MTOM エンコーディング
このサンプルでは、WSHttpBinding で Message Transmission Optimization Mechanism (MTOM) メッセージ エンコーディングを使用する方法を示します。MTOM は、大きなサイズのバイナリ添付データを、SOAP メッセージを使用して未処理のバイトとして転送するための機構です。これにより、メッセージのサイズを縮小できます。
既定では、WSHttpBinding はメッセージを標準のテキスト XML として送受信します。MTOM メッセージの送受信を有効にするには、バインディングの構成で messageEncoding 属性を設定するか (次のコード サンプルを参照)、または MessageEncoding プロパティを使用して、バインディング上で直接有効にします。これにより、サービスまたはクライアントで MTOM メッセージを送受信できるようになります。
<wsHttpBinding>
<binding name="WSHttpBinding_IUpload" messageEncoding="Mtom"/>
</wsHttpBinding>
MTOM エンコーダでは、バイト配列とストリームを最適化できます。このサンプルでは、操作に Stream
パラメータを使用して、最適化できるようにします。
[ServiceContract(Namespace="http://Microsoft.ServiceModel.Samples")]
public interface IUpload
{
[OperationContract]
int Upload(Stream data);
}
このサンプル用に選択されたコントラクトは、バイナリ データをサービスに転送し、アップロードされたバイト数を戻り値として受け取ります。サービスをインストールしてクライアントを実行すると、数字の 1000 が出力されます。これは、合計 1,000 バイトのデータが受信されたことを示します。出力の残りの部分には、さまざまなペイロードの最適化されたメッセージのサイズと最適化されなかったメッセージのサイズが表示されます。
Output:
1000
Text encoding with a 100 byte payload: 433
MTOM encoding with a 100 byte payload: 912
Text encoding with a 1000 byte payload: 1633
MTOM encoding with a 1000 byte payload: 2080
Text encoding with a 10000 byte payload: 13633
MTOM encoding with a 10000 byte payload: 11080
Text encoding with a 100000 byte payload: 133633
MTOM encoding with a 100000 byte payload: 101080
Text encoding with a 1000000 byte payload: 1333633
MTOM encoding with a 1000000 byte payload: 1001080
Press <ENTER> to terminate client.
MTOM を使用する目的は、大きいサイズのバイナリ ペイロードの転送を最適化することです。MTOM を使用して SOAP メッセージを送信すると、小さなサイズのバイナリ ペイロードでオーバーヘッドが顕著に表れますが、数千バイトを越すようになるとオーバーヘッドは大きく減少します。この理由は、標準のテキスト XML が Base64 を使用してバイナリ データをエンコードするためです。このエンコードには 3 バイトごとに 4 文字が必要で、データのサイズは 3 分の 1 増加します。MTOM はバイナリ データを未処理のバイトとして転送できます。これによりエンコードとデコードの時間が節約でき、その結果メッセージのサイズが小さくなります。数千バイトというしきい値は、現在のビジネス ドキュメントやデジタル写真のサイズを考えると小さい値です。
サンプルを設定、ビルド、および実行するには
「Windows Communication Foundation サンプルの 1 回限りのセットアップの手順」が実行済みであることを確認します。
ソリューションの C# 版または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「Windows Communication Foundation サンプルのビルド」の手順に従います。
単一コンピュータ構成か複数コンピュータ構成かに応じて、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。
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