計算されるメンバーの作成
キューブ データ、算術演算子、数値、関数などを組み合わせることによって、「計算されるメンバー」と呼ばれる、カスタマイズされたメジャーまたはディメンション メンバーを作成できます。 たとえば、既存のドル メジャーに換算率を掛けて、ドルをユーロに換算する、Euro という計算されるメンバーを作成できます。 Euro は、別個の行または列に表示されます。
計算されるメンバーの定義は格納されますが、その値はメモリにしか存在しません。 上記の例では、Euro の値はエンド ユーザーに表示されますが、キューブ データとしては格納されません。
計算されるメンバーはキューブで作成します。 計算されるメンバーを作成するには、キューブ デザイナーの [計算] タブで、ツール バーの [新しい計算されるメンバー] アイコンをクリックします。 このコマンドでは、計算されるメンバーの次のオプションを指定するためのフォームが表示されます。
名前
計算されるメンバーの名前を選択します。 キューブを参照すると、この名前は、計算されるメンバーの値の列または行のヘッダーとして表示されます。
親階層
計算されるメンバーに含める親階層を選択します。 階層は、キューブ内の数値データ (メジャー) を分析目的で分割する基準となる、ディメンションの記述カテゴリです。 表形式のブラウザーでは、エンド ユーザーがキューブ内のデータを参照すると、階層に列ヘッダーと行ヘッダーが表示されます。 グラフィカルなブラウザーでは、別の種類の説明ラベルが表示されますが、機能は表形式のブラウザーの場合と同じです。計算されるメンバーでは、選択した親ディメンション内に新しいヘッダー (ラベル) が作成されます。
また、計算されるメンバーを、ディメンションではなくメジャーに含めることもできます。 この場合も、新しい列ヘッダーまたは行ヘッダーが表示されますが、ブラウザーではメジャーに付加されます。
[親メンバー]
計算されるメンバーを含める親メンバーを選択するには、 [変更] をクリックします。 親ディメンションとして 1 レベルの階層または MEASURES を選択した場合、このオプションは使用できません。
階層はレベルに分割され、そこにメンバーが含まれています。 各メンバーによってヘッダーが作成されます。 キューブ内のデータを参照中、選択したヘッダーから、これまで表示されていなかった下位のヘッダーにドリル ダウンできます。 計算されるメンバーのヘッダーは、選択した親メンバーの直下に属するレベルに追加されます。
[式]
計算されるメンバーの値を作成する式を指定します。 この式は、多次元式 (MDX) で記述できます。 式には、次の要素を含めることができます。
ディメンション、レベル、メジャーなどのキューブのコンポーネントを表すデータ式
算術演算子
数値
関数
[計算ツール] ペインの [メタデータ] タブからキューブのコンポーネントをドラッグまたはコピーして、簡単に式に追加できます。
重要
計算されるメンバーが、別の計算されるメンバーの値式で使用される場合は、先に作成しておく必要があります。
書式設定文字列
計算されるメンバーに基づいたセル値の書式を指定します。 このプロパティは、メジャーの Display Format
プロパティと同じ値を使用します。 表示形式の詳細については、「 メジャーのプロパティの構成」を参照してください。
Visible
計算されるメンバーをキューブ メタデータの取得時に表示するかどうかを決定します。 計算されるメンバーを表示しない場合でも、そのメンバーを MDX 式、ステートメント、およびスクリプトで使用できますが、クライアント ユーザー インターフェイスでは選択可能なオブジェクトとしては表示されません。
空以外の動作
MDX の NON EMPTY クエリの解決に使用するメジャー名を格納します。 このプロパティが空白の場合、メンバーが空であるかどうかを判断するために、計算されるメンバーを繰り返し評価する必要があります。 このプロパティに 1 つまたは複数のメジャーの名前が格納されている場合、指定されたすべてのメジャーが空であれば、計算されるメンバーも空として処理されます。 このプロパティは、Null 値以外のレコードだけを返す最適化ヒントとして Analysis Services に渡されます。 Null 値以外のレコードだけが返されるので、NON EMPTY 演算子や NonEmpty 関数を利用する MDX クエリや、セル値の計算を必要とする MDX クエリのパフォーマンスが向上します。 セルの計算で最良のパフォーマンスを得るには、できるだけ 1 つのメンバーのみを指定してください。
[色の式]
計算されるメンバーの値に基づいてセルの前景色と背景色を動的に設定する MDX 式を指定します。 クライアント アプリケーションでサポートされていない場合、このプロパティは無視されます。
[フォントの式]
計算されるメンバーの値に基づいてセルのフォント、フォント サイズ、およびフォントの属性を動的に設定する MDX 式を指定します。 クライアント アプリケーションでサポートされていない場合、このプロパティは無視されます。
キューブ コンポーネントは、 [計算ツール] ペインの [メタデータ] タブから計算式ペインの [式] ボックスにコピーまたはドラッグできます。 関数は、 [計算ツール] ペインの [関数] タブから計算式ペインの [式] ボックスにコピーまたはドラッグできます。
計算されるメンバーのアドレス指定
キューブ デザイナー の [計算]タブで、計算されるメンバーを作成する場合は、そのメンバーを格納する親階層を指定します。 親階層では、次の規則に従って、計算されるメンバーのアドレス指定方法を決定します。
- 計算されるメンバーがメジャー ディメンションで作成された場合、そのメンバーはそのディメンション内でアドレス指定可能です。