Xbox アクセシビリティ ガイドライン 116: 時間制限
目標
この Xbox Accessibility Guideline (XAG) の目標は、プレイヤーがゲーム内のすべてのユーザー インターフェイスを読んで解釈してから操作を行うだけの時間を確保できるようにすることです。
概要
一般的には、UI の時間制限を実装するためには、プレイヤーが時間制限の警告 (表示または画面ナレーションによる) を受け取り、警告を解釈してから実行するアクションを決定して、必要なタスクを指定時間内に物理的に完了させる必要があります。
プレイヤーがタスクを完了するのに指定時間よりも長い時間が必要になるのには多くの理由があります。 たとえば、読んで理解ができない子供のプレイヤーが、他の部屋から親を呼んで指示を読んでもらうために、時間が必要な場合です。 視覚障碍、弱視、四肢の機能的障碍、認知的限界などの障碍を持つプレイヤーは、コンテンツを読むためや、オンライン フォームに記入するなどの物理的な操作を実行するために、より多くの時間を必要とする場合があります。 機能が時間依存の場合、一部のプレイヤーにとって、制限時間内に必要なアクションを行うことが難しい場合があります。 このため、プレイヤーが進捗状況をなくしたり、誤ってアカウントからサインアウトしてしまったり、ゲームが使用できなくなるなどの否定的な結果につながることもあります。
これらのガイドラインは、主要なゲームプレイのメカニクスと見なされない操作にのみ適用される点に注意してください。 たとえば、 UI メニューに表示されるほとんどの時間制限はこの要件に適用されます (例: "20 分間アイドル状態です。[サインインを続ける] を押すか、さもなければ 20 秒後に自動的にログアウトします" )。 ただし、実際のゲームプレイのメカニクス (例: レーシング ゲームでのレース終了まで 3 分間の秒読みタイマー) にはこの XAG のガイダンスは適用できません。
範囲を絞るための質問
ゲームには、主要なゲームプレイのメカニクスに関連しないゲーム領域に、秒読みタイマーや他の時間制限がありますか? 例としては、次のようなエクスペリエンスがあります。
アイドル後一定時間内に [サインインを続ける] を選択しない場合は、そのプレイヤーはサインアウトします。
プレイヤーのキャラクターが死んだ後、ゲームの現在時点に復活するには、30 秒以内に "A" ボタンを押すことが必要です。 さもなければ、メイン メニューに移動し、最近の進行状況を失います。
ゲームにはオンスクリーンのチュートリアル、通知、チャット コミュニケーション ウィンドウがありますが、一定時間で “表示されなくなります”。
実装ガイドライン
いずれかの UI インタラクション (主要なゲーム メカニクスには関連しない) に関して時間制限が課される場合、以下が必要です。
時間制限は、不可欠で避けられない場合にのみ使用されます。
時間制限が発生する前に、プレイヤーに (複数の方法で) 通知します。
時間制限を変更する方法があります。 プレイヤーは次のことができます。
時間制限が始まる前に、より長いセッション時間制限を要求したり、セッションに時間制限を課さないことを要求できます。
時間制限が発生する前に、既定の制限時間を少なくとも 10 倍の長さまで増やすことで、時間制限を調整します。
時間切れになる前に警告を出し、単純なアクション (たとえば、"A ボタンを押す") で時間制限を少なくとも 20 秒間延長し、その後プレイヤーは時間制限を少なくとも 10 倍まで延長できます。
時間制限を無効にできます。
例 (展開可能)
この例では、警告ダイアログ ボックスが画面に表示されます。 この例では、警告ダイアログ ボックスが画面に表示され、長時間アイドル状態のため 90 秒以内にプレイヤーがなにも操作を実行しない場合、アカウントからログアウトすることが伝えられています。 アイドル アクティビティのこの制限時間は、重要なセキュリティ対策と見なすことができます。 時間制限は、パブリック スペースでサインインしているアカウントを終了しないまま間違って離席して、他のプレイヤーが勝手に保存されていた個人情報にアクセスして、不正なアカウント変更を行うことができるというようなシナリオから、アカウントの所有者を保護できます。
この警告では複数のガイドラインも満たすことがきます。 プレイヤーに対して、少なくとも 20 秒 (この場合は 90 秒) が与えられ、その間に [延長] ボタンをクリックしたり、キーボードで [SPACE] キーを押したりなど、簡単なアクションで制限を延長できます。 このゲームには、設定メニューで時間制限を調整する機能もあります。 時間制限の警告が発生する前を含めて、この機能にはいつでもアクセスできます。 これらの設定を行うと、プレイヤーは現在のアイドル時間制限を調整したり、完全にオフにしたりできます (ホーム コンピューターを使用するプレイヤーに最適)。
Halo Infinite では、プレイヤーは HUD にテキスト チャットを表示する時間を、5 秒から 120 秒の任意の長さで調整できます。
重要な要素が画面に表示される時間を制御する時間制限を使用した場合 (たとえば、チュートリアルのテキスト ウィンドウ、発表者ダイアログ、またはテキスト チャット/音声テキスト変換通信ウィンドウが表示されている秒数):
プレイヤーは時間制限が発生する前に(設定メニューなどで)、画面にこれらの要素が表示される時間を既定の時間制限の少なくとも 10 倍まで調整することができます。
例 (展開可能)
[Gears 5] では、プレイヤーがメッセージを受信した後、テキスト チャットが画面に表示され続ける時間を最大 60 秒まで調整できます。
The Outer Worlds では、プレイヤーが画面上に通知を表示させ続ける時間を調整できます。
または、プレイヤーは継続時間の制限を無効にできます。 入力によって要素を無視したり、次のチュートリアル ウィンドウやダイアログ テキストに飛ばすことができます。
例 (展開可能)
ビデオ リンク: Ori と Will of the Wisps でテキストを進める
「Ori and the Will of the Wisps」 では、プレイヤー以外のキャラクター(NPC) からの画面書き込みダイアログに時間制限がありません。 アクションが実行されるまで、画面に表示されます。 この場合、プレイヤーは会話を読むのに必要なだけ時間を使うことができます。 準備ができたら、"A" を押して次のダイアログ フレーズに進むことができます。
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S でテキストを進める
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S では、プレイヤーは音声カットシーンを自動的に進めるか、ボタンを押して手動で進めるかを選択できます。 [自動再生のカットシーン] オプションを無効にすると、最近読み上げたダイアログ テキストは、プレイヤーがカットシーンの次の部分に進むまで画面に残り、ダイアログを読んで理解するために必要な時間を与えます。 プレイヤーはリアルタイムで選択して、[自動再生カットシーン] オプションを有効または無効にすることもできます。
例外: 次のいずれかが当てはまる場合、コンテンツによって課される時間制限について、上記の条件は免除されます。
時間制限がリアルタイム イベント (たとえば、オークション) の一部として必須であり、時間制限に代わる手段がない。
時間制限がタスクにとって不可欠である。
例 (展開可能)
主なゲーム メカニクスの一環である時間制限または時間指定イベントは、この XAG には含まれません。 これには、レーシング ゲームでのチェックポイント間の秒読みタイマーや、スポーツ マッチ終了前の時間制限といったゲーム内のシナリオが含まれます。 「Hyperdot」 からのこの例では、重要なゲームプレイの一部であるタイミング メカニズムが使用されていることが表示されています。 このような例では、時間制限を "延長" する機能、または時間制限を変更する機能は必要ありません。
それにも関わらず、Hyperdot ではレベルに合った時間調整など、無料プレイ レベルにも適用可能な多数の調整点もプレイヤーに提供してることは注意すべき点です。 この種類の機能は、この XAG とは関係ありませんが、XAG 108 「ゲームの難易度オプション」が適切に実装されている正しい例です。
既定の時間制限が 20 時間を超える。
注意
ロビーでの秒読みタイマーなど、リアルタイムのマルチプレイヤー イベントでは、マッチメイキング セッションで他のプレイヤーのプレイに影響が出ることがあるので、ゲーム開始までの時間を延長する機能や調整する機能を使用することはありません。
例 (展開可能)
「Gears 5」 からのこの例では、現地点でプレイヤーはマッチメイキングのロビーにいます。 その間、他のオンライン プレイヤーがロビーに参加しています。 秒読みタイマーは、いつマッチメイキング プロセスと読み込みプロセスが完了して、アクティブなゲームプレイが開始するかをプレイヤーに表示します。 これは、ロビーにいる他のプレイヤーに影響を与えることがあるため、ゲームプレイの開始前に残っている時間を延長する機能や調整する機能を必要としない、もうひとつのゲーム領域です。
プレイヤーへの影響の可能性
この XAG のガイドラインは、次のようなプレイヤーにとっての障壁を取り除く上で役立ちます。
Player | |
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視力のないプレイヤー | X |
弱視のゲーマー | X |
聴力のないプレイヤー | X |
聴力に制限があるプレイヤー | X |
認知障碍または学習障碍のあるプレイヤー | X |
手を伸ばすことや筋力に制限があるプレイヤー | X |
手先の動きに制限があるプレイヤー | X |
補装具を使用しているプレイヤー | X |
時間依存のコントロールを使用する能力に制限があるプレイヤー | X |
その他: カジュアルなプレイヤー、若いプレイヤー、ゲームに不慣れなプレイヤー | X |