Eseutil /D 最適化モード
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2009-03-16
Exchange Server データベース ユーティリティ (Eseutil.exe) の /D スイッチを使用すると、データベースをオフラインで最適化し、圧縮することができます。最適化オプションにより、使用されている格納域の連続化、使用されていない格納域の削除、およびデータベースの圧縮を行って、データベース ファイルのサイズを小さくすることができます。
Eseutil /D 構文の使用方法については、「Eseutil /D (最適化) を実行する方法」を参照してください。
通常の運用中に、データベース ファイルが現在のサイズより小さくなることはありません。アイテムの削除によってデータベースの領域が解放されると、可能な場合は既存のページが再利用されます。一般的に、Microsoft Exchange Server データベースのサイズはサービス開始から数か月間は増大しますが、やがて安定します。
通常の状態でオフラインでのディスクの最適化を実行しても、大量のディスク領域が完全に回復することはありません。ファイルは最適化する前のサイズに再度増大する傾向があります。
Eseutil による最適化の動作のしくみ
最適化プロセスの一環として、Eseutil は元のデータベースの情報がすべて含まれる新しいデータベースを作成します。最適化が完了すると、元のデータベースは削除されるか、またはユーザーが指定した場所に保存され、新しいバージョンが元のデータベース名に変更されます。このツールは問題のあるレコードを検出すると、停止してエラー メッセージを表示します。
オフラインでのディスクの最適化を実行すると、Exchange によってデータベース ファイルの一時コピーが作成されます。データベース ファイルのテーブルは保持されて一時データベースにコピーされますが、空のページは破棄され、インデックスが再構築されます。この動作によってデータベースの物理ページ番号が変更されるため、ページはコピー時に変更されます。ページ間のページ リンクはすべて更新され、データベースに残されるすべてのページに整合性チェックが実行されます。
データベースの最適化にかかる時間
最適化が完了するまでに必要な時間は、データベース ファイルのサイズではなく、データベースにどれだけ空の領域があるかによって異なります。たとえば、10 GB のデータを含む 100 GB のデータベースの最適化にかかる時間は、10 GB のデータを含む 11 GB のデータベースの最適化にかかる時間とほぼ同じです。
既定では、最適化が完了した後で、一時データベースが自動的に新しい運用データベースになり、元の運用データベース ファイルは削除されます。同じ論理ドライブに元のデータベース ファイルのサイズと同じ空き領域があると、最適化にかかる時間を大幅に短縮できます。この場合、一時データベースを同じ論理ドライブに置くことができるため、最後のコピーが即座に完了します。
一時データベースを保持するためにネットワーク ドライブを使用することはお勧めしません。一時データベースとしてネットワーク ドライブを使用する場合、最適化に時間がかかり、一時的または恒久的なネットワーク エラーが発生した場合に最適化プロセスが終了します。最適化は再開できないため、最初からやり直す必要があります。
注 : |
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論理ドライブに必要な追加のディスク領域は、最適化後の最終的なファイル サイズと同程度です。ディスク領域がどの程度再生利用されるかを正確に予測することはできませんが、110% 程度の空きディスク ドライブ領域を残しておくことをお勧めします。 |
データベースの空き領域の容量を確認する方法
Exchange のデータベース ファイル内の使用可能な空き領域の容量は、オンラインでのデータベースの最適化を実行した後でイベント ログに記録されるイベントに示されます。オンラインでのディスクの最適化は、通常のデータベースの保守を行う間に自動的に実行されます。また、関連付けられているログ出力レベルが [なし] に設定されている場合でも、イベントはイベント ログに記録されます。メールボックス データベースまたはパブリック フォルダ データベースに関しては、次のようなイベントがイベント ログに記録されます。
イベントの種類 : 情報
イベント ソース : MSExchangeIS メールボックス ストア
イベント カテゴリ : 全般
イベント ID : 1221
日付 : 8/16/2006
時刻 : 9:15:00 AM
ユーザー : 該当なし
コンピュータ : Computer Name
説明 : オンラインでのディスクの最適化が終了した後、データベース "storage_group\mailbox_database" には nnn MB の空き領域があります。
注 : |
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Exchange Server 2007 では、イベント ID 1221 のメッセージの説明には、"オンラインでのディスクの最適化が終了した後、データベース "storage_group\mailbox_database" には %1 MB の空き容量があります。" というテキストが含まれます。 Storage_group はストレージ グループの名前、mailbox_database はメールボックス データベースの名前、nnn は使用可能な空き領域の容量 (MB) です。Computer Name は Exchange Server コンピュータの名前です。 |
キュー データベース (Exchange エッジ トランスポートまたはハブ トランスポート サーバーの役割上にあるトランスポートのデータベース) の場合、次のようなイベントがイベント ログに出力されます。
イベントの種類 : 情報
イベント ソース : MSExchangeTransport
イベント カテゴリ : コンポーネント
イベント ID : 7007
日付 : 8/16/2006
時刻 : 01:00:02 午前
ユーザー : 該当なし
コンピュータ : Computer Name
説明 : データベース mail.que に対するオンラインでの最適化が完了しました。データベースの空き容量は nnn バイトです。
注 : |
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前の説明における nnn は、使用可能な空き領域の容量 (バイト) です。Computer Name は Exchange Server コンピュータの名前です。 |
空き領域の容量を確認するもう 1 つの方法は、オフライン データベース ファイルに対し Eseutil /ms を使用して領域のダンプを実行することです (たとえば、eseutil /ms Mailbox Database.edb というコマンドを実行します)。領域のダンプによってテーブルが出力されます。このテーブルから、利用可能な列の数値にページ サイズを乗算して、データベース ファイルの空き領域を確認します。Eseutil ファイル ダンプ モードの詳細については、「Eseutil /M ファイル ダンプ モード」を参照してください。
Eseutil /D を実行する状況
Eseutil /D を実行して Exchange データベースの最適化を行うことが適切な状況がいくつかあります。このような状況の一部を以下に示します。
- 再生利用することが可能だが、再利用されていないデータベースの空き領域の容量が多い。
- データベース ファイルのインデックスに影響を及ぼす ESE -1018 エラーが発生している。このような場合、オフラインでのディスクの最適化によってインデックスが再構築されます。オフラインでのディスクの最適化を効果的に実行すると、このような破損はなくなります。
- データベース ファイルが Eseutil /P を使用して修復された。修復を実行した後、データベース ファイルで Eseutil によるオフラインでのディスクの最適化を実行する必要があります。
- Exchange 2007 ハブ トランスポート サーバーまたはエッジ トランスポート サーバーにあるキュー データベース ファイルでメール ストームが発生している。メール ストームとは、トランスポート サービスが電子メール メッセージを処理できる速度を上回る速さで、トランスポート キューをいっぱいにする大量のメールです。この動作によってキューがメールでいっぱいになるため、キュー データベースが必要に応じて拡張されます。ストームのメールが処理され、オンラインでの最適化がデータベースで実行されると、空き領域の一部はデータベースに残ります。この空き領域を再生利用してデータベースを縮小するには、Eseutil /D を実行してオフラインでのデータベースの最適化を行います。
Eseutil /D を実行しない状況
Eseutil /D を実行して Exchange データベースの最適化を行うことが適切でない状況がいくつかあります。このような状況の一部を以下に示します。
- Eseutil によるオフラインでのディスクの最適化を、通常のメンテナンスの一環として実行しない。Exchange では、Exchange の日常のメンテナンスを行うための自動最適化をオンラインで毎晩実行します。毎日、毎月、または毎年の保守で、オフラインでのディスクの最適化を実行する理由はありません。
- データベースが整合状態にない場合、Eseutil によるディスクの最適化を実行しない。
- メールボックスを移動できるデータベースがある場合は、Eseutil によるオフラインでのディスクの最適化を実行しない。これを行うと、エンド ユーザーのダウンタイムが短縮されます。オフラインでのディスクの最適化はオフラインで行われるため、最適化の実行中にユーザーは各自のメールボックスにアクセスできません。エンド ユーザーへの影響を少なくするには、可能な場合はメールボックスの移動操作を実行して、メールボックスを別のデータベースに移動します。詳細については、「メールボックスの移動」を参照してください。
- ESE -1018 エラーがデータベース ファイルのデータ部分に影響する場合は、Eseutil によるオフラインでのディスクの最適化を実行しない。このような場合、オフラインでのディスクの最適化によってエラーが検出され、その時点で処理は中止されます。
詳細情報
Eseutil の詳細については、次のトピックを参照してください。
- Eseutil /P 修復モード
- Eseutil /C 復元モード
- Eseutil /R 回復モード
- Eseutil /G 整合性モード
- Eseutil /M ファイル ダンプ モード
- Eseutil /K チェックサム モード
- Eseutil /Y コピー ファイル モード
- 一般的な Eseutil エラーのリファレンス
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。