レッスン 5: 予測クエリの実行
新規 : 2005 年 12 月 5 日
このレッスンでは、SELECT FROM <model> PREDICTION JOIN (DMX) 形式の SELECT ステートメントを使用して、「レッスン 2: Market Basket マイニング構造へのマイニング モデルの追加」で作成したデシジョン ツリー モデルに基づく 2 種類の予測を作成します。作成する予測の種類は次のとおりです。
- 単一クエリ
1 人の顧客が自転車を購入するかどうかを判断するには、単一クエリを使用します。たとえば、特定の市外局番内で、職場に近い場所に住んでおり、子供が 2 人いるという条件の潜在顧客を見つけた場合は、単一クエリを使用して、この人物が自転車を購入する可能性を特定できます。
- バッチ クエリ
複数の潜在顧客が含まれるテーブルの中から、自転車を購入する可能性がある人物を特定するには、バッチ クエリを使用します。たとえば、マーケティング部門から顧客と顧客の属性の一覧が提供された場合、バッチ予測を使用して、テーブルの中で自転車を購入する可能性が高い人物を特定できます。
SELECT FROM <model> PREDICTION JOIN (DMX) 形式の SELECT ステートメントは、次の 3 つの部分から構成されています。
- 結果セットで返される、マイニング モデル列と予測関数の一覧。これにはソース データからの入力列を含めることもできます。
- 予測の作成に使用するデータを定義しているソース クエリ。たとえば、バッチ クエリの場合は顧客の一覧などが該当します。
- マイニング モデル列とソース データ間のマッピング。これらの名前が同じ場合は、NATURAL 構文を使用して列マッピングを省略できます。
予測関数を使用すると、さらにクエリを改良できます。予測関数では、予測が発生する可能性など追加の情報と、トレーニング データセットでの予測サポートが提供されます。予測関数の詳細については、「関数 (DMX)」を参照してください。
このチュートリアルの予測は、AdventureWorksDW サンプル データベースの ProspectiveBuyer テーブルに基づくものです。ProspectiveBuyer テーブルには、潜在顧客と、それらの顧客に関連付けられている特性の一覧が格納されています。このテーブルに格納されている顧客は、デシジョン ツリー マイニング モデルの作成で使用した顧客とは異なります。
Business Intelligence Development Studio の予測クエリ ビルダを使用して予測を作成することもできます。詳細については、「予測クエリ ビルダを使用した DMX 予測クエリの作成」を参照してください。
このレッスンの作業
このレッスンでは、次の作業を行います。
- 特定の顧客が自転車を購入するかどうかを特定する単一クエリの作成
- 自転車を購入する可能性がある顧客を特定するバッチ クエリの作成
単一クエリ
最初の手順では、単一予測クエリで SELECT FROM <model> PREDICTION JOIN (DMX) を使用します。単一ステートメントの汎用例を次に示します。
SELECT <select list> FROM [<mining model name>]
NATURAL PREDICTION JOIN
(SELECT '<value>' AS [<column>], ...)
AS [<input aliast>]
コードの第 1 行では、クエリが返すマイニング モデルの列と、予測の生成に使用するマイニング モデルを定義します。
SELECT <select list> FROM [<mining model name>]
コードの次の行では、予測の作成に使用する顧客の特性を定義します。
NATURAL PREDICTION JOIN
(SELECT '<value>' AS [<column>], ...)
AS [<input alias>]
ORDER BY <expression>
NATURAL PREDICTION JOIN を指定した場合、サーバーでは、モデルの各列と入力された列が名前に基づいて照合されます。列名が一致しない場合は無視されます。
単一予測クエリを作成するには
オブジェクト エクスプローラで、Analysis Services インスタンスを右クリックし、[新しいクエリ] をポイントして [DMX] をクリックします。
クエリ エディタが開き、新しい空のクエリが表示されます。
上の単一ステートメントの汎用例を空のクエリにコピーします。
次の部分を探します。
<select list>
これを次の文字列に置き換えます。
[Bike Buyer] AS Buyer, PredictHistogram([Bike Buyer]) AS Statistics
AS ステートメントは、クエリで返される列に別名を付けるために使用します。PredictHistogram 関数では、可能性とサポートなどの予測に関する統計情報が返されます。予測ステートメントで使用できる関数の詳細については、「関数 (DMX)」を参照してください。
次の部分を探します。
[<mining model>]
これを次の文字列に置き換えます。
[Decision Tree]
次の部分を探します。
(SELECT '<value>' AS [<column name>], ...) AS t
これを次の文字列に置き換えます。
(SELECT 35 AS [Age], '5-10 Miles' AS [Commute Distance], '1' AS [House Owner Flag], 2 AS [Number Cars Owned], 2 AS [Total Children]) AS t
最終的なステートメントは次のようになります。
SELECT [Decision Tree].[Bike Buyer] AS Buyer, PredictHistogram([Bike Buyer]) AS Statistics FROM [Decision Tree] NATURAL PREDICTION JOIN (SELECT 35 AS [Age], '5-10 Miles' AS [Commute Distance], '1' AS [House Owner Flag], 2 AS [Number Cars Owned], 2 AS [Total Children]) AS t
[ファイル] メニューで、[名前を付けて DMXQuery1.dmx を保存] をクリックします。
[名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで、適切なフォルダを参照して指定し、ファイルに「Singleton_Query.dmx」という名前を付けます。
ツール バーの [実行] ボタンをクリックします。
クエリが実行され、指定した特性の顧客が自転車を購入するかどうかの予測と、予測に関する統計が返されます。
バッチ クエリ
次の手順では、バッチ予測クエリで SELECT FROM <model> PREDICTION JOIN (DMX) を使用します。バッチ ステートメントの汎用例を次に示します。
SELECT TOP <number> <select list>
FROM [<mining model name>]
PREDICTION JOIN
OPENQUERY([<datasource>],'<SELECT statement>')
AS [<input alias>]
ON <on clause>
WHERE <expression>
ORDER BY <expression>
単一クエリと同様に、コードの最初の 2 行では、クエリで返されるマイニング モデルの列と、予測の生成に使用するマイニング モデルの名前を定義します。TOP <number> ステートメントは、<number> で指定した数の結果だけを返すよう指定します。
コードの次の数行では、予測の基になるソース データを定義します。
OPENQUERY([<datasource>],'<SELECT statement>')
AS [<input alias>]
ソース データを取得するにはいくつかの方法がありますが、このチュートリアルでは OPENQUERY を使用します。使用できるオプションの詳細については、「<source data query>」を参照してください。
次の行では、マイニング モデルのソース列とソース データの列間のマッピングを定義します。
ON <on clause>
WHERE 句は、予測クエリで返される結果をフィルタ処理します。
WHERE <expression>
コードの最後の行では、結果の列の順序を指定します。
ORDER BY <expression> [DESC|ASC]
ORDER BY と TOP <number> ステートメントを組み合わせて使用し、返される結果をフィルタ処理します。たとえば、今回の予測では上位 10 人の自転車購入者が返され、結果は予測の精度が高い順序で並べ替えられます。[DESC|ASC] 構文を使用すると、結果を表示する順序を制御できます。
バッチ予測クエリを作成するには
オブジェクト エクスプローラで、Analysis Services インスタンスを右クリックし、[新しいクエリ] をポイントして [DMX] をクリックします。
クエリ エディタが開き、新しい空のクエリが表示されます。
上のバッチ ステートメントの汎用例を空のクエリにコピーします。
次の部分を探します。
<select list>
これを次の文字列に置き換えます。
SELECT TOP 10 t.[LastName], t.[FirstName], [Decision Tree].[Bike Buyer], PredictProbability([Bike Buyer])
TOP 10 を指定すると、上位 10 個の結果だけが返されます。このクエリの ORDER BY ステートメントでは、予測の精度が高い順序で結果が並べ替えられ、可能性が高い上位 10 件の結果だけが返されます。
次の部分を探します。
[<mining model>]
これを次の文字列に置き換えます。
[Decision Tree]
次の部分を探します。
OPENQUERY([<datasource>],'<SELECT statement>')
これを次の文字列に置き換えます。
OPENQUERY([Adventure Works DW], 'SELECT [LastName], [FirstName], [MaritalStatus], [Gender], [YearlyIncome], [TotalChildren], [NumberChildrenAtHome], [Education], [Occupation], [HouseOwnerFlag], [NumberCarsOwned] FROM [dbo].[ProspectiveBuyer] ') AS t
次の部分を探します。
<on clause> WHERE <expression> ORDER BY <expression>
これを次の文字列に置き換えます。
[Decision Tree].[Marital Status] = t.[MaritalStatus] AND [Decision Tree].[Gender] = t.[Gender] AND [Decision Tree].[Yearly Income] = t.[YearlyIncome] AND [Decision Tree].[Total Children] = t.[TotalChildren] AND [Decision Tree].[Number Children At Home] = t.[NumberChildrenAtHome] AND [Decision Tree].[Education] = t.[Education] AND [Decision Tree].[Occupation] = t.[Occupation] AND [Decision Tree].[House Owner Flag] = t.[HouseOwnerFlag] AND [Decision Tree].[Number Cars Owned] = t.[NumberCarsOwned] WHERE [Decision Tree].[Bike Buyer] =1 ORDER BY PredictProbability([Bike Buyer]) DESC
DESC を指定して、可能性が高いものが結果一覧の先頭になるようにします。
最終的なステートメントは次のようになります。
SELECT TOP 10 t.[LastName], t.[FirstName], [Decision Tree].[Bike Buyer], PredictProbability([Bike Buyer]) From [Decision Tree] PREDICTION JOIN OPENQUERY([Adventure Works DW], 'SELECT [LastName], [FirstName], [MaritalStatus], [Gender], [YearlyIncome], [TotalChildren], [NumberChildrenAtHome], [Education], [Occupation], [HouseOwnerFlag], [NumberCarsOwned] FROM [dbo].[ProspectiveBuyer] ') AS t ON [Decision Tree].[Marital Status] = t.[MaritalStatus] AND [Decision Tree].[Gender] = t.[Gender] AND [Decision Tree].[Yearly Income] = t.[YearlyIncome] AND [Decision Tree].[Total Children] = t.[TotalChildren] AND [Decision Tree].[Number Children At Home] = t.[NumberChildrenAtHome] AND [Decision Tree].[Education] = t.[Education] AND [Decision Tree].[Occupation] = t.[Occupation] AND [Decision Tree].[House Owner Flag] = t.[HouseOwnerFlag] AND [Decision Tree].[Number Cars Owned] = t.[NumberCarsOwned] WHERE [Decision Tree].[Bike Buyer] =1 ORDER BY PredictProbability([Bike Buyer]) DESC
[ファイル] メニューで、[名前を付けて DMXQuery1.dmx を保存] をクリックします。
[名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで、適切なフォルダを参照して指定し、ファイルに「Batch_Prediction.dmx」という名前を付けます。
ツール バーの [実行] ボタンをクリックします。
クエリが実行され、顧客名、各顧客が自転車を購入するかどうかの予測、予測の精度を含むテーブルが返されます。
以上で Bike Buyer チュートリアルは終了です。これで、顧客の類似性を特定し、潜在顧客が自転車を購入するかどうかを予測するために使用できるマイニング モデルのセットが完成しました。
Market Basket シナリオで DMX を使用する方法については、「マーケット バスケット DMX のチュートリアル」を参照してください。