Format コマンドを使った出力ビューの変更
PowerShell には、特定のオブジェクトに対するプロパティの表示方法を制御できるコマンドレットのセットが用意されています。 すべてのコマンドレットの名前は、動詞 Format
から始まります。 これらには、表示するプロパティを選択できます。
Get-Command -Verb Format -Module Microsoft.PowerShell.Utility
CommandType Name Version Source
----------- ---- ------- ------
Cmdlet Format-Custom 6.1.0.0 Microsoft.PowerShell.Utility
Cmdlet Format-Hex 6.1.0.0 Microsoft.PowerShell.Utility
Cmdlet Format-List 6.1.0.0 Microsoft.PowerShell.Utility
Cmdlet Format-Table 6.1.0.0 Microsoft.PowerShell.Utility
Cmdlet Format-Wide 6.1.0.0 Microsoft.PowerShell.Utility
この記事では、Format-Wide
、Format-List
、Format-Table
のコマンドレットについて説明します。
PowerShell の各オブジェクトの種類には、表示するプロパティを選ばない場合に使用される既定のプロパティがあります。 各コマンドレットは同じ Property パラメーターを使い、表示するプロパティを指定します。 Format-Wide
はプロパティを 1 つだけ表示するため、その Property パラメーターには値を 1 つだけ設定します。ただし、Format-List
と Format-Table
の Property パラメーターには、プロパティ名のリストを使用できます。
この例では、Get-Process
コマンドレットの既定の出力は、Internet Explorer の 2 つのインスタンスが実行されていることを示しています。
Get-Process -Name iexplore
Process オブジェクトの既定の形式では、次に示すプロパティが表示されます。
NPM(K) PM(M) WS(M) CPU(s) Id SI ProcessName
------ ----- ----- ------ -- -- -----------
32 25.52 10.25 13.11 12808 1 iexplore
52 11.46 26.46 3.55 21748 1 iexplore
単一項目出力のための Format-Wide の使用
Format-Wide
コマンドレットでは、既定では、オブジェクトの既定のプロパティだけが表示されます。 各オブジェクトに関連付けられている情報が、1 つの列に表示されます。
Get-Command -Verb Format | Format-Wide
Format-Custom Format-Hex
Format-List Format-Table
Format-Wide
既定以外のプロパティを指定することもできます。
Get-Command -Verb Format | Format-Wide -Property Noun
Custom Hex
List Table
Wide
列による Format-Wide 表示の制御
Format-Wide
コマンドレットでは、一度に表示できるプロパティは 1 つだけです。 これは、大きなリストを複数の列に表示する場合に便利です。
Get-Command -Verb Format | Format-Wide -Property Noun -Column 3
Custom Hex List
Table Wide
リスト ビューのための Format-List の使用
Format-List
コマンドレットによって、リストの形式でオブジェクトを表示します。各プロパティはラベル付けされ、別々の行に表示されます。
Get-Process -Name iexplore | Format-List
Id : 12808
Handles : 578
CPU : 13.140625
SI : 1
Name : iexplore
Id : 21748
Handles : 641
CPU : 3.59375
SI : 1
Name : iexplore
必要な数だけプロパティを指定できます。
Get-Process -Name iexplore | Format-List -Property ProcessName,FileVersion,StartTime,Id
ProcessName : iexplore
FileVersion : 11.00.18362.1 (WinBuild.160101.0800)
StartTime : 10/22/2019 11:23:58 AM
Id : 12808
ProcessName : iexplore
FileVersion : 11.00.18362.1 (WinBuild.160101.0800)
StartTime : 10/22/2019 11:23:57 AM
Id : 21748
Format-List でのワイルドカードを使った詳細情報の取得
Format-List
コマンドレットでは、その Property パラメーターの値としてワイルドカードを使用できます。 こうすることで、詳細情報を表示できます。 多くの場合、オブジェクトには必要以上の情報が含まれています。既定では PowerShell ですべてのプロパティ値が表示されないのはそのためです。 オブジェクトのプロパティをすべて表示するには、Format-List -Property *
コマンドを使用します。 次のコマンドは、1 つのプロセスについて 60 行を超える出力を生成します。
Get-Process -Name iexplore | Format-List -Property *
Format-List
コマンドは詳細の表示に役立ちますが、項目が多数含まれる出力の概要が必要な場合は、よりシンプルな表形式ビューの方が便利なことが多いです。
表形式出力のための Format-Table の使用
プロパティ名を指定せずに Format-Table
コマンドレットを使用して Get-Process
コマンドの出力を書式設定した場合は、Format
コマンドレットを使用せずに行った場合とまったく同じ出力になります。 既定では、PowerShell によって Process オブジェクトが表形式で表示されます。
Get-Service -Name win* | Format-Table
Status Name DisplayName
------ ---- -----------
Running WinDefend Windows Defender Antivirus Service
Running WinHttpAutoProx... WinHTTP Web Proxy Auto-Discovery Se...
Running Winmgmt Windows Management Instrumentation
Running WinRM Windows Remote Management (WS-Manag...
Note
Get-Service
は Windows プラットフォーム上でのみ使用できます。
Format-Table 出力の改善
表形式ビューは情報を大量に表示するには便利ですが、データの表示幅が狭すぎる場合は解釈しにくいことがあります。 前の例では、出力は切り捨てられています。 Format-Table
コマンドを実行するときに AutoSize パラメーターを指定すると、PowerShell では、表示される実際のデータに基づいて列の幅を計算します。 これにより、列を読み取ることができるようになります。
Get-Service -Name win* | Format-Table -AutoSize
Status Name DisplayName
------ ---- -----------
Running WinDefend Windows Defender Antivirus Service
Running WinHttpAutoProxySvc WinHTTP Web Proxy Auto-Discovery Service
Running Winmgmt Windows Management Instrumentation
Running WinRM Windows Remote Management (WS-Management)
Format-Table
コマンドレットでは引き続きデータを切り捨てることもありますが、切る捨てられるのは画面の端だけです。
最後に表示されるもの以外のプロパティには、最長データ要素が正しく表示されるために必要なだけのサイズが与えられます。
Get-Service -Name win* |
Format-Table -Property Name, Status, StartType, DisplayName, DependentServices -AutoSize
Name Status StartType DisplayName DependentServi
ces
---- ------ --------- ----------- --------------
WinDefend Running Automatic Windows Defender Antivirus Service {}
WinHttpAutoProxySvc Running Manual WinHTTP Web Proxy Auto-Discovery Service {NcaSvc, iphl…
Winmgmt Running Automatic Windows Management Instrumentation {vmms, TPHKLO…
WinRM Running Automatic Windows Remote Management (WS-Management) {}
Format-Table
コマンドでは、プロパティが重要度順に一覧表示されていると仮定します。 このコマンドレットを使うと、先頭に最も近いプロパティを完全に表示しようとします。 Format-Table
コマンドですべてのプロパティを表示できない場合は、表示から一部の列が削除されます。 この動作は、前の例の DependentServices プロパティで確認できます。
Format-Table 出力の列内の折り返し
Wrap パラメーターを使用することで、長い Format-Table
データをその表示列内で強制的に折り返すことができます。 Wrap パラメーターだけを使用した場合、必ずしも期待どおりにはなりません。AutoSize も指定しなければ、既定の設定が使用されるためです。
Get-Service -Name win* |
Format-Table -Property Name, Status, StartType, DisplayName, DependentServices -Wrap
Name Status StartType DisplayName DependentServi
ces
---- ------ --------- ----------- --------------
WinDefend Running Automatic Windows Defender Antivirus Service {}
WinHttpAutoProxySvc Running Manual WinHTTP Web Proxy Auto-Discovery Service {NcaSvc,
iphlpsvc}
Winmgmt Running Automatic Windows Management Instrumentation {vmms,
TPHKLOAD,
SUService,
smstsmgr…}
WinRM Running Automatic Windows Remote Management (WS-Management) {}
Wrap パラメーターを単独で使用すると、処理はあまり遅くなりません。 しかし、AutoSize を使用した場合、大規模なディレクトリ構造の再帰的ファイル リスト表示を実行すると、最初の出力項目が表示されるまで長い時間がかかり、大量のメモリが使用されることがあります。
システム負荷が気にならなければ、AutoSize は Wrap パラメーターと共に使用する場合に適しています。 最初の列では 1 行に項目を表示するために必要な幅が引き続き使用されますが、必要に応じて最後の列が折り返されます。
注意
最も広い列を最初に指定すると、一部の列が表示されない場合があります。 最適な結果を得るには、最初に最小のデータ要素を指定します。
次の例では、最も幅の広いプロパティを最初に指定しています。
Get-Process -Name iexplore |
Format-Table -Wrap -AutoSize -Property FileVersion, Path, Name, Id
折り返しを使用した場合でも、最後の Id 列は省略されます。
FileVersion Path Nam
e
----------- ---- ---
11.00.18362.1 (WinBuild.160101.0800) C:\Program Files (x86)\Internet Explorer\IEXPLORE.EXE iex
plo
re
11.00.18362.1 (WinBuild.160101.0800) C:\Program Files\Internet Explorer\iexplore.exe iex
plo
re
表出力の整理
表形式出力制御のためのもう一つの便利なパラメーターは、GroupBy です。 長い表形式リストは特に、比較しにくい場合があります。 GroupBy パラメーターは、プロパティ値に基づいて出力をグループ化します。 たとえば、検査しやすくするために、StartType 別にサービスをグループ化できます。この場合、プロパティ リストから StartType の値を省略します。
Get-Service -Name win* | Sort-Object StartType | Format-Table -GroupBy StartType
StartType: Automatic
Status Name DisplayName
------ ---- -----------
Running WinDefend Windows Defender Antivirus Service
Running Winmgmt Windows Management Instrumentation
Running WinRM Windows Remote Management (WS-Managem…
StartType: Manual
Status Name DisplayName
------ ---- -----------
Running WinHttpAutoProxyS… WinHTTP Web Proxy Auto-Discovery Serv…
PowerShell