次の方法で共有


複数の .NET バージョンをサポートする

多くのライブラリは、特定のバージョンの .NET Framework に対応しています。 たとえば、あるバージョンのライブラリは UWP に固有であり、別のバージョンは .NET Framework 4.6 の機能を活用します。 これに対応するために、NuGet では 1 つのパッケージに同じライブラリの複数のバージョンを配置することがサポートされています。

この記事では、パッケージやアセンブリのビルド方法に関係なく、NuGet パッケージのレイアウトについて説明します (つまり、SDK スタイルではない複数の .csproj ファイルとカスタムの .nuspec ファイルを使う場合でも、複数をターゲットにした SDK スタイルの .csproj を単一ファイルで使う場合でも、レイアウトは同じです)。 SDK スタイルのプロジェクトの場合、NuGet の pack ターゲットでは、パッケージの整理方法が認識され、適切な lib フォルダーにアセンブリを配置したり、ターゲット フレームワーク (TFM) ごとに依存関係グループを作成する操作が自動化されます。 詳細な手順については、「プロジェクト ファイル内で複数の .NET Framework バージョンをサポートする」を参照してください。

パッケージの作成」で説明されている規則ベースの作業ディレクトリを使用する場合は、この記事の説明に従って手動でパッケージをレイアウトする必要があります。 SDK スタイルのプロジェクトでは自動の方法を使用することをお勧めしますが、この記事で説明されているように、パッケージを手動で配置することもできます。

フレームワーク バージョンのフォルダー構造

1 つだけのバージョンのライブラリを含むパッケージまたは複数のフレームワークを対象とするパッケージをビルドするときは常に、小文字と大文字を区別するフレームワーク名を利用し、lib の下にサブフォルダーを作ります。次の規則を利用します。

lib\{framework name}[{version}]

サポートされている名前の完全一覧については、ターゲット フレームワーク参照を参照してください。

フレームワークに固有ではないライブラリ バージョンは、ルート lib フォルダーに直接置かないでください。 (この機能は packages.config でのみサポートされていました。) これにより、ライブラリがあらゆるターゲット フレームワークに対応するようになり、どこでもインストールできてしまいます。その結果、予想外のランタイム エラーが発生します。 ルート フォルダー (lib\abc.dll など) またはサブフォルダー (lib\abc\abc.dll など) へのアセンブリ追加は非推奨となりました。PackagesReference 形式を使用するときは無視されます。

たとえば、次のフォルダー構造では、フレームワーク固有の 4 つのバージョンのアセンブリがサポートされています。

\lib
    \net46
        \MyAssembly.dll
    \net461
        \MyAssembly.dll
    \uap
        \MyAssembly.dll
    \netcore
        \MyAssembly.dll

パッケージのビルド時、これらすべてのファイルを簡単に含めるには、.nuspec<files> セクションに再帰的 ** ワイルドカードを使用します。

<files>
    <file src="lib\**" target="lib/{framework name}[{version}]" />
</files>

アーキテクチャ固有フォルダー

アーキテクチャ固有のアセンブリがあるとき、つまり、個々のアセンブリが ARM、x86、x64 を対象とするとき、runtimes という名前のフォルダーの {platform}-{architecture}\lib\{framework} または {platform}-{architecture}\native という名前のサブフォルダー内にそれを置く必要があります。 たとえば、次のフォルダー構造は、Windows 10 と uap10.0 フレームワークを対象とするネイティブ DLL とマネージド DLL の両方に対応します。

\runtimes
    \win10-arm
        \native
        \lib\uap10.0
    \win10-x86
        \native
        \lib\uap10.0
    \win10-x64
        \native
        \lib\uap10.0

これらのアセンブリはランタイムでのみ使用できます。そのため、対応するコンパイル時のアセンブリも指定する必要がある場合は、AnyCPU アセンブリを /ref/{tfm} フォルダー内に置きます。

NuGet では、コンパイル時またはランタイムのアセットを常に 1 つのフォルダーから選択するため、/ref からの互換性のあるアセットが存在する場合は、コンパイル時のアセンブリを追加するために /lib が無視されます。 同様に、/runtimes からの互換性のあるアセットが存在する場合も、ランタイムのために /lib が無視されます。

.nuspec マニフェストでこれらのファイルを参照する例については、「Create UWP Packages」 (UWP パッケージの作成) を参照してください。

また、NuGet を使用した Windows ストア アプリのコンポーネントのパッケージ化に関するページもご覧ください。

プロジェクトでアセンブリ バージョンとターゲット フレームワークを組み合わせる

複数のアセンブリ バージョンを含むパッケージを NuGet がインストールすると、アセンブリのフレームワーク名とプロジェクトのターゲット フレームワークの照合が試行されます。

一致が見つからない場合、プロジェクトのターゲット フレームワークと同じかそれより下のバージョンの中で最も上のバージョンのアセンブリがコピーされます。 互換性のあるアセンブリが見つからない場合、エラー メッセージが返されます。

たとえば、パッケージに次のフォルダー構造があるとします。

\lib
    \net45
        \MyAssembly.dll
    \net461
        \MyAssembly.dll

.NET Framework 4.6 を対象とするプロジェクトにこのパッケージをインストールすると、NuGet は net45 フォルダーにアセンブリをインストールします。4.6 以下で利用できる最も上のバージョンであるためです。

一方、プロジェクトが .NET Framework 4.6.1 を対象とする場合、NuGet は net461 フォルダーにアセンブリをインストールします。

プロジェクトが .NET Framework 4.0 以前を対象とする場合、NuGet はエラー メッセージを出し、互換性のあるアセンブリが見つからないことを伝えます。

フレームワーク バージョン別にアセンブリをグループ化する

NuGet は、パッケージ内の 1 つだけのライブラリ フォルダーからアセンブリをコピーします。 たとえば、パッケージに次のフォルダー構造があるとします。

\lib
    \net40
        \MyAssembly.dll (v1.0)
        \MyAssembly.Core.dll (v1.0)
    \net45
        \MyAssembly.dll (v2.0)

.NET Framework 4.5 を対象とするプロジェクトにパッケージがインストールされるとき、インストールされる唯一のアセンブリは MyAssembly.dll (v2.0) です。 MyAssembly.Core.dll (v1.0) はインストールされません。net45 フォルダーの一覧にないためです。 MyAssembly.Core.dllMyAssembly.dll のバージョン 2.0 に結合されている可能性があるため、NuGet はこのように動作します。

.NET Framework 4.5 で MyAssembly.Core.dll をインストールする場合、net45 フォルダーにコピーを置きます。

フレームワーク プロファイル別にアセンブリをグループ化する

NuGet ではまた、ダッシュとプロファイル名をフォルダーの最後に付けることで特定のフレームワーク プロファイルを対象にすることができます。

lib{framework name}-{profile}

サポートされているプロファイルは次のとおりです。

  • client: Client Profile
  • full: Full Profile
  • wp: Windows Phone
  • cf: Compact Framework

依存関係の宣言 (高度)

プロジェクト ファイルをパックするとき、NuGet はそのプロジェクトから依存関係を自動的に生成しようとします。 このセクションに記載されている、.nuspec ファイルを使用した依存関係の宣言に関する情報が必要になるのは、通常は、高度なシナリオだけです。

"(バージョン 2.0 以降)" <dependencies> 要素内の <group> 要素を使って、ターゲット プロジェクトのターゲット フレームワークに対応する .nuspec でパッケージの依存関係を宣言できます。 詳しくは、dependencies 要素に関する記事をご覧ください。

各グループには、targetFramework という名前の属性があり、0 個以上の <dependency> 要素が含まれます。 ターゲット フレームワークにプロジェクトのフレームワーク プロファイルとの互換性がある場合、これらの依存関係が一緒にインストールされます。 正確なフレームワーク識別子については、「ターゲット フレームワーク」をご覧ください。

lib/ および ref/ フォルダー内のファイルに対しては、ターゲット フレームワーク モニカー (TFM) ごとに 1 つのグループを使用することをお勧めします。

次の例では、<group> 要素のさまざまなバリエーションを示します。

<dependencies>

    <group targetFramework="net472">
        <dependency id="jQuery" version="1.10.2" />
        <dependency id="WebActivatorEx" version="2.2.0" />
    </group>

    <group targetFramework="net20">
    </group>

</dependencies>

使用する NuGet ターゲットを決定する

ポータブル クラス ライブラリを対象とするライブラリをパッケージ化するとき、フォルダー名と .nuspec ファイルで使用する NuGet ターゲットの決定にはこつが要ります。PCL のサブセットのみを対象とする場合は特にそうです。 次の外部リソースが役立ちます。

コンテンツ ファイルと PowerShell スクリプト

警告

変更可能なコンテンツ ファイルとスクリプト実行は packages.config 形式のみで利用できます。これらは、他のすべての形式を使用するときは非推奨とされます。また、新しいパッケージにはこれらを使用しないでください。

packages.config では、コンテンツ ファイルと PowerShell スクリプトを、content フォルダーと tools フォルダー内で同じフォルダー規則を使用し、ターゲット フレームワーク別にグループ化できます。 次に例を示します。

\content
    \net46
        \MyContent.txt
    \net461
        \MyContent461.txt
    \uap
        \MyUWPContent.html
    \netcore
\tools
    init.ps1
    \net46
        install.ps1
        uninstall.ps1
    \uap
        install.ps1
        uninstall.ps1

フレームワーク フォルダーを空のまま残す場合、NuGet はアセンブリ参照やコンテンツ ファイルを追加せず、そのフレームワークの PowerShell スクリプトを実行しません。

Note

init.ps1 はソリューション レベルで実行され、プロジェクトに依存しないため、tools フォルダーの下に直接置く必要があります。 フレームワーク フォルダーの下に置いた場合は無視されます。