プロジェクトのライフ サイクルを計画する (Project Server 2010)
適用先: Project Server 2010
トピックの最終更新日: 2010-04-07
プロジェクトのライフ サイクルを効果的に管理する数多くの方法論とシステムがあります。ここでは、それらの方法論やシステムのいずれかを支持するものではありません。ここでは Project Server 管理者にプロジェクトの作成活動、保守活動、およびアーカイブ活動の一覧を提供することを目的とします。組織が使用している方法論にかかわらず、これらの作業はその性質上一般的で、同じか、少なくとも似たものになります。これらの活動を計画することによって、プロジェクトを確実に、組織の目標と一致させ、エンド ユーザーの満足度も高めるような方法で管理できます。ここで説明するさまざまなオプションとプロセスの詳細については、「Project Server 2010 の運用」を参照してください。この記事の目的は、Project Server 2010 の展開と構成を計画する責任者に対して、これらの機能に関連した選択を行う必要があるということについて注意を促すことです。
プロジェクトを作成する
プロジェクトでは、概念から実行に移行するまでに多くの方法が存在します。ときには、プロセスは正式なものではなく、短時間のうちにブレーンストーミングによってホワイトボードに書き出されたものであることもあります。一方、何年にもわたる研究や慎重な分析の後にプロジェクトが作成される場合もあります。計画と管理を行わないと、この作成プロセスは雑然としたものになるおそれがあります。この結果、効率の低下、リソースの誤った割り当て、優先順位の間違い、重複した作業、手法の競合、ビジネス チャンスの喪失など、組織にとって多くの形で代償が生じます。以下では、Microsoft Project 2010 を使って組織のプロジェクトを作成する際に考慮する必要がある、いくつか主要なポイントについて説明します。
提案を計画する
プロジェクト提案機能には、Project Server へのプロジェクトの入力を管理する機構が備わっています。これにより、提案データをプロジェクト データと共に保存することで、ビジネスの意思決定者にとって付加価値が生まれます。この機能を使用すると、レポート、モデル、およびパイプラインの分析が向上し、提案の管理プロセスの自動化に役立ちます。
提案は、制限されたプロジェクトです。制限されているのは、Microsoft Project Professional 2010 を使用するときに利用できるすべての機能は、提案の使用時に利用できないためです。プロジェクト提案はエンタープライズ プロジェクトではありません。この限定された軽量な種類のプロジェクトは、多くのユーザーにとって便利です。この提案により、ユーザーはプロジェクトおよびリソースを簡単に計画できる機能を使用してプロジェクト提案を提出でき、プロジェクトを Project Server に追加するための簡単なゲート メカニズムが提供されます。プロジェクト提案は、エンタープライズ プロジェクトに変換する前に確認の対象になります。プロジェクト提案には、ビジネスの意思決定者が提案を承認するか却下できるようにする、基本的な情報が含まれます。提案には、以下のような情報が含まれます。
プロジェクト名
プロジェクトの説明
提案された開始日と終了日
提案されたコスト
リソースの要件
提案は、Microsoft Project Web App (PWA) で作成します。PWA にアクセスできるユーザーは、だれでも提案を表示できます。プロジェクト提案を作成するには、"新規メンテナンス プロジェクトの作成" のアクセス権を割り当てられている必要があります。
提案は、Microsoft SharePoint Server 2010で利用できるワークフローを操作できるように構成できます。
提案機能がワークフロー用に構成されている場合、作業の多くがワークフローによって自動的に行われます。提案が作成されると、ワークフローでは、提案が提案プロセスを進めるにつれて提案確認者と提案作成者用のタスク割り当てが生成されます。これらのタスクは、提案ワークフローのタスクの Web パーツを通じて所有者に表示されます。
リソースを計画する
エンタープライズ リソースは、エンタープライズ プロジェクトでタスクを完了するために使用される人、機材、および材料です。エンタープライズ リソースは組織のリソース共有元の一部であり、Project Server 2010 データベースに集中的に保存されます。プロジェクトでタスクにリソースを割り当てるときは、プロジェクト管理者が使用するエンタープライズ リソース共有元を作成できます。そのためには、リソースをエンタープライズ リソース共有元に追加するか、リソースをインポートします。エンタープライズ リソース共有元にリソースを追加する前に、エンタープライズ グローバル テンプレートの内容を定義します。
組織のエンタープライズ リソース共有元を正しく作成して管理できるようにする前に、エンタープライズ リソース ユーザー設定フィールドを慎重に定義して文書化し、作成する必要があります。さらに、大規模な組織では、エンタープライズ リソース共有元を最初に入力することは、エンタープライズ リソース共有元を正確かつ最新の状態に保つプロセスと同様に重要です。エンタープライズ リソース共有元に保存され、管理されるリソース情報への重要な変更の追跡は、フルタイムの活動となることがあります。
Project Server 2010 のエンタープライズ リソース共有元を作成する前に、開始ポイントを決定する必要があります。エンタープライズ リソース共有元へのリソースの追加プロセスは、以下のようにそれぞれ異なります。
新規プロジェクトで開始しているかどうか - このシナリオでは、準備は最小になります。1 つのドキュメントに必要なリソース情報をすべてまとめることができると、このプロセスは簡略化されます。用紙に一覧を作成します。次に、確認したリソースを Active Directory からインポートするか、フォーム認証を使用している場合はメンバーシップ ストアからインポートします。または、Microsoft Excel を使用してこの情報を収集することもできます。次に、作成されたスプレッドシートを Project Professional 2010 にインポートし、Project Server データベースに保存します。
エンタープライズ リソース共有元を作成するかどうか - このシナリオでは、Project Professional 2010 でエンタープライズ リソース共有元を作成します。Project Professional 2010 を使用して Project Server 2010 に接続し、エンタープライズ リソース共有元をチェックアウトします。リソースを入力し、エンタープライズ リソース共有元を保存します。
ユーザー設定フィールドを計画する
Project Server 2010 には、カスタマイズできる参照テーブルとフィールドがあります。ユーザー設定フィールドには、タスク、リソース、または割り当てに関する情報を含めることができます。Project Server 2010 では、カスタマイズされたデータを含むことができるフィールドには、テキスト、フラグ、数値、日付、コスト、開始日と終了日、および期間があります。数式、特定の値の計算、または画像マークを使用してこれらのフィールドをカスタマイズし、必要な情報を得ることができます。
他のフィールドへの参照を含む独自の数式を記述し、ユーザー設定フィールドで計算できます。ユーザー設定フィールドで値の一覧を作成すると、データを迅速かつ正確に入力できるようになります。ユーザー設定フィールドには、実際のデータの代わりに画像マークを表示できます。この方法を使用すると、そのフィールドのデータが特定の条件を満たすかどうかをすばやく確認できます。たとえば、データが指定した範囲を超えるかどうか、リソースが割り当て超過になっているかどうかなどです。プロジェクトで、参考のためにユーザー設定フィールドの階層構造を作成することもできます。たとえば、会社のコスト コードをプロジェクト データに関連付けたいとします。この構造を作成し、これらのユーザー設定フィールドをデータに適用すると、それらを使用してプロジェクト データを簡単に抽出、並べ替え、およびグループ化できます。
Project Server 2010 では、ローカルおよびエンタープライズの 2 種類のユーザー設定フィールドがあります。ローカル ユーザー設定フィールドは、特定のプロジェクトの範囲内でプロジェクト管理者によって使用されます。エンタープライズ ユーザー設定フィールドは、PMO (Project Management Office) によって使用され、組織全体にわたる重ね合わせレポートのデータが収集されます。エンタープライズ タスクおよびプロジェクトのユーザー設定フィールドについては、Project Server 2010 では特定のプログラムへのスコープ (プロジェクトのコレクション) という概念がサポートされます。この方法を使用すると、プロジェクトのサブセットに適用されるエンタープライズ ユーザー設定フィールドを定義できます。
プロジェクトを中止する
プロジェクトを中止するときには、考慮する必要がある活動がいくつかあります。プロジェクトの中止時に基本的なクリーンアップを実行すると、Project Server のパフォーマンスの向上に役立ちます。また、プロジェクトをセキュリティで保護し、履歴を確認するなどの目的で情報を必要としているユーザーのみが、プロジェクトを表示するようにできます。リソース、割り当てなど、使用されていない他のエンタープライズ オブジェクトを削除すると、サーバーのパフォーマンスの低下を防ぐ上で役立ちます。
アーカイブを計画する
PWA では、数多くのエンタープライズ オブジェクトをバックアップできます。
プロジェクト
エンタープライズ リソース共有元とカレンダー
エンタープライズ ユーザー設定フィールド
エンタープライズ グローバル
ビューの定義
システム設定
カテゴリおよびグループ設定
これらのオブジェクトをバックアップすると、特定のアイテムを選択して復元し、それらのアイテムの複数のバージョンを維持できます。
バックアップは、[データベース管理] の [サーバー設定] ページで行います。次の 2 つの方法を使用できます。
スケジュールによるバックアップ
管理用バックアップ
管理用バックアップを使用すると、いつでもエンタープライズ オブジェクトをバックアップできます。スケジュールによるバックアップでは、その名前が示すとおり、スケジュールした時刻に毎日エンタープライズ オブジェクトをバックアップできます。エンタープライズ オブジェクトは定期的にバックアップし、スケジュールする場合はサーバーの使用率が低い時刻の選択をお勧めします。データベースをバックアップする計画も必要です。
バックアップしたオブジェクトは、Project Server 2010 アーカイブ データベースに保存されます。
プロジェクトが完了すると、そのプロジェクトを中止するためのいくつかのオプションを利用できます。
Project Server 2010 発行済みデータベースおよび下書きデータベースからエンタープライズ オブジェクトを削除し、コピーをアーカイブ データベースに維持します。
すべての Project Server 2010 データベースからエンタープライズ オブジェクトを削除し、アーカイブにはデータベースのバックアップを使用します。
すべてのユーザーへのアクセスを拒否し、一部のユーザーへのアクセスを許可する特別な Project Server カテゴリにプロジェクトを配置します。
特別な Project Server カテゴリへのプロジェクトの配置
中止されたプロジェクトを特定のユーザーのみが表示できるようにするには、そのための特別な Project Server カテゴリを作成します。プロジェクトと、プロジェクトにアクセスさせたくないすべてのユーザーを追加し、すべてのアクセス許可を [拒否] に設定します。ユーザー、グループ、およびカテゴリの詳細については、「Project Server 2010 でグループ、カテゴリ、および RBS を計画する」を参照してください。
クリーンアップを計画する
プロジェクトの完了時に使用されていないエンタープライズ オブジェクトを削除すると、サーバーのパフォーマンスの低下を防ぐ上で役立ちます。特に、割り当てを削除すると長期的なサーバーのパフォーマンスにとって有益です。また、エンタープライズで使用されなくなったリソースは削除することをお勧めします。プロジェクトの完了時に使用されていないエンタープライズ オブジェクトを削除すると、データベース サーバーのディスク容量も節約されます。