内部テーブル
SQL Server では、次の機能をサポートする内部テーブルが自動的に作成されます。
プライマリ XML インデックス
空間インデックス
Service Broker
クエリ通知
変更の追跡
内部テーブルは、一部のユーザー操作の副作用として生じます。たとえば、プライマリ XML インデックスを作成すると、SQL Server によって内部テーブルが自動的に作成され、細分化された XML ドキュメント データが保存されます。内部テーブルは、各データベースの sys スキーマに表示され、そのテーブルの機能を示す一意名 (xml_index_nodes_2021582240_32001 や queue_messages_1977058079 など) がシステムによって生成されます。
内部テーブルには、ユーザーがアクセスできるデータは含まれていません。また、そのスキーマは固定され変更できません。内部テーブルの名前を Transact-SQL ステートメントで参照することはできません。たとえば、SELECT * FROM <sys.internal_table_name> のようなステートメントは実行できません。ただし、カタログ ビューにクエリを実行して、内部テーブルのメタデータを表示することはできます。
内部テーブルのメタデータの表示
内部テーブルに関連付けられたメタデータは、sys.internal_tables カタログ ビューを使用して表示できます。このビューを使用すると、内部テーブルのスキーマを表示できます。内部テーブルにはユーザー テーブルと同じ特性が多数あるので、sys.internal_tables ビューは、sys.objects カタログ ビューから列を継承し、型は 'IT' になります。内部テーブルの列のメタデータはユーザー テーブルと同様に、sys.columns カタログ ビューに表示されます。また、内部テーブル上のシステム生成のインデックスや統計のメタデータは、sys.indexes カタログ ビューと sys.stats カタログ ビューに表示されます。
他のカタログ ビューに結合して、割り当てや領域の使用量に関する情報を入手することもできます。これについては「内部テーブルのストレージ」を参照してください。
次の図は、最上位レベルのカタログ データ モデルを示します。
内部テーブルのメタデータを表示する権限
データベース内の内部テーブルのメタデータを表示するには、次の権限があるか、次のグループに所属している必要があります。
CONTROL SERVER 権限。
データベースの CONTROL 権限。
db_owner グループまたは sysadmin グループのメンバシップ。
親エンティティ (XML インデックス、空間インデックス、またはキュー) を表示できるユーザー。このユーザーは、そのエンティティの内部テーブルを表示できます。
XML インデックスのメタデータの表示
次の図は、XML インデックスに関する内部テーブルのメタデータ構造を示しています。
この図に示されているカタログ ビューの関係を理解するために、プライマリ XML インデックス Xp がテーブル T に作成されているとします。このテーブルのメタデータは sys.tables カタログ ビューに含まれ、XML インデックスのメタデータは sys.xml_indexes カタログ ビューに含まれます。XML インデックスのデータを保存するために SQL Server で作成される内部テーブル Ti のメタデータは、sys.internal_tables ビューに含まれます。
内部テーブル Ti とユーザー テーブル T とのリレーションシップを確認するには、sys.internal_tables ビューの parent_id 列を sys.tables ビューの object_id 列に結合します。内部テーブル Ti と XML インデックス Xp とのリレーションシップを確認するには、sys.internal_tables の parent_id 列と parent_minor_id 列を、sys.xml_indexes の object_id 列と index_id 列に結合します。後半の例 G を参照してください。
空間インデックスのメタデータの表示
空間インデックスのメタデータは、XML インデックスのメタデータとほぼ同じです。両者の違いは、空間インデックスでは、sys.xml_indexes ではなく sys.spatial_indexes が使用される点、および、空間インデックスの空間パラメータを確認する際に sys.spatial_index_tessellations を使用する必要がある点です。
次の図は、空間インデックスに関する内部テーブルのメタデータ構造を示しています。
この図に示されているカタログ ビューの関係を理解するために、空間インデックス Si がテーブル T に作成されているとします。テーブルのメタデータは sys.tables カタログ ビューに、空間インデックスのメタデータは sys.spatial_indexes カタログ ビューと sys.spatial_index_tessellations カタログ ビューに存在します。空間インデックスのデータを保存するために SQL Server で作成される内部テーブル Ti のメタデータは、sys.internal_tables ビューに含まれます。
内部テーブル Ti とユーザー テーブル T とのリレーションシップを確認するには、sys.internal_tables ビューの parent_id 列を sys.tables ビューの object_id 列に結合します。内部テーブル Ti と空間インデックス Si とのリレーションシップを確認するには、sys.internal_tables の parent_id 列と parent_minor_id 列を、sys.spatial_indexes の object_id 列と index_id 列に結合します。詳細については、後の「例 L」を参照してください。
Service Broker のメタデータの表示
次の図は、Service Broker キューに関する内部テーブルのメタデータ構造を示しています。Service Broker のメッセージ、クエリ通知、およびイベント通知は、Service Broker キューを使用します。また、Service Broker 機能では、全データベース内のすべての Service Broker サービスに関する情報を格納するために内部テーブルも使用します。この内部テーブルは、tempdb システム データベースに含まれます。
クエリ通知のメタデータの表示
次の図は、クエリ通知サブスクリプションに関する内部テーブルのメタデータ構造を示しています。内部テーブルは、クエリ通知サブスクリプションのパラメータを保存するために使用されます。
内部テーブルのストレージ
内部テーブルは、親エンティティと同じファイル グループに配置されます。後半の例 F で示すカタログ クエリを使用して、内部テーブルが行内データ、行外データ、およびラージ オブジェクト (LOB) データに使用するページ数を返すことができます。
sp_spaceused システム プロシージャを使用すると、内部テーブルの使用領域に関するデータを返すことができます。sp_spaceused は、次の方法で内部テーブルの領域についてレポートします。
キュー名を指定すると、キューに関連付けられた基になる内部テーブルが参照され、そのストレージ使用量がレポートされます。
XML インデックス、空間インデックス、およびフルテキスト インデックスの内部テーブルに使用されているページ数は、index_size 列に含まれます。テーブルまたはインデックス付きビューの名前を指定すると、そのオブジェクトの XML インデックス、空間インデックス、およびフルテキスト インデックスのページ数は reserved 列と index_size 列にそれぞれ含まれます。
例
次の例では、カタログ ビューを使用して内部テーブルのメタデータにクエリを実行する方法について説明します。
A. sys.objects カタログ ビューから列を継承する内部テーブルを表示する
SELECT * FROM sys.objects WHERE type = 'IT';
B. すべての内部テーブルのメタデータ (sys.objects から継承される内容を含む) を返す
SELECT * FROM sys.internal_tables;
C. 内部テーブルの列と列のデータ型を返す
SELECT SCHEMA_NAME(itab.schema_id) AS schema_name
,itab.name AS internal_table_name
,typ.name AS column_data_type
,col.*
FROM sys.internal_tables AS itab
JOIN sys.columns AS col ON itab.object_id = col.object_id
JOIN sys.types AS typ ON typ.user_type_id = col.user_type_id
ORDER BY itab.name, col.column_id;
D. 内部テーブルのインデックスを返す
SELECT SCHEMA_NAME(itab.schema_id) AS schema_name
, itab.name AS internal_table_name
, idx.*
FROM sys.internal_tables AS itab
JOIN sys.indexes AS idx ON itab.object_id = idx.object_id
ORDER BY itab.name, idx.index_id;
E. 内部テーブルの統計情報を返す
SELECT SCHEMA_NAME(itab.schema_id) AS schema_name
,itab.name AS internal_table_name
, s.*
FROM sys.internal_tables AS itab
JOIN sys.stats AS s ON itab.object_id = s.object_id
ORDER BY itab.name, s.stats_id;
F. 内部テーブルのパーティションとアロケーション ユニットの情報を返す
SELECT SCHEMA_NAME(itab.schema_id) AS schema_name
,itab.name AS internal_table_name
,idx.name AS heap_or_index_name
,p.*
,au.*
FROM sys.internal_tables AS itab
JOIN sys.indexes AS idx
-- JOIN to the heap or the clustered index
ON itab.object_id = idx.object_id AND idx.index_id IN (0,1)
JOIN sys.partitions AS p
ON p.object_id = idx.object_id AND p.index_id = idx.index_id
JOIN sys.allocation_units AS au
-- IN_ROW_DATA (type 1) and ROW_OVERFLOW_DATA (type 3) => JOIN to partition's Hobt
-- else LOB_DATA (type 2) => JOIN to the partition ID itself.
ON au.container_id =
CASE au.type
WHEN 2 THEN p.partition_id
ELSE p.hobt_id
END
ORDER BY itab.name, idx.index_id;
G. XML インデックスに関する内部テーブルのメタデータを返す
SELECT t.name AS parent_table
,t.object_id AS parent_table_id
,it.name AS internal_table_name
,it.object_id AS internal_table_id
,xi.name AS primary_XML_index_name
,xi.index_id as primary_XML_index_id
FROM sys.internal_tables AS it
JOIN sys.tables AS t
ON it.parent_id = t.object_id
JOIN sys.xml_indexes AS xi
ON it.parent_id = xi.object_id
AND it.parent_minor_id = xi.index_id
WHERE it.internal_type_desc = 'XML_INDEX_NODES';
GO
H. Service Broker キューに関する内部テーブルのメタデータを返す
SELECT q.name AS queue_name
,q.object_id AS queue_id
,it.name AS internal_table_name
,it.object_id AS internal_table_id
FROM sys.internal_tables AS it
JOIN sys.service_queues AS q ON it.parent_id = q.object_id
WHERE it.internal_type_desc = 'QUEUE_MESSAGES';
GO
I. すべての Service Broker サービスに関する内部テーブルのメタデータを返す
SELECT *
FROM tempdb.sys.internal_tables
WHERE internal_type_desc = 'SERVICE_BROKER_MAP';
GO
J. クエリ通知サブスクリプションに関する内部テーブルのメタデータを返す
SELECT qn.id AS query_subscription_id
,it.name AS internal_table_name
,it.object_id AS internal_table_id
FROM sys.internal_tables AS it
JOIN sys.dm_qn_subscriptions AS qn ON it.object_id = qn.object_id
WHERE it.internal_type_desc = 'QUERY_NOTIFICATION';
K. 空間インデックスに関する内部テーブルのメタデータを返す
SELECT t.name AS parent_table
,t.object_id AS parent_table_id
,it.name AS internal_table_name
,it.object_id AS internal_table_id
,si.name AS spatial_index_name
,si.index_id as spatial_index_id
FROM sys.internal_tables AS it
JOIN sys.tables AS t
ON it.parent_id = t.object_id
JOIN sys.spatial_indexes AS si
ON it.parent_id = si.object_id
AND it.parent_minor_id = si.index_id
WHERE it.internal_type_desc = 'EXTENDED_INDEXES';
GO