Office 2010 の XML ファイル形式の概要
適用先: Office 2010
トピックの最終更新日: 2016-11-29
Microsoft Office 2010 および 2007 Microsoft Office system は、信頼性の高い XML ファイル形式をサポートしており、Office アプリケーションとエンタープライズ ビジネス システムの間でのデータ交換が容易になります。これらの XML ファイル形式はオープンな標準を基盤としています。さまざまなデータ ソースから迅速にドキュメントを作成でき、ドキュメントの組み立て、データ マイニング、およびコンテンツの再利用を促進できます。
2007 Office system は ECMA-376 Office Open XML 形式の標準をサポートしています。この標準は後に ISO/IEC に提出され、2008 年後半に ISO/IEC 29500 Office Open XML 形式の標準として発行されました。Office 2010 は、ECMA-376 の読み取り、ISO/IEC 29500 Transitional の読み取り/書き込み、および ISO/IEC 29500 Strict の読み取りをサポートしています。
ISO/IEC 29500 Office Open XML 形式のドキュメントは ISO/IEC から公開されており、ECMA-376 のドキュメントは ECMA International から公開されています。Office 2010 および 2007 Office system でのこれらのファイル形式のサポートの詳細については、MSDN の「Microsoft Office File Format Documents (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=191143\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
この記事の内容
Open XML 形式の利点
Open XML 形式の構造
Open XML 形式の利点
Open XML 形式には、開発者、IT 担当者、およびユーザーに役立つさまざまな利点があります。たとえば、次のような利点があります。
コンパクトなファイル形式 ドキュメントは自動的に圧縮され、サイズが最大で 75% 小さくなります。
破損したファイルの回復の強化 データをモジュール化して格納しているため、グラフ、表など、ファイル内のいずれかのコンポーネントが破損してもファイルを開くことができます。
ドキュメントの安全性の向上 OLE オブジェクト、Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) コードなどの埋め込みコードは、ファイル内の独立したセクションに格納されるので、簡単に識別して特別な処理を実行できます。IT 管理者は、不要なマクロやコントロールを含むドキュメントをブロックできるので、ユーザーがドキュメントを開くときの安全性が向上します。
統合のしやすさの向上 開発者は、グラフ、コメント、ドキュメント メタデータなど、ファイル内の特定のコンテンツに直接アクセスできます。
透過性と情報セキュリティの向上 ユーザー名、コメント、変更履歴、ファイル パスなど、個人を特定できる情報や企業の機密情報を簡単に識別して削除できるので、ドキュメントを安全に共有できます。
互換性 Microsoft Office 2000、Microsoft Office XP、および Microsoft Office 2003 の各エディションのユーザーは、Microsoft Office 互換機能パックをインストールすることで、新しい XML ファイル形式のいずれかのドキュメントを開いて、編集し、保存できるようになります。
Open XML 形式の構造
Open XML 形式の基本構造は、次の 5 つの要素で構成されています。以下のセクションでは、それぞれの要素についてさらに詳しく説明します。
開始パーツ 階層の最上位のパーツです。
XML パーツ ファイルの中身を構成する XML を含むファイルまたはフォルダーです。
非 XML パーツ XML ではないパーツで、通常は画像または OLE オブジェクトです。
リレーションシップ パーツ 他のパーツを汎用的に指すためのパーツで、パーツ構造の関係の階層を定義します。
ZIP パッケージ パーツを単一のファイルにまとめます。
開始パーツ
開始パーツは、リレーションシップ パーツであり、最上位のパーツとみなすことができる XML パーツです。ファイルの種類は開始パーツにより決まります。たとえば、コア コンテナーの名前が WordDoc の場合、ファイル名の拡張子は .docx です。
XML パーツ
Office 2010 または 2007 Office system で Office XML 形式のファイルを保存すると、ファイルはファイル全体を表す論理パーツのセットに分割されます。Microsoft Word では、ファイルをパーツに分割することによって、元の Office アプリケーションの外部で容易にファイルを検索または編集できます。
たとえば、プロパティは単一のパーツに配置され、このパーツを削除することによってドキュメント コンテナーからパーツを削除できるので、開発者はファイルから容易にドキュメントのプロパティを削除できます。WordprocessingML (Office 2003 のオプションの XML ファイル形式) では、コメントを削除するには、ファイル全体を解析し、コメントの内容を表す XML を検索して削除する必要がありました。新しいファイル形式では、機能に関連するデータはパーツに分割されています。コメント、リンク、ヘッダー、フッター、およびその他のデータは、削除できる個別のパーツに格納されます。Word 文書全体を解析する必要はありません。
非 XML パーツ
非 XML パーツは、一般的に画像および OLE オブジェクトです。バイナリ コンテンツを使用するか、または XML を使用しないファイルの種類はすべて、非 XML として識別されます。非 XML パーツは、通常、ドキュメントに添付されたファイルまたは埋め込まれたファイルです。Word XML 形式のスキーマ ドキュメントでは、Word でこのような種類のファイルを処理するために使用されるリテラルの関係とスキーマの階層について説明しています。
リレーションシップ パーツ
リレーションシップ パーツは、他のパーツを指す XML パーツで、パーツのリレーションシップ階層を定義します。最上位の XML パーツはリレーションシップ パーツです。データを含み、他のパーツを指し示さない XML パーツはプリミティブとも呼ばれ、通常、コンテンツの種類は application/xml になります。
ZIP パッケージ
ZIP パッケージを使用すると、すべてのアプリケーションで以下の利点があります。
オープン標準 ZIP 圧縮アルゴリズムは、明確に定義されたオープン標準です。
ファイル サイズの削減 同じ内容のバイナリ ファイルに比べて、一般的にファイルのサイズが小さくなります。画像の数にもよりますが、Word Open XML ファイルは、バイナリ ファイルよりも平均で 75% サイズが小さくなります。
堅牢性の向上 ファイルの堅牢性が向上し、ファイル内のエラーの影響を受けにくくなっています。以前の形式のファイルは、エラーがまったく含まれていない場合に限り正常に機能しました。
ZIP パッケージの使用は、ファイルがバイナリ形式であることを意味しますが、WinFX アプリケーション プログラミング インターフェイス (API) セットによって、System.IO.Packaging 名前空間のパッケージ形式がネイティブにサポートされます。これによって、開発者はパッケージの展開や圧縮を考慮することなく、この形式を処理したり、論理モデル (パーツ) を直接操作するツールを作成できます。