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レコードセット変換先を使用する方法

レコードセット変換先では、データは外部データ ソースに保存されません。代わりに、レコードセット変換先では、Object データ型の Integration Services パッケージ変数に格納されるレコードセットのメモリにデータが保存されます。レコードセット変換先でデータが保存されたら、通常、Foreach ループ コンテナと Foreach ADO 列挙子を使用して、一度に 1 つのレコードセット行を処理します。Foreach ADO 列挙子によって、現在の行の各列の値が個別のパッケージ変数に保存されます。その後、Foreach ループ コンテナ内で構成したタスクによって変数から値が読み取られ、その値を使用してアクションが実行されます。

レコードセット変換先は、さまざまなシナリオで使用できます。次にいくつかの例を示します。

  • メール送信タスクと Integration Services 式言語を使用して、レコードセットの行ごとにカスタマイズされた電子メール メッセージを送信できます。

  • データ フロー タスク内で変換元として構成されたスクリプト コンポーネントを使用して、列値をデータ フローの列に読み取ることができます。その後、変換や変換先を使用して、行を変換および保存できます。この例では、データ フロー タスクが行ごとに 1 回実行されます。

ここでは、まずレコードセット変換先を使用する一般的な手順について説明し、次に変換先の使用方法の具体的な例を示します。

レコードセット変換先を使用する一般的な手順

次の手順は、レコードセット変換先にデータを保存し、Foreach ループ コンテナを使用して各行を処理するために必要な手順をまとめたものです。

レコードセット変換先にデータを保存し、Foreach ループ コンテナを使用して各行を処理するには

  1. Business Intelligence Development Studio で、Integration Services パッケージを作成または開きます。

  2. レコードセット変換先でメモリに保存されたレコードセットを格納する変数を作成し、変数の型を Object に設定します。

  3. 使用するレコードセットの各列の値を格納するために、適切な型の追加の変数を作成します。

  4. データ フローで使用するデータ ソースに必要な接続マネージャを追加して構成します。

  5. データ フロー タスクをパッケージに追加し、SSIS デザイナの [データ フロー] タブで、データの読み込みおよび変換を行うための変換元および変換を構成します。

  6. レコードセット変換先をデータ フローに追加し、変換に接続します。レコードセット変換先の VariableName プロパティに、レコードセットを格納するために作成した変数の名前を入力します。

  7. SSIS デザイナの [制御フロー] タブで、Foreach ループ コンテナを追加し、このコンテナをデータ フロー タスクの後に連結します。[Foreach ループ エディタ] を開いて、次の設定を使用してコンテナを構成します。

    1. [コレクション] ページで、[Foreach ADO 列挙子] をクリックします。次に、[ADO オブジェクト ソース変数] で、レコードセットが含まれる変数を選択します。

    2. [変数のマッピング] ページで、使用する各列の 0 から始まるインデックスを適切な変数にマップします。

      ループの各反復処理で、列挙子によってこれらの変数に現在の行の列値が設定されます。

  8. Foreach ループ コンテナ内にタスクを追加し、変数から値を読み取って一度に 1 つのレコードセット行を処理するように構成します。

レコードセット変換先の使用例

次の例では、データ フロー タスクが AdventureWorks の従業員に関する情報を Sales.SalesPerson テーブルからレコードセット変換先に読み込みます。次に、Foreach ループ コンテナが一度に 1 つのデータ行を読み取って、メール送信タスクを呼び出します。メール送信タスクは、式を使用して、ボーナス額に関するカスタマイズされた電子メール メッセージを各販売員に送信します。

プロジェクトを作成して変数を構成するには

  1. BI Development Studio で、新しい Integration Services プロジェクトを作成します。

  2. [SSIS] メニューの [変数] をクリックします。

  3. [変数] ウィンドウで、レコードセットと現在の行の列値を格納する変数を作成します。

    1. BonusRecordset という名前の変数を作成し、その型を Object に設定します。

      BonusRecordset 変数にはレコードセットが格納されます。

    2. EmailAddress という名前の変数を作成し、その型を String に設定します。

      EmailAddress 変数には販売員の電子メール アドレスが格納されます。

    3. FirstName という名前の変数を作成し、その型を String に設定します。

      FirstName 変数には販売員の名が格納されます。

    4. Bonus という名前の変数を作成し、その型を Double に設定します。

      Bonus 変数には販売員のボーナス額が格納されます。

接続マネージャを構成するには

  1. SSIS デザイナの [接続マネージャ] 領域で、AdventureWorks サンプル データベースに接続する新しい OLE DB 接続マネージャを追加して構成します。

    この接続マネージャは、データ フロー タスクの OLE DB ソースがデータを取得するために使用されます。

  2. [接続マネージャ] 領域で、使用可能な SMTP サーバーに接続する新しい SMTP 接続マネージャを追加して構成します。

    この接続マネージャは、Foreach ループ コンテナ内のメール送信タスクが電子メールを送信するために使用されます。

データ フローとレコードセット変換先を構成するには

  1. SSIS デザイナの [制御フロー] タブで、データ フロー タスクをデザイン画面に追加します。

  2. [データ フロー] タブで、OLE DB ソースをデータ フロー タスクに追加し、[OLE DB ソース エディタ] を開きます。

  3. エディタの [接続マネージャ] ページで、次の設定を使用してソースを構成します。

    1. [OLE DB 接続マネージャ] で、前もって作成した OLE DB 接続マネージャを選択します。

    2. [データ アクセス モード] で、[SQL コマンド] を選択します。

    3. [SQL コマンド テキスト] で、次のクエリを入力します。

      SELECT     Person.Contact.EmailAddress, Person.Contact.FirstName, CONVERT(float, Sales.SalesPerson.Bonus) AS Bonus
      FROM         Sales.SalesPerson INNER JOIN
                            Person.Contact ON Sales.SalesPerson.SalesPersonID = Person.Contact.ContactID
      
      注意注意

      Bonus 列の currency 値を Double 型のパッケージ変数に読み込む前に、その値を float に変換する必要があります。

  4. [データ フロー] タブで、レコードセット変換先を追加し、この変換先を OLE DB ソースの後に連結します。

  5. [レコードセット変換先エディタ] を開いて、次の設定を使用して変換先を構成します。

    1. [コンポーネントのプロパティ] タブの VariableName プロパティで、User::BonusRecordset を選択します。

    2. [入力列] タブで、使用可能な 3 つすべての列を選択します。

Foreach ループ コンテナを構成してパッケージを実行するには

  1. SSIS デザイナの [制御フロー] タブで、Foreach ループ コンテナを追加し、このコンテナをデータ フロー タスクの後に連結します。

  2. [Foreach ループ エディタ] を開いて、次の設定を使用してコンテナを構成します。

    1. [コレクション] ページの [列挙子][Foreach ADO 列挙子] を選択し、[ADO オブジェクト ソース変数] で User::BonusRecordset を選択します。

    2. [変数のマッピング] ページで、User::EmailAddress をインデックス 0 に、User::FirstName をインデックス 1 に、User::Bonus をインデックス 2 にそれぞれマップします。

  3. [制御フロー] タブで、Foreach ループ コンテナ内にメール送信タスクを追加します。

  4. [メール送信タスク エディタ] を開いて、[メール] ページで次の設定を使用してタスクを構成します。

    1. [SmtpConnection] で、前もって構成した SMTP 接続マネージャを選択します。

    2. [差出人] に、適切な電子メール アドレスを入力します。

      自分の電子メール アドレスを使用すると、パッケージが正常に実行されているかどうかを確認できます。メール送信タスクによって AdventureWorks に存在しない販売員にメッセージが送信されると、配信できなかったことが通知されます。

    3. [宛先] に、既定の電子メール アドレスを入力します。

      この値は使用されませんが、実行時に各販売員の電子メール アドレスに置き換えられます。

    4. [件名] に、「Your annual bonus」と入力します。

    5. [MessageSourceType] に対して [直接入力] を選択します。

  5. [メール送信タスク エディタ][式] ページで、参照ボタン ([...]) をクリックして [プロパティ式エディタ] を開きます。

  6. [プロパティ式エディタ] で、次の情報を入力します。

    1. [ToLine] に、次の式を追加します。

      @[User::EmailAddress]
      
    2. MessageSource プロパティに、次の式を追加します。

      "Dear " +  @[User::FirstName] + ": The amount of your bonus for this year is $" +  (DT_WSTR, 12) @[User::Bonus] + ". Thank you!"
      
  7. パッケージを実行します。

    有効な SMTP サーバーと自分の電子メール アドレスを指定すると、メール送信タスクによって AdventureWorks に存在しない販売員にメッセージが送信され、配信できなかったことが通知されます。