次の方法で共有


PerformancePoint Services のスコアカードの書式設定

最終更新日: 2011年8月30日

適用対象: SharePoint Server 2010

Microsoft SharePoint Server 2010 の PerformancePoint Services でスコアカード変換を使用する一般的なシナリオは、条件に基づいてスコアカード ビューの書式設定を変更することです。ここでは、書式設定を定義するオブジェクト、書式設定の継承階層、およびスコアカードの書式設定のレンダリング処理について説明します。

適用先: PerformancePoint Services for SharePoint Server (Enterprise バージョン)

スコアカードの書式設定を定義するオブジェクト

PerformancePoint Services オブジェクト モデルの複数のオブジェクトを使用して、スコアカード ビューの書式設定を定義します。書式設定は、スコアカード レベルで定義されている既定の設定を持つ継承階層に従います。既定の設定は、ヘッダー (行の次に列) 設定によってオーバーライドされます。ヘッダー設定は、セル レベルの設定によってオーバーライドされます。

次のオブジェクトは、プログラムによってアクセスできる書式設定プロパティを含んでいます。

  • GridViewData  スコアカード ビューを表します。

  • GridHeaderItem  行と列のヘッダー セルを表します。

  • GridCell  行ヘッダーと列ヘッダーの交差点にあるデータ セルを表します。

次の表では、スコアカード ビューの書式設定プロパティを説明します。グローバル (既定) 設定からセル レベルの設定の順に並んでいます。

表 1. スコアカード ビューの書式設定プロパティ

書式設定プロパティ

説明

GridViewData.DefaultCellFormatInfo

スコアカード セルの既定の書式設定。

GridViewData.DefaultColumnHeaderFormatInfo

列ヘッダー セルの既定の書式設定。
GridViewData.DefaultCellFormatInfo をオーバーライドします。

GridViewData.DefaultRowHeaderFormatInfo

行ヘッダー セルの既定の書式設定。
GridViewData.DefaultCellFormatInfo をオーバーライドします。

GridHeaderItem.ResolvedHeaderFormatInfo

列または行のヘッダー セルをレンダリングするために使用する書式設定。この設定は、GridHeaderItem.HeaderFormatInfoGridViewData.DefaultColumnHeaderFormatInfo または GridViewData.DefaultRowHeaderFormatInfo、および GridViewData.DefaultCellFormatInfo に定義されている設定を評価した結果です。

注意

このプロパティは、GridViewData が生成された後で作成されました。このため、変換を使用して変更することはできません。

GridHeaderItem.HeaderFormatInfo

ダッシュボードの作成者によって設計時に定義されたヘッダーの書式設定。
GridViewData.DefaultColumnHeaderFormatInfoGridViewData.DefaultRowHeaderFormatInfo をオーバーライドします。

GridHeaderItem.CellFormatInfo

列または行に属するデータ セルの書式設定。
GridViewData.DefaultCellFormatInfo をオーバーライドします。

GridCell.FormatInfo

ダッシュボードの作成者によって設計時に定義されたセルの書式設定。
GridHeaderItem.CellFormatInfoGridViewData.DefaultCellFormatInfo をオーバーライドします。

GridCell.ResolvedFormatInfo

データ セルをレンダリングするために使用する書式設定。この設定は、GridCell.FormatInfo、列ヘッダー用の GridHeaderItem.CellFormatInfo、行ヘッダー用の GridHeaderItem.CellFormatInfo、および GridViewData.DefaultCellFormatInfo によって定義されている設定を評価した結果です。

注意

このプロパティは、GridViewData が生成された後で作成されました。このため、変換を使用して変更することはできません。

前の表で説明した書式設定プロパティは、GridFormatInfo オブジェクトを返します。このオブジェクトでは、背景色、フォント スタイルなど、個別の書式設定プロパティの設定を指定します。

GridFormatInfo オブジェクト

GridFormatInfo オブジェクトのプロパティは、スコアカード ビューに使用できる書式設定を表します。次の表では、このプロパティについて説明します。

表 2. GridFormatInfo のプロパティ

プロパティ

説明

BackColor

GridColor オブジェクトによって表される、セルの背景色。

FontInfo

GridFontInfo オブジェクトによって表される、セルの内容のフォント ファミリ、スタイル、およびサイズ。

ForeColor

GridColor オブジェクトによって表される、セルの内容のフォントの色。

HorizontalAlignment

GridFormatInfo.HorizontalAlignments オブジェクトによって表される、セルの内容の水平方向の配置。

TextWrap

セルの内容を折り返して表示できるかどうかを示します。Trinary オブジェクトによって表されます。

VerticalAlignment

GridFormatInfo.VerticalAlignments オブジェクトによって表される、セルの内容の垂直方向の配置。

セルの書式設定のレンダリング処理

スコアカード ビューのレンダリング処理中に、PerformancePoint Services は、逆の継承順序に従って、各スコアカード セルの書式設定を確認します。セル レベルの設定は、列ヘッダー レベルの設定をオーバーライドし、列ヘッダー レベルの設定は、行ヘッダー レベルの設定をオーバーライドし、行ヘッダー レベルの設定は、スコアカード レベルの設定をオーバーライドします。

注意

ヘッダーの書式設定をレンダリングする処理は、セルの書式設定をレンダリングする処理に似ています。ただし、セル レベルのチェックは行われず、GridHeaderItem.HeaderFormatInfo プロパティの評価から開始されます。

次の手順では、レンダリングされるセルの書式設定を決定するプロセスを説明します。

  1. GridCell.FormatInfo プロパティで指定される、書式設定の明示的な値が存在するかどうかについてセルがチェックされます。

    セルでいずれかの書式設定が定義されている場合、つまり、いずれかの設定が未定義の場合、書式設定プロパティの値を使用して、セルがレンダリングされます。たとえば、セルでフォント スタイルとして Bold が定義されている場合、セルのテキストは太字でレンダリングされます。この値は、ヘッダーまたはスコアカード レベルで定義されているフォント スタイルの設定をオーバーライドします。

  2. セルに対して定義されていない書式設定の明示的な値が存在するかどうかについて列ヘッダーがチェックされます。列ヘッダーの設定は、列ヘッダーの GridHeaderItem.CellFormatInfo プロパティによって指定されます。

    列ヘッダーで、セルに対して定義されていない設定が明示的に定義されている場合、その設定が使用されます。

  3. セルと列ヘッダーに対して定義されていない書式設定の明示的な値が存在するかどうかについて行ヘッダーがチェックされます。行ヘッダーの設定は、行ヘッダーの GridHeaderItem.CellFormatInfo プロパティによって指定されます。

    行ヘッダーで、セルまたは列ヘッダーに対して定義されていない設定が明示的に定義されている場合、その設定が使用されます。

  4. セル、列ヘッダー、および行ヘッダーに対して定義されていない書式設定の明示的な値が存在するかどうかについてスコアカードがチェックされます。スコアカード レベルの設定は、GridViewData.DefaultCellFormatInfo プロパティによって指定されます。

    スコアカード レベルの設定は、セル、列ヘッダー、および行ヘッダーに対して定義されていない書式設定に使用されます。

関連項目

タスク

[方法] PerformancePoint Services のスコアカード変換を作成する

その他の技術情報

PerformancePoint Services スコアカード