IMAP 移行バッチ用の CSV ファイル
適用先: Exchange Online
IMAP 移行でユーザーのメールボックスの内容を移行するときに使用する CSV ファイルでは、各行が 1 ユーザーを表します。各行には、ユーザーの Exchange Online メールボックスと IMAP メールボックスに関する情報が記録されており、Exchange Online はこの情報を使用して移行処理を行います。
目次
必須の属性
CSV ファイル形式
大規模な移行は複数のバッチに分割する
エンド ユーザーの資格情報または管理者の資格情報のいずれかを用意する
さまざまな IMAP サーバーについての管理者の資格情報の形式
オプションの UserRoot 属性を使用する
必須の属性
各ユーザーの必須属性は次のとおりです。
EmailAddress ユーザーの Exchange Online メールボックスのユーザー ID を指定します。
UserName IMAP サーバー上のユーザーのメールボックスのユーザー ログイン名を指定します。ユーザー名またはドメイン\ユーザー名のいずれかの形式を使用することができます。たとえば、
hollyh
またはcontoso\hollyh
のように指定します。Password IMAP メッセージング システムでのユーザーのアカウントのパスワードです。
これらの属性のうち、CSV ファイルのヘッダー行に含まれていないものが 1 つでもあると、移行は失敗します。また、属性名は、ここに示すとおりに正確に入力してください。属性にスペースを含めることはできず、1 つの語にする必要があります。たとえば、Email Address は無効であり、EmailAddress を使用する必要があります。
CSV ファイル形式
以下に、CSV ファイルの形式の例を示します。この例では、エンド ユーザーの資格情報を使用して 3 個のメールボックスを移行しています。
EmailAddress,UserName,Password
terrya@contoso.edu,contoso\terry.adams,1091990
annb@contoso.edu,contoso\ann.beebe,2111991
paulc@contoso.edu,contoso\paul.cannon,3281986
CSV ファイルの最初の行、つまりヘッダー行には、後続の行で指定される属性 (つまり、フィールド) の名前が示されます。各属性名はコンマで区切ります。
ヘッダー行の下の各行は個々のユーザーを表します。これらの行には、そのユーザーのメールボックスを移行するための情報が含まれます。各行の属性値は、ヘッダー行の属性名と同じ順序で並んでいる必要があります。各属性値はコンマで区切ります。
CSV ファイルの作成には、任意のテキスト エディターや、Microsoft Excel などのアプリケーションを使用します。ファイルは .csv ファイルまたは .txt ファイルとして保存します。
ヒント
CSV ファイルに非 ASCII 文字や特殊文字が含まれている場合は、UTF-8 などの Unicode エンコードで CSV ファイルを保存してください。アプリケーションによって、コンピューターのシステム ロケールが CSV ファイルで使用されている言語と一致するときには、CSV ファイルを UTF-8 などの Unicode エンコードで保存した方が簡単な場合があります。
必須の属性
大規模な移行は複数のバッチに分割する
CSV ファイルは、各ユーザーにつき 1 行で最大 50,000 行を含むことができ、最大サイズは 10 MB です。しかし、ユーザーの移行は小さなバッチに分割して実行することをお勧めします。
多数のユーザーを移行する場合は、各バッチに含めるユーザーを決定します。たとえば、移行するアカウントが 10,000 個ある場合は、2,500 ユーザーずつ 4 つのバッチを実行します。バッチはアルファベット順に分割することもできます。また、教員、学生、卒業生などのユーザーの種類別や 1 年生、2 年生、3 年生、4 年生などのクラス別に分割することも、あるいは組織のニーズに合った別の方法で分割することもできます。
ヒント
Exchange Online メールボックスを作成して、同じグループのユーザーの電子メールをまとめて移行するのも 1 つの方法です。たとえば、100 人の新しいユーザーを Office 365 組織にインポートする場合は、同じ 100 ユーザーの移行バッチを作成します。これにより、社内メッセージング システムから Exchange Online への移行を効率的に整理し管理できます。
必須の属性
エンド ユーザーの資格情報または管理者の資格情報のいずれかを用意する
CSV ファイルには、ユーザーの社内アカウントのユーザー名とパスワードを記述する必要があります。移行プロセスでは、これらを使用してアカウントにアクセスできます。これを実行するには、次の 2 つの方法があります。
エンド ユーザーの資格情報を使用する。 この場合は、ユーザーのパスワードを入手するか、または、ユーザーのパスワードを既知の値に変更してそれを CSV ファイルに記述する必要があります。
ヒント
このオプションを使用する場合は、社内アカウントのパスワードをユーザーが自分で変更できないようにします。最初の移行後にユーザーが自分のパスワードを変更すると、IMAP サーバーのメールボックスと Exchange Online メールボックスの間のその後の同期は失敗します。
スーパー ユーザーまたは管理者の資格情報を使用する。 この場合は、すべてのユーザーのメールボックスにアクセスするのに必要な権限を持った IMAP メッセージング システムのアカウントを使用する必要があります。CSV ファイルでは、各行にこのアカウントの資格情報を使用します。IMAP サーバーがこの方法をサポートしているかどうかと、この方法を有効にする方法を確認するには、IMAP サーバーのドキュメントを参照してください。
注意
管理者の資格情報を使用することをお勧めします。管理者の資格情報を使用すると、ユーザーに影響を与えたり、不便を感じたりさせることがありません。たとえば、最初の移行後にユーザーが自分のパスワードを変更しても問題は起こりません。
必須の属性
さまざまな IMAP サーバーについての管理者の資格情報の形式
CSV ファイルの各行の UserName フィールドと Password フィールドに、管理者アカウントのユーザー名とパスワードを指定できます。管理者の資格情報のユーザー名は、電子メールが移行されるユーザーのユーザー名とすべてのユーザーのメールボックスにアクセスする権限を持つ管理者アカウントのユーザー名を組み合わせたものです。管理者の資格情報でサポートされる形式は、電子メールの移行元の IMAP サーバーによって異なります。管理者の資格情報の使用方法の詳細については、IMAP サーバーのドキュメントを参照してください。
注意
新しい移行要求を送信すると、CSV ファイルは、Secure Sockets Layer (SSL) 接続を経由して、Microsoft データセンターにアップロードされます。CSV ファイルからの情報は、Microsoft データセンターの Microsoft Exchange サーバーで暗号化されて格納されます。
次のセクションでは、異なるタイプの IMAP サーバーから電子メールを移行するのに使用する CSV ファイルで管理者の資格情報の書式を設定する方法について説明します。
必須の属性
Microsoft Exchange
Microsoft Exchange の IMAP 実装から電子メールを移行する場合、CSV ファイルでは UserName 属性に Domain/Admin_UserName/User_UserName という形式を使用します。Terry Adams、Ann Beebe、および Paul Cannon の電子メールを Exchange から移行するとします。メール管理者アカウントのユーザー名は mailadmin で、パスワードは P@ssw0rd です。CSV ファイルは次のようになります。
EmailAddress,UserName,Password
terrya@contoso.edu,contoso-students/mailadmin/terry.adams,P@ssw0rd
annb@contoso.edu,contoso-students/mailadmin/ann.beebe,P@ssw0rd
paulc@contoso.edu,contoso-students/mailadmin/paul.cannon,P@ssw0rd
Dovecot
Simple Authentication and Security Layer (SASL) をサポートしている IMAP サーバー (Dovecot IMAP サーバーなど) では、User_UserName*Admin_UserName の形式を使用します。ここで、アスタリスク ( * ) は、構成可能な区切り文字です。 たとえば、管理者の資格情報 (mailadmin と P@ssw0rd) を使用して、上記の同じユーザーの電子メールを Dovecot IMAP サーバーから移行するとします。CSV ファイルは次のようになります。
EmailAddress,UserName,Password
terrya@contoso.edu,terry.adams*mailadmin,P@ssw0rd
annb@contoso.edu,ann.beebe*mailadmin,P@ssw0rd
paulc@contoso.edu,paul.cannon*mailadmin,P@ssw0rd
Mirapoint
Mirapoint Message Server から電子メールを移行する場合は、管理者の資格情報に #user@domain#Admin_UserName# の形式を使用します。管理者の資格情報である mailadmin と P@ssw0rd を使用して Mirapoint から電子メールを移行するには、CSV ファイルは次のようになります。
EmailAddress,UserName,Password
terrya@contoso.edu,#terry.adams@contoso-students.edu#mailadmin#,P@ssw0rd
annb@contoso.edu,#ann.beebe@contoso-students.edu#mailadmin#,P@ssw0rd
paulc@contoso.edu,#paul.cannon@contoso-students.edu#mailadmin#,P@ssw0rd
必須の属性
オプションの UserRoot 属性を使用する
Courier IMAP のような一部の IMAP サーバーでは、管理者の資格情報を使用してメールボックスを Exchange Online に移行する方法がサポートされていません。管理者の資格情報を使用してメールボックスを移行するには、仮想共有フォルダーを使用するように IMAP サーバーを構成します。仮想共有フォルダーを使用すると、管理者のログオン資格情報を使用して IMAP サーバー上のユーザー メールボックスにアクセスできるようになります。Courier IMAP で仮想共有フォルダーを構成する方法の詳細については、「Shared Folders (共有フォルダー)」」を参照してください。
メールボックスを移行するには、IMAP サーバーで仮想共有フォルダーをセットアップした後、オプションの UserRoot 属性を CSV ファイルに含める必要があります。この属性では、IMAP サーバー上の仮想共有フォルダー構造にある各ユーザーのメールボックスの場所を指定します。
以下に、UserRoot 属性を含む CSV ファイルの例を示します。
EmailAddress,UserName,Password,UserRoot
terrya@contoso.edu,mailadmin,P@ssw0rd,/users/terry.adams
annb@contoso.edu,mailadmin,P@ssw0rd,/users/ann.beebe
paulc@contoso.edu,mailadmin,P@ssw0rd,/users/paul.cannon
必須の属性