Exchange 管理シェルを使用してメールユーザーの一覧を取得する

[アーティクル]
04/04/2023

Exchange 管理シェルコマンドレットを使用して、Exchange メールボックスのユーザーの一覧を取得するツールを作成する方法について説明します。

適用対象: Exchange Online、Exchange Server 2013、Office 365

Exchange 管理シェルコマンドレットを呼び出す管理ツールを使用して、Exchange Online、Office 365 の一部としての Exchange Online、Exchange 2013 以降のバージョンの Exchange からユーザーの一覧を取得することは、2 段階のプロセスです。最初に、Exchange サーバー上のリモートの実行空間を確立し、次にリモートの実行空間内でユーザー情報を取得するコマンドレットを実行します。

リモートの実行空間に接続するには、組織のセキュリティ要件を満たしている認証スキームを使用して、Exchange サーバーとの認証を行う必要があります。

この記事では、リモートの実行空間を設定し、Exchange サーバーからユーザーの一覧を取得するための Exchange 管理シェルコマンドレットを実行するのに使用できるコード例を提供します。

メールボックスのユーザーの一覧を取得するための前提条件

このタスクを実行するには、次の名前空間への参照が必要です。

System.Collections.ObjectModel
System.Management.Automation
System.Management.Automation.Remoting
System.Management.Automation.Runspaces

注:

Visual Studio を使用してアプリケーションを作成する場合は、System.Management.Automation.dll アセンブリへの参照をプロジェクトに追加する必要があります。アセンブリは次の場所のいずれかにあります。

オペレーティングシステムが Windows XP および Windows Vista の場合、Windows PowerShell のインストールディレクトリ ($PSHOME)。
オペレーティングシステムが Windows 7 および Windows 8 の場合は次のフォルダー:Windows\assembly\GAC_MSIL\System.Management.Automation。

Exchange 2013 の管理スナップインを、Exchange 管理シェルコマンドレットを自動化するアプリケーションを実行中のコンピューターの実行空間に読み込まないでください。代わりに、この記事で後述するように、アプリケーションはリモートの実行空間を作成する必要があります。

Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

Exchange 管理シェルコマンドレットを使用するリモートの実行空間への接続に使用する方法は、使用している認証スキームによって異なります。このセクションでは、次の表に記載されている認証方法を使用している場合に、リモートの実行空間に接続する方法を示すコード例を提供します。

認証方法	適用対象	URI
基本認証を使用して Exchange Online のリモートの実行空間に接続します。	Exchange Online サーバー	`https://outlook.office365.com/PowerShell-LiveID` `https://<server>/PowerShell-LiveID`
証明書による認証を使用してリモートの実行空間に接続します。	Exchange Online と Exchange オンプレミスサーバー	`https://outlook.office365.com/PowerShell` `https://<server>/PowerShell` `http://<server>/PowerShell`
Kerberos 認証を使用して Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する	Exchange Online と Exchange オンプレミスサーバー	`https://<server>/PowerShell` `http://<server>/PowerShell`

基本認証を使用して Exchange Online のリモートの実行空間に接続します。

次のコード例では、GetUsersUsingBasicAuth メソッドを定義します。これは、基本認証を使用してリモート Exchange Online サーバーに Exchange Management Shell 実行空間を作成します。次に、メソッドは、リモート実行スペースからメールボックスユーザーの一覧を取得するセクションで定義されている GetUserInformation メソッドを呼び出して、リモートサーバー上のユーザーの一覧を返します。

このメソッドは、以下のパラメーターを必要とします。

liveIDConnectionUri – アプリケーションを認証するExchange Online サーバーの URI を含む文字列。 Exchange Online が Office 365 で実行されている場合、URI は https://outlook.office365.com/PowerShell-LiveID です。それ以外の場合、URI は https://<servername>/PowerShell-LiveID です。
schemaUri – Exchange 管理シェルのスキーマを定義するスキーマドキュメントの URI を含む文字列。スキーマ URI は https://schemas.microsoft.com/powershell/Microsoft.Exchange です。
credentials – アプリケーションを実行しているユーザーの資格情報を含む PSCredential オブジェクト。
count – 取得する Exchange メールボックスのユーザー数。

public Collection<PSObject> GetUsersUsingBasicAuth(
    string liveIDConnectionUri, string schemaUri, PSCredential credentials, int count)
{
    WSManConnectionInfo connectionInfo = new WSManConnectionInfo(
        new Uri(liveIDConnectionUri),
        schemaUri, credentials);
    connectionInfo.AuthenticationMechanism = AuthenticationMechanism.Basic;
    using (Runspace runspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(connectionInfo))
    {
        return GetUserInformation(count, runspace);
    }
}

  Function GetUsersUsingBasicAuth( _
    ByVal LiveIDConnectionUri As String, ByVal ScehmaUri As String, _
    ByVal Credentials As PSCredential, ByVal Count As Integer) As Collection(Of PSObject)
    Dim ConnectionInfo As WSManConnectionInfo = _
        New WSManConnectionInfo(New Uri(LiveIDConnectionUri), ScehmaUri, Credentials)
    ConnectionInfo.AuthenticationMechanism = AuthenticationMechanism.Basic
    Dim RemoteRunspace As Runspace
    RemoteRunspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(ConnectionInfo)
    Return GetUserInformation(Count, RemoteRunspace)
  End Function

証明書による認証を使用してリモートの実行空間に接続します。

次のコード例では 、GetUsersUsingCertificate メソッドを 定義します。このメソッドは、証明書を使用してリモートサーバー上に Exchange Management Shell 実行空間を作成します。次に、メソッドは、リモート実行スペースからメールボックスユーザーの一覧を取得するセクションで定義されている GetUserInformation メソッドを呼び出して、リモートサーバー上のユーザーの一覧を返します。

このメソッドは、以下のパラメーターを必要とします。

thumbprint – アプリケーションを認証するために使用される証明書の拇印を含む文字列。

certConnectionUri – アプリケーションを認証するサーバーの URI を含む文字列。 URI は、次の表に記載されているいずれかになります。

表 1. certConnectionUri URI

Server	URI
SSL を使用しない Exchange サーバー	`http://<servername>/PowerShell`
SSL を使用する Exchange サーバー	`https://<servername>/PowerShell`
Office 365 の一部としての Exchange Online	`https://outlook.office365.com/PowerShell`

schemaUri – Exchange 管理シェルのスキーマを定義するスキーマドキュメントの URI を含む文字列。スキーマ URI は https://schemas.microsoft.com/powershell/Microsoft.Exchange です。
count – 取得する Exchange メールボックスのユーザー数。

public Collection<PSObject> GetUsersUsingCertificate(
    string thumbprint, string certConnectionUri, string schemaUri, int count)
{
    WSManConnectionInfo connectionInfo = new WSManConnectionInfo(
        new Uri(certConnectionUri),
        schemaUri,
        thumbprint)
    using (Runspace runspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(connectionInfo))
    {
        return GetUserInformation(count, runspace);
    }
}

  Function GetUsersUsingCertificate( _
    ByVal Thumbprint As String, ByVal CertConnectionUri As String, _
    ByVal SchemaUri As String, ByVal Count As Integer) As Collection(Of PSObject)
    Dim ConnectionInfo As WSManConnectionInfo
    ConnectionInfo = New WSManConnectionInfo(New Uri(CertConnectionUri), SchemaUri, Thumbprint)
    Dim RemoteRunspace As Runspace
    RemoteRunspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(ConnectionInfo)
    Return GetUserInformation(Count, RemoteRunspace)
  End Function

Kerberos 認証を使用して Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

次のコード例では 、GetUsersUsingKerberos メソッドを 定義します。このメソッドは、Kerberos 認証を使用してリモートサーバー上に Exchange Management Shell 実行空間を作成します。次に、メソッドは、リモート実行スペースからメールボックスユーザーの一覧を取得するセクションで定義されている GetUserInformation メソッドを呼び出して、リモートサーバー上のユーザーの一覧を返します。

このメソッドは、以下のパラメーターを必要とします。

kerberosUri – アプリケーションを認証する Kerberos サーバーの URI を含む文字列。 URI は、次の表に記載されているいずれかになります。

表 2. kerberosUri URI

Server URI

SSL を使用しない Exchange サーバー http://<servername>/PowerShell

SSL を使用する Exchange サーバー https://<servername>/PowerShell
schemaUri – Exchange 管理シェルのスキーマを定義するスキーマドキュメントの URI を含む文字列。スキーマ URI は https://schemas.microsoft.com/powershell/Microsoft.Exchange です。
credentials – アプリケーションを実行しているユーザーの資格情報を含む PSCredential オブジェクト。
count – 取得する Exchange メールボックスのユーザー数。

public Collection<PSObject> GetUsersUsingKerberos(
    string kerberosUri, string schemaUri, PSCredential credentials, int count)
{
    WSManConnectionInfo connectionInfo = new WSManConnectionInfo(
        new Uri(kerberosUri),
        schemaUri, credentials);
    connectionInfo.AuthenticationMechanism = AuthenticationMechanism.Kerberos;
    using (Runspace runspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(connectionInfo))
    {
        return GetUserInformation(count, runspace);
    }
}

  Function GetUsersUsingKerberos( _
    ByVal KerberosUri As String, ByVal ScehmaUri As String, _
    ByVal Credentials As PSCredential, ByVal Count As Integer) As Collection(Of PSObject)
    Dim ConnectionInfo As WSManConnectionInfo = _
        New WSManConnectionInfo(New Uri(KerberosUri), ScehmaUri, Credentials)
    ConnectionInfo.AuthenticationMechanism = AuthenticationMechanism.Kerberos
    Dim RemoteRunspace As Runspace
    RemoteRunspace = RunspaceFactory.CreateRunspace(ConnectionInfo)
    Return GetUserInformation(Count, RemoteRunspace)
  End Function

リモートの実行空間からメールボックスのユーザーの一覧を取得します。

次のコード例は、GetUserInformation メソッドを定義します。これは、Exchange メールボックスのユーザーを表す PSObject のコレクションを返します。このメソッドは、GetUsersUsingBasicAuth、GetUsersUsingCertificate、GetUsersUsingKerberos メソッドによって呼び出され、リモートサーバーからユーザーの一覧を返します。

このメソッドは、以下のパラメーターを必要とします。

count – 取得する Exchange メールボックスのユーザー数。
runspace – リモートの Exchange サーバーに対して確立されたリモート実行空間。

public Collection<PSObject> GetUserInformation(int count, Runspace runspace)
{
    using (PowerShell powershell = PowerShell.Create())
    {
        powershell.AddCommand("Get-Users");
        powershell.AddParameter("ResultSize", count);
        runspace.Open();
        powershell.Runspace = runspace;
        return powershell.Invoke();
    }
}

Function GetUserInformation(ByVal Count As Integer, ByVal RemoteRunspace As Runspace) As Collection(Of PSObject)
    Dim RemotePowerShell As PowerShell = PowerShell.Create
    RemotePowerShell.AddCommand("Get-Users")
    RemotePowerShell.AddParameter("ResultSize", Count)
    ' Open the remote runspace on the server.
    RemoteRunspace.Open()
    ' Associate the runspace with the Exchange Management Shell.
    RemotePowerShell.Runspace = RemoteRunspace
    ' Invoke the Exchange Management Shell to run the command.
    Return RemotePowerShell.Invoke
End Function

GetUserInformation メソッドは、count のメールボックスのユーザーのみを返します。この例のコードを簡略化するために、このメソッドは、返されるメールボックスユーザーのフィルター処理やその他の方法による制限を行いません。

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メールボックスのユーザーの一覧を取得するための前提条件

Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

基本認証を使用して Exchange Online のリモートの実行空間に接続します。

証明書による認証を使用してリモートの実行空間に接続します。

Kerberos 認証を使用して Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

リモートの実行空間からメールボックスのユーザーの一覧を取得します。

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メールボックスのユーザーの一覧を取得するための前提条件

Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

基本認証を使用して Exchange Online のリモートの実行空間に接続します。

証明書による認証を使用してリモートの実行空間に接続します。

Kerberos 認証を使用して Exchange サーバーのリモートの実行空間に接続する

リモートの実行空間からメールボックスのユーザーの一覧を取得します。

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