DELETE、INSERT、UPDATE

基本構文

このセクションの例では、最低限必要な構文を使用して ORDER BY 句の基本機能を示します。

A. 定数値を指定して TOP を使用する

次の例では、クエリの結果セットで返される従業員の数を、定数値を使用して指定します。最初の例では、ORDER BY 句が使用されていないため、先頭の 10 行が任意の順序で返されます。2 番目の例では、ORDER BY 句が使用されているため、新規採用者が新しい方から 10 名返されます。

USE AdventureWorks2012;
GO
-- Select the first 10 random employees.
SELECT TOP(10)JobTitle, HireDate
FROM HumanResources.Employee;
GO
-- Select the first 10 employees hired most recently.
SELECT TOP(10)JobTitle, HireDate
FROM HumanResources.Employee
ORDER BY HireDate DESC;

B. 変数を指定して TOP を使用する

次の例では、クエリの結果セットで返される従業員の数を、変数を使用して指定します。

USE AdventureWorks2012;
GO
DECLARE @p AS int = 10;
SELECT TOP(@p)JobTitle, HireDate, VacationHours
FROM HumanResources.Employee
ORDER BY VacationHours DESC
GO

C. 割合を指定する

次の例では、クエリの結果セットで返される従業員の数を、PERCENT を使用して指定します。HumanResources.Employee テーブルには、290 人の従業員が記録されています。290 の 5% は小数を含む値なので、整数に切り上げられます。

USE AdventureWorks2012;
GO
SELECT TOP(5)PERCENT JobTitle, HireDate
FROM HumanResources.Employee
ORDER BY HireDate DESC;

同順位の値を含める

A. WITH TIES を使用して、最後の行の値と一致する行を含める

次の例では、給与の高い上位 10% の全従業員を取得し、結果を給与の降順で返します。WITH TIES を指定すると、返された最も低い給与 (最後の行) と同じ給与の従業員も返されるので、結果は全従業員の 10% を超える場合があります。

USE AdventureWorks2012;
GO
SELECT TOP(10)WITH TIES
pp.FirstName, pp.LastName, e.JobTitle, e.Gender, r.Rate
FROM Person.Person AS pp 
    INNER JOIN HumanResources.Employee AS e
        ON pp.BusinessEntityID = e.BusinessEntityID
    INNER JOIN HumanResources.EmployeePayHistory AS r
        ON r.BusinessEntityID = e.BusinessEntityID
ORDER BY Rate DESC;

DELETE、INSERT、または UPDATE の対象となる行の制限

A. TOP を使用して削除する行数を制限する

DELETE ステートメントで TOP (n) 句を使用した場合、任意に選択される n 行に対して削除操作が実行されます。つまり、DELETE ステートメントは WHERE 句で定義した条件を満たす任意の数 (n) の行を選択します。次の例では、納期が 2002 年 7 月 1 日より早い 20 行を PurchaseOrderDetail テーブルから選択して削除します。

USE AdventureWorks2012;
GO
DELETE TOP (20) 
FROM Purchasing.PurchaseOrderDetail
WHERE DueDate < '20020701';
GO

TOP を使用して、意味のある日時順に行を削除する必要がある場合は、サブセレクト ステートメントに ORDER BY を含めて TOP を使用する必要があります。次のクエリでは、納期が早いものから 10 行を PurchaseOrderDetail テーブルから削除します。10 行だけを確実に削除するために、サブセレクト ステートメントではテーブルの主キーの列 (PurchaseOrderID) を指定しています。サブセレクト ステートメントで非キー列を指定すると、指定した列に重複する値が含まれる場合、10 行以上の行が削除される可能性があります。

USE AdventureWorks2012;
GO
DELETE FROM Purchasing.PurchaseOrderDetail
WHERE PurchaseOrderDetailID IN
   (SELECT TOP 10 PurchaseOrderDetailID 
    FROM Purchasing.PurchaseOrderDetail 
    ORDER BY DueDate ASC);
GO

B. TOP を使用して挿入する行数を制限する

次の例では、EmployeeSales テーブルを作成し、上位 5 人の従業員の名前と年度累計売り上げデータを HumanResources.Employee テーブルから挿入します。INSERT ステートメントは、SELECT ステートメントで返された、WHERE 句で定義した条件を満たす任意の 5 行を選択します。OUTPUT 句は、EmployeeSales テーブルに挿入される行を表示します。上位 5 人の従業員を特定するために SELECT ステートメントの ORDER BY 句を使用することはありません。

USE AdventureWorks2012 ;
GO
IF OBJECT_ID ('dbo.EmployeeSales', 'U') IS NOT NULL
    DROP TABLE dbo.EmployeeSales;
GO
CREATE TABLE dbo.EmployeeSales
( EmployeeID   nvarchar(11) NOT NULL,
  LastName     nvarchar(20) NOT NULL,
  FirstName    nvarchar(20) NOT NULL,
  YearlySales  money NOT NULL
 );
GO
INSERT TOP(5)INTO dbo.EmployeeSales
    OUTPUT inserted.EmployeeID, inserted.FirstName, inserted.LastName, inserted.YearlySales
    SELECT sp.BusinessEntityID, c.LastName, c.FirstName, sp.SalesYTD 
    FROM Sales.SalesPerson AS sp
    INNER JOIN Person.Person AS c
        ON sp.BusinessEntityID = c.BusinessEntityID
    WHERE sp.SalesYTD > 250000.00
    ORDER BY sp.SalesYTD DESC;

TOP を使用して意味のある順序で行を挿入する必要がある場合は、次の例に示すように、サブセレクト ステートメントで ORDER BY を指定して TOP を使用する必要があります。OUTPUT 句は、EmployeeSales テーブルに挿入される行を表示します。未定義の行の代わりに、ORDER BY 句の結果に基づいて、上位 5 人の従業員が挿入されます。

INSERT INTO dbo.EmployeeSales
    OUTPUT inserted.EmployeeID, inserted.FirstName, inserted.LastName, inserted.YearlySales
    SELECT TOP (5) sp.BusinessEntityID, c.LastName, c.FirstName, sp.SalesYTD 
    FROM Sales.SalesPerson AS sp
    INNER JOIN Person.Person AS c
        ON sp.BusinessEntityID = c.BusinessEntityID
    WHERE sp.SalesYTD > 250000.00
    ORDER BY sp.SalesYTD DESC;

C. TOP を使用して更新する行数を制限する

次の例では、TOP 句を使用してテーブルの行を更新します。UPDATE ステートメントで TOP (n) 句を使用した場合、任意の数の行に対して更新操作が実行されます。つまり、UPDATE ステートメントは WHERE 句で定義した条件を満たす任意の数 (n) の行を選択します。次の例では、ある販売員の顧客から 10 人を抽出して別の販売員に割り当てています。

USE AdventureWorks2012;
UPDATE TOP (10) Sales.Store
SET SalesPersonID = 276
WHERE SalesPersonID = 275;
GO

TOP を使用して、意味のある日時順に更新を適用する必要がある場合は、サブセレクト ステートメントに ORDER BY を含めて TOP を使用する必要があります。次の例では、採用日の古い従業員上位 10 人の休暇時間を更新します。

UPDATE HumanResources.Employee
SET VacationHours = VacationHours + 8
FROM (SELECT TOP 10 BusinessEntityID FROM HumanResources.Employee
     ORDER BY HireDate ASC) AS th
WHERE HumanResources.Employee.BusinessEntityID = th.BusinessEntityID;
GO

関連項目

参照

SELECT (Transact-SQL)

INSERT (Transact-SQL)

UPDATE (Transact-SQL)

DELETE (Transact-SQL)

ORDER BY 句 (Transact-SQL)

SET ROWCOUNT (Transact-SQL)

MERGE (Transact-SQL)