分析観点
Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services でユーザーがキューブ内を移動する場合、キューブが非常に複雑であるために困難を伴うことがあります。1 つのキューブで完全なデータ ウェアハウスのコンテンツを表現することができ、キューブ内の複数のメジャー グループで複数のファクト テーブルを表したり、複数のディメンション テーブルに基づいた複数のディメンションを伴うことがあります。このようなキューブは非常に複雑で強力ですが、ビジネス インテリジェンス要件やレポート要件を満たすために、キューブのごく一部分しか操作する必要のないユーザーにとっては大きな負担になります。
Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) では、分析観点を使用して、複雑な Analysis Services のキューブをよりわかりやすいものにすることができます。分析観点を使用すると、ビジネス固有またはアプリケーション固有のビューポイントをキューブに対して的を絞って作成するための、表示可能なサブセットを定義できます。分析観点により、キューブに含まれるオブジェクトの表示設定が決定されます。分析観点では、次のオブジェクトの表示または非表示が可能です。
- ディメンション
- 属性
- 階層
- メジャー グループ
- メジャー
- 主要業績評価指標 (KPI)
- 計算 (計算されるメンバ、名前付きセット、スクリプト コマンド)
- アクション
たとえば、Adventure Works DW という Analysis Services サンプル データベースの Adventure Works キューブには、11 個のメジャー グループと、売上、売上予測、財務データなどを表す 21 個のキューブ ディメンションが含まれています。クライアント アプリケーションは完全なキューブを直接参照できますが、基本的な売上予測情報を抽出しようとしているユーザーにとって、このビューポイントでは扱いづらい可能性があります。これに対し、同じユーザーが [販売対象] 分析観点を使用すると、Adventure Works キューブのビューを、売上予測に関連するオブジェクトのみに限定することができます。
分析観点でユーザーに表示されないキューブ内のオブジェクトでも、XML for Analysis (XMLA)、多次元式 (MDX)、またはデータ マイニング式 (DMX) のステートメントを使用して、直接参照し取得することができます。分析観点はキューブ内のオブジェクトへのアクセスを制限するものではありません。そのような目的で使用しないでください。分析観点は、キューブへのアクセスをより快適にするために使用するものです。
分析観点はキューブの読み取り専用ビューであり、分析観点を使用してキューブ内のオブジェクトを変更したり、名前を変更したりすることはできません。同様に、分析観点を使用して表示部分の合計などのキューブの動作や機能を変更することもできません。
セキュリティ
分析観点は、セキュリティ メカニズムとして使用するためのものではなく、ビジネス インテリジェンス アプリケーションでのユーザーの使用体験をより良いものにするためのツールとして使用するものです。特定の分析観点のセキュリティはすべて、基になるキューブから継承されます。たとえば、分析観点では、ユーザーがアクセス権を持っていないキューブ内のオブジェクトにアクセスできません。分析観点でキューブのオブジェクトへのアクセスが提供されるようにするには、そのキューブのセキュリティを解決しておく必要があります。関連トピック :Analysis Services のセキュリティ保護