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線形回帰モデルのマイニング モデル コンテンツ (Analysis Services - データ マイニング)

このトピックでは、Microsoft 線形回帰アルゴリズムを使用するモデルに固有のマイニング モデル コンテンツについて説明します。 すべてのモデルの種類のマイニング モデル コンテンツに関する一般情報については、「マイニング モデル コンテンツ (Analysis Services - データ マイニング)」を参照してください。

線形回帰モデルの構造について

線形回帰モデルの構造は非常に単純です。 各モデルには、モデルとそのメタデータを表す 1 つの親ノードと、予測可能な各属性の回帰式を含む回帰ツリー ノード (NODE_TYPE = 25) があります。

線形回帰のモデルの構造

線形回帰モデルでは、Microsoft デシジョン ツリーと同じアルゴリズムが使用されますが、ツリーを制約するために使用されるパラメーターが異なっており、また連続属性のみが入力として受け入れられます。 ただし、線形回帰モデルは Microsoft デシジョン ツリー アルゴリズムに基づいているため、Microsoft デシジョン ツリー ビューアーで表示できます。 詳細については、「Microsoft ツリー ビューアーを使用したマイニング モデルの表示」を参照してください。

次のセクションでは、回帰式ノードの情報を解釈する方法について説明します。 この情報は、線形回帰モデルだけでなく、ツリーの一部に回帰を含むデシジョン ツリー モデルにも適用されます。

線形回帰モデルのモデル コンテンツ

ここでは、マイニング モデル コンテンツの列のうち、線形回帰に関連する列についてのみ詳細と例を紹介します。

スキーマ行セットの汎用の列の詳細については、「マイニング モデル コンテンツ (Analysis Services - データ マイニング)」を参照してください。

  • MODEL_CATALOG
    モデルが格納されているデータベースの名前。

  • MODEL_NAME
    モデルの名前。

  • ATTRIBUTE_NAME
    ルート ノード :   空白。

    回帰ノード :   予測可能な属性の名前。

  • NODE_NAME
    常に NODE_UNIQUE_NAME と同じです。

  • NODE_UNIQUE_NAME
    モデル内のノードの一意の識別子。 この値は変更できません。

  • NODE_TYPE
    線形回帰モデルでは次の種類のノードが出力されます。

    ノードの種類の ID

    種類

    説明

    25

    回帰ツリーのルート

    入力変数と出力変数のリレーションシップを表す数式が含まれます。

  • NODE_CAPTION
    ノードに関連付けられたラベルまたはキャプション。 このプロパティは、主に表示を目的としています。

    ルート ノード :   空白。

    回帰ノード :   すべて。

  • CHILDREN_CARDINALITY
    ノードの子の推定数。

    ルート ノード :   回帰ノードの数を示します。 モデルの予測可能な属性ごとに 1 つの回帰ノードが作成されます。

    回帰ノード :   常に 0。

  • PARENT_UNIQUE_NAME
    ノードの親の一意な名前。 ルート レベルのノードには NULL を返します。

  • NODE_DESCRIPTION
    ノードの説明。

    ルート ノード :   空白。

    回帰ノード :   すべて。

  • NODE_RULE
    線形回帰モデルでは使用されません。

  • MARGINAL_RULE
    線形回帰モデルでは使用されません。

  • NODE_PROBABILITY
    このノードに関連付けられている確率。

    ルート ノード :   0。

    回帰ノード :   1。

  • MARGINAL_PROBABILITY
    親ノードからノードに到達する確率。

    ルート ノード :   0。

    回帰ノード :   1。

  • NODE_DISTRIBUTION
    ノード内の値に関する統計情報を提供する、入れ子になったテーブル。

    ルート ノード :   0。

    回帰ノード :   回帰式の作成に使用される要素を含むテーブル。 回帰ノードには、次の値型が含まれます。

    VALUETYPE

    1 (Missing: 不足)

    3 (Continuous: 連続)

    7 (Coefficient: 係数)

    8 (Score Gain: スコア ゲイン)

    9 (Statistics: 統計)

    11 (Intercept: 切片)

  • NODE_SUPPORT
    このノードをサポートするケースの数。

    ルート ノード :   0。

    回帰ノード :   トレーニング ケースの数。

  • MSOLAP_MODEL_COLUMN
    予測可能な属性の名前。

  • MSOLAP_NODE_SCORE
    NODE_PROBABILITY と同じです。

  • MSOLAP_NODE_SHORT_CAPTION
    表示目的で使用されるラベル。

説明

Microsoft 線形回帰アルゴリズムを使用してモデルを作成すると、データ マイニング エンジンにより、デシジョン ツリー モデルの特殊なインスタンスが作成され、1 つのノードにすべてのトレーニング データを格納するようにツリーを制約するパラメーターが設定されます。 連続する入力はすべて、リグレッサ候補としてフラグが付けられ、評価されます。ただし、リグレッサとして最終的なモデルに保持されるのは、データに適合するリグレッサだけです。 分析では、リグレッサごとに 1 つの回帰式が生成されるか、回帰式がまったく生成されないかのいずれかです。

Microsoft ツリー ビューアー[(すべて)] ノードをクリックすると、完全な回帰式が [マイニング凡例] に表示されます。

また、連続する予測可能な属性を含むデシジョン ツリー モデルを作成した場合、回帰ツリー ノードのプロパティを共有する回帰ノードがツリーに含まれることがあります。

連続属性のノード分布

回帰ノードの重要な情報の大部分は、NODE_DISTRIBUTION テーブルに格納されます。 次の例は、NODE_DISTRIBUTION テーブルのレイアウトを示しています。 この例では、Targeted Mailing マイニング構造を使用して、年齢に基づいて顧客の収入を予測する線形回帰モデルを作成します。 このモデルは単に説明をわかりやすくするためのものであり、AdventureWorks2008R2 の既存のサンプル データとマイニング構造を使用して簡単に作成できます。

ATTRIBUTE_NAME

ATTRIBUTE_VALUE

SUPPORT

PROBABILITY

VARIANCE

VALUETYPE

Yearly Income

Missing

0

0.000457142857142857

0

1

Yearly Income

57220.8876687257

17484

0.999542857142857

1041275619.52776

3

Age

471.687717702463

0

0

126.969442359327

7

Age

234.680904692439

0

0

0

8

Age

45.4269617936399

0

0

126.969442359327

9

  

35793.5477381267

0

0

1012968919.28372

11

NODE_DISTRIBUTION テーブルには複数の行が格納されており、各行は変数でグループ化されています。 最初の 2 行は、値型が常に 1 と 3 で、対象の属性を表します。 3 行目以降の行は、特定のリグレッサの数式に関する詳細を提供します。 リグレッサは、出力変数との間に線形のリレーションシップがある入力変数です。 リグレッサは複数作成することができ、各リグレッサには、係数 (VALUETYPE = 7)、スコア ゲイン (VALUETYPE = 8)、および統計 (VALUETYPE = 9) が格納される個別の行が作成されます。 テーブルの最後の行には、式の切片 (VALUETYPE = 11) が格納されます。

回帰式の要素

入れ子になった NODE_DISTRIBUTION テーブルでは、回帰式の各要素が個別の行に格納されます。 例の結果に含まれるデータの最初の 2 行には、従属変数を表す予測可能な属性である Yearly Income に関する情報が格納されています。 SUPPORT 列には、この属性の 2 つの状態 (Yearly Income 値が使用できたことを示す状態と Yearly Income 値が不測していたことを示す状態) をサポートするケースの数が表示されます。

VARIANCE 列には、予測可能な属性の計算された分散が表示されます。 分散は、予想される分布でサンプル内の値がどのぐらい分散しているかを示す尺度です。 ここでは、平均値からの偏差の 2 乗の平均を取ることで分散を算出しています。 分散の平方根は標準偏差とも呼ばれます。標準偏差は、Analysis Services では提供されませんが、簡単に計算することができます。

リグレッサごとに 3 つの行が出力されます。 これらの行には、係数、スコア ゲイン、およびリグレッサの統計が格納されます。

テーブルの最後の行には、式の切片 (VALUETYPE = 11) が格納されます。

係数

リグレッサごとに係数 (VALUETYPE = 7) が計算されます。 係数自体は ATTRIBUTE_VALUE 列に表示されますが、係数の分散は VARIANCE 列に表示されます。 係数は、線形性が最も高くなるように計算されます。

スコア ゲイン

各リグレッサのスコア ゲイン (VALUETYPE = 8) は、属性の興味深さのスコアを表します。 この値を使用すると、複数のリグレッサの有用性を評価できます。

統計

リグレッサ統計 (VALUETYPE = 9) は、値があるケースの属性の平均値です。 平均値自体は ATTRIBUTE_VALUE 列に表示されますが、平均値からの偏差の合計は VARIANCE 列に表示されます。

切片

通常、回帰式の切片 (VALUETYPE = 11) または残余は、入力属性が 0 の位置にあるときの予測可能な属性の値を示します。 入力属性が 0 になることは通常はありません。0 になった場合、直観に反する結果が生じることがあります。

たとえば、年齢に基づいて収入を予測するモデルでは、年齢が 0 のときの収入がわかっても役には立ちません。 実際には、平均値に対する線の挙動を知る方が通常は役立ちます。 そのため、SQL Server Analysis Services では、各リグレッサを平均値とのリレーションシップで表すように切片が変更されています。

この変更は、マイニング モデル コンテンツで確認するのは困難ですが、Microsoft ツリー ビューアー[マイニング凡例] で完全な回帰式を表示するとすぐにわかります。 回帰式が 0 を表す位置から平均値を表す位置へとシフトしています。 これにより、現在のデータがより直感的にわかりやすい形で表示されます。

したがって、平均年齢が 45 歳前後である場合、回帰式の切片 (VALUETYPE = 11) は平均収入を示します。