ASP.NET のキャッシュ機能
パフォーマンスに優れ、スケーラブルな Web アプリケーションを構築するための最も重要な要素の 1 つは、データ オブジェクト、ページ、ページの一部などのアイテムを、最初に要求された時点でメモリに格納する機能です。これらのアイテムは、プロキシ サーバーやブラウザのように、要求ストリームで指定された Web サーバーまたはその他のソフトウェア上に格納できます。これによって、以前の要求を満たした情報、特に、プロセッサ時間やその他のリソースを大量に必要とする情報を再作成する必要がなくなります。キャッシュと呼ばれるこの機能では、さまざまな技術を使用し、複数の HTTP 要求にわたってページ出力やアプリケーション データを格納し、再利用できます。そのため、サーバーでは情報を再作成する必要がなく、時間とリソースを節約できます。
ASP.NET には、パフォーマンスの高い Web アプリケーションを作成するために使用できる、2 種類のキャッシュが用意されています。1 つは、出力キャッシュと呼ばれ、動的ページの応答やユーザー コントロールの応答を、応答側のサーバーから要求側のブラウザに送信される出力ストリームの任意の HTTP 1.1 キャッシュ対応デバイスに格納できます。それ以降の要求時には、ページ コードやユーザー コントロール コードは実行されず、キャッシュされた出力を使って要求を満たします。もう 1 つは、従来のアプリケーション データ キャッシュで、データ セットなどの任意のオブジェクトをサーバーのメモリにプログラムによって格納でき、アプリケーションがそれらのオブジェクトを再作成するために必要な時間とリソースを節約できます。
このセクションの内容
- ASP.NET ページのキャッシュ
ページ出力キャッシュを利用できるようにするために、ページに対して行う必要のある変更について説明します。これには、要求元の URI、GET クエリ文字列やフォームの POST パラメータ、およびカスタム文字列に基づいてページ出力のキャッシュを切り替える方法の詳細も含まれます。ASP.NET では、HttpCachePolicy クラスを Page.Response プロパティを通じてプログラムによって操作するか、または宣言ディレクティブ構文を使用して操作できます。 - ASP.NET ページの一部だけのキャッシュ
@ OutputCache ディレクティブやユーザー コントロールを使用して、ページの一部だけをキャッシュする方法について説明します。この方法は、ページ全体をキャッシュしない場合に役立ちます。 - アプリケーション データのキャッシュ
ASP.NET アプリケーション キャッシュを使用するときの概念に関する概要を説明し、ASP.NET アプリケーション キャッシュのクラス、メソッド、およびプロパティの使用方法の例を示します。
関連項目
- @ OutputCache
ASP.NET ページやユーザー コントロールのページ出力キャッシュ設定を変更するために、ページ開発者が利用できる構文の詳細について説明します。 - ASP.NET の最適化
パフォーマンスの優れた ASP.NET Web アプリケーションを開発するための推奨事項について説明します。これには、アプリケーションのパフォーマンスのテストおよび監視を行うために使用できるツールについての概要も含まれます。また、ASP.NET に付属する各種パフォーマンス カウンタのリストも含まれています。 - ASP.NET Web アプリケーションの作成
ASP.NET とその機能について、Web フォームや Web サービスを含めて紹介します。 - System.Web.Caching
ASP.NET アプリケーション キャッシュを実装するクラスおよび列挙型の使用方法について説明します。 - HttpCachePolicy クラス
キャッシュ固有の HTTP ヘッダーを設定するメソッドと、ASP.NET 出力キャッシュを制御するメソッドが含まれています。 - HttpCacheability 列挙体
Cache-Control HTTP ヘッダーを設定するために使用する列挙値を提供します。