移行に関する注意点 (SSAS)
以前のバージョンの MicrosoftSQL ServerAnalysis Services から SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) に移行する場合は、機能、構造、および動作の変更に注意する必要があります。この概要トピックでは、データ マイニングおよび Analysis Services エンジンに関連する移行の一般的な注意点について説明します。移行に関する注意点の具体的な内容については、次のトピックを参照してください。
- SQL Server 2005 Analysis Services の既知のアップグレード問題
- 既存の Analysis Services データベースの移行
- SQL Server 2005 で提供が中止された Analysis Services の機能
- SQL Server 2005 における Analysis Services 非推奨機能
SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) で新たに追加された機能および強化された機能の詳細については、「Analysis Services の機能強化 (SSAS)」を参照してください。
Analysis Services の移行に関する注意点
Analysis Services オブジェクト
次の表は、SQL Server 2000 Analysis Services オブジェクトと SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) オブジェクトの対応関係を示しています。
| SQL Server 2000 Analysis Services オブジェクト | SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) オブジェクト | 詳細情報 |
|---|---|---|
集計 |
集計 |
hybrid OLAP (HOLAP) パーティションおよび多次元 OLAP (MOLAP) パーティションの集計のみが移行されます。 |
Analysis Services データベース |
Analysis Services データベース |
ありません。 |
コマンド |
MDX スクリプト |
多次元式 (MDX) スクリプトは、コマンド コレクションを含むオブジェクトに対して記述されます。 |
キューブ |
キューブ |
同じデータ ソースを共有するすべてのディメンション、仮想ディメンション、およびキューブに対しても、1 つのデータ ソース ビューが作成されます。次に、各マイニング モデルとデータ マイニング ディメンションに対してデータ ソース ビューが作成されます。 |
キューブとデータベースのロールのコマンド |
移行されない |
ありません。 |
キューブ ロール |
キューブ権限 |
ディメンション権限とセル権限は移行されません。 |
データ マイニング ディメンション |
データ マイニング ディメンション |
各データ マイニング ディメンションに対してデータ ソース ビューも作成されます。 |
データ ソース |
データ ソース |
ありません。 |
データベース ロール |
データベース ロールとデータベース権限 |
ありません。 |
ディメンション |
単一階層のディメンション |
ありません。 |
同じ名前のプレフィックスを共有するディメンション (複数の階層を表す) |
単一階層の個別のディメンション |
元の階層名を参照する MDX 式は機能しません。 |
階層のレベル |
ディメンションの属性およびユーザー定義階層のレベル |
ありません。 |
リンク キューブ |
移行されない |
ありません。 |
レベルのメンバ プロパティ |
レベルのメンバ プロパティ |
ありません。 |
マイニング モデル |
マイニング モデル |
データベース内の各マイニング モデルに対して、データ ソース ビューが作成されます。 |
マイニング モデル ロール |
2 つの権限 (マイニング構造用とマイニング モデル用) として移行 |
ありません。 |
ディメンション内の複数の親子階層 |
単一の親子階層 (親属性の設定によって定義される) |
元の階層を参照する MDX 式は機能しません。SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) ディメンションでは、単一の親子階層のみを使用できます。 |
リモート パーティション |
移行されない |
リモート パーティションは、そのパーティションが所在するサーバーがアップグレードされるか、リモート パーティションを含むデータベースが移行されるまでは、使用できません。リモート パーティションを含むデータベースは、個別に移行できます。リモート パーティションの定義を更新して、新しいサーバー インスタンスの名前を識別する必要があります。 |
リポジトリ |
XML 形式のオブジェクト定義言語 (ODL) ファイル |
ありません。 |
仮想キューブ |
リンク メジャー グループ |
ありません。 |
仮想ディメンション |
ソース ディメンションの階層 |
仮想親子ディメンションは別々のディメンションとして移行されます。親子ディメンションが複数の階層を持つことができないためです。 |
カスタム レベル式
SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) では、割り当てによって、計算されるセルとカスタム レベル式が置き換えられます。計算されるセルは SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) でもサポートされているので、SQL Server 2000 Analysis Services から、定義されているとおりに移行されます。ただし、カスタム レベル式は割り当てとして移行されます。
SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) では、パスごとに計算パスが自動的に 1 増えます。したがって、キューブにカスタム レベル式が含まれている場合は、意図したとおりの結果が得られるかどうかを必ず確認してください。
データ ソース ビュー
データ ソース ビューは SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) の新機能です。データ ソース ビューは、SQL Server 2000 Analysis Services のキューブ スキーマとは異なります。データ ソース ビューはソース データを論理的に表したものであり、これを基に複数のキューブを定義できます。一方、SQL Server 2000 Analysis Services のキューブ スキーマは、各キューブに対応するテーブル間の関係を物理的に表したものです。
多層ディメンションの移行
SQL Server 2000 Analysis Services と SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) との間で、多層ディメンションのモデルが変更されました。可能な場合は階層が同じディメンションに移行されますが、状況によってはそうならないこともあります。同じディメンションに移行できない場合、元のディメンション階層に依存する計算が失敗する可能性があります。
SQL 構文
SQL クエリを記述する方法が SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) で変更されました。SQL Server 2005 Books Online では、新しい構文のバッカスナウア記法 (BNF) が使用されています。
スキーマ行セットの変更
より多くの情報を提供するため、SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) のスキーマ行セットが増えました。ほとんどの場合、既存の行セットと列の位置と意味は SQL Server 2000 Analysis Services と同じです。次の表は、SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) で変更されたスキーマ行セットを示しています。
| スキーマ | 列 | 変更 |
|---|---|---|
DBSCHEMA_TABLES_INFO |
すべて |
このスキーマはサポートされなくなりました。 |
MDSCHEMA_CELL_FORMULAS |
すべて |
このスキーマはサポートされなくなりました。 |
MDSCHEMA_DIMENSIONS |
DIMENSION_CARDINALITY |
この列は、ディメンション キー属性メンバの数を返します。 |
MDSCHEMA_MEMBERS |
LEVELS_LIST |
このスキーマ列には NULL が含まれます。 |
MDSCHEMA_MEMBERS |
MEMBER_ORDINAL |
この列は非推奨となっています。メンバ序数の代わりに値 0 が返されます。 |
一意のメンバ名
SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) と SQL Server 2000 Analysis Services とでは、一意のメンバ名が異なります。そのため、元の一意の名前を使用してメンバ スキーマから結果を取得した場合、SQL Server 2000 Analysis Services と同じ結果が返されない可能性があります。
データ マイニングの移行に関する注意点
移行ウィザードによって、すべてのマイニング モデルが SQL Server 2000 Analysis Services データベースから SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) データベースに移行されます。その際、移行元データベースのマイニング モデルごとに、移行先データベースに新しいマイニング構造が作成されます。マイニング構造にはモデルが 1 つだけ含まれ、そのモデルには、転送元データベースのマイニング モデルと同じ名前が付けられます。
SQL Server 2000 Analysis Services から SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) のインスタンスへマイニング モデルを個別に移行するには、PMML (Predictive Model Markup Language) を使用します。次のステートメントは、SQL Server 2000 Analysis Services マイニング モデルの PMML 表現を XML スクリプトの形式で取得します。
SELECT * FROM [Model_Name].PMML
OLE DB スキーマ DMSCHEMA_MINING_MODEL_XML を取得しても、同じ情報を得ることができます。
PMML スクリプトを使用して、SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) のインスタンスに新しいマイニング モデルを作成できます。その際、次のようなステートメントを使用します。
CREATE MINING MODEL [Model_Name] FROM PMML '<PMML script>'
Analysis Services 移行ウィザードを使用してマイニング モデルを移行する場合、このウィザードがサポートしているのはメタデータのみであることに注意してください。したがって、移行したマイニング モデルは処理されません。ただし、モデルには元のデータ バインドが含まれているため、移行後に SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) で処理できます。一方、PMML を使用してモデルを移行する場合は、元のデータ バインドが保存されません。したがって、移行したモデルを再処理することはできません。ただし、モデルはすぐに使用できます。移行元モデルによって検出されたパターンと傾向が PMML に含まれているためです。
データ マイニング移行に関する既知の問題
- マイニング モデルに複数のケースレベル キーがあり、入れ子になったテーブルに複数のキーがある場合、移行できません。
- 集計されたデータ マイニング プロバイダを使用して作成されたマイニング モデルは、移行できません。
変更履歴
| リリース | 履歴 |
|---|---|
2006 年 7 月 17 日 |
|
参照
概念
Analysis Services のアップグレードまたは移行