メンバーシップとロール プロバイダー
メンバーシップとロール プロバイダーのサンプルでは、サービスで ASP.NET メンバーシップとロール プロバイダーを使用してクライアントを認証および認可する方法を示します。
この例では、クライアントはコンソール アプリケーション (.exe) であり、サービスはインターネット インフォメーション サービス (IIS) によってホストされます。
Note
このサンプルのセットアップ手順とビルド手順については、このトピックの最後を参照してください。
このサンプルでは、次の方法を示します。
- クライアントがユーザー名とパスワードの組み合わせを使用して認証する。
- サーバーでクライアント資格情報を ASP.NET メンバーシップ プロバイダーと照合する。
- サーバーがそのサーバーの X.509 証明書を使用して認証される。
- サーバーで ASP.NET ロール プロバイダーを使用して、認証されたクライアントをロールにマップする。
- サーバーが
PrincipalPermissionAttribute
を使用して、サービスによって公開される特定メソッドへのアクセスを制御する。
メンバーシップとロール プロバイダーは、SQL Server によってサポートされるストアを使用するように構成されます。 接続文字列と各種オプションは、サービス構成ファイルで指定されます。 メンバーシップ プロバイダーの名前は SqlMembershipProvider
と指定され、ロール プロバイダーの名前は SqlRoleProvider
と指定されます。
<!-- Set the connection string for SQL Server -->
<connectionStrings>
<add name="SqlConn"
connectionString="..." />
</connectionStrings>
<system.web>
<!-- Configure the Sql Membership Provider -->
<membership defaultProvider="SqlMembershipProvider" userIsOnlineTimeWindow="15">
<providers>
<clear />
<add
name="SqlMembershipProvider"
type="System.Web.Security.SqlMembershipProvider"
connectionStringName="SqlConn"
applicationName="MembershipAndRoleProviderSample"
enablePasswordRetrieval="false"
enablePasswordReset="false"
requiresQuestionAndAnswer="false"
requiresUniqueEmail="true"
passwordFormat="Hashed" />
</providers>
</membership>
<!-- Configure the Sql Role Provider -->
<roleManager enabled ="true"
defaultProvider ="SqlRoleProvider" >
<providers>
<add name ="SqlRoleProvider"
type="System.Web.Security.SqlRoleProvider"
connectionStringName="SqlConn"
applicationName="MembershipAndRoleProviderSample"/>
</providers>
</roleManager>
</system.web>
サービスは、そのサービスとの通信に使用する単一エンドポイントを公開します。エンドポイントは Web.config 構成ファイルで定義します。 エンドポイントは、アドレス、バインディング、およびコントラクトがそれぞれ 1 つずつで構成されます。 バインディングの構成には、標準の wsHttpBinding
が使用されます。既定では、Windows 認証が使用されます。 このサンプルは、標準の wsHttpBinding
を設定してユーザー名認証を使用します。 この動作により、サービス認証でサーバー証明書が使用されることが指定されます。 サーバー証明書の SubjectName
には、<serviceCertificate> 構成要素の findValue
属性と同じ値が指定されている必要があります。 また、この動作では、ASP.NET メンバーシップ プロバイダーによってユーザー名とパスワードの組み合わせによる認証が実行され、ASP.NET ロール プロバイダーによってロールのマッピングが実行されることを指定するため、2 つのプロバイダーのために定義された名前が指定されます。
<system.serviceModel>
<protocolMapping>
<add scheme="http" binding="wsHttpBinding" />
</protocolMapping>
<bindings>
<wsHttpBinding>
<!-- Set up a binding that uses Username as the client credential type -->
<binding>
<security mode ="Message">
<message clientCredentialType ="UserName"/>
</security>
</binding>
</wsHttpBinding>
</bindings>
<behaviors>
<serviceBehaviors>
<behavior>
<!-- Configure role based authorization to use the Role Provider -->
<serviceAuthorization principalPermissionMode ="UseAspNetRoles"
roleProviderName ="SqlRoleProvider" />
<serviceCredentials>
<!-- Configure user name authentication to use the Membership Provider -->
<userNameAuthentication userNamePasswordValidationMode ="MembershipProvider"
membershipProviderName ="SqlMembershipProvider"/>
<!-- Configure the service certificate -->
<serviceCertificate storeLocation ="LocalMachine"
storeName ="My"
x509FindType ="FindBySubjectName"
findValue ="localhost" />
</serviceCredentials>
<!--For debugging purposes set the includeExceptionDetailInFaults attribute to true-->
<serviceDebug includeExceptionDetailInFaults="false" />
<serviceMetadata httpGetEnabled="true"/>
</behavior>
</serviceBehaviors>
</behaviors>
</system.serviceModel>
このサンプルを実行すると、クライアントは、Alice、Bob、および Charlie の 3 人のユーザー アカウントによる各種サービス操作を呼び出します。 操作要求と応答は、クライアントのコンソール ウィンドウに表示されます。 ユーザー "Alice" として行われた 4 つの呼び出しはすべて正常に終了します。 ユーザー "Bob" には、Divide メソッドの呼び出しを試行したときにアクセス拒否エラーが通知されます。 ユーザー "Charlie" には、Multiply メソッドの呼び出しを試行したときにアクセス拒否エラーが通知されます。 クライアントをシャットダウンするには、クライアント ウィンドウで Enter キーを押します。
サンプルをセットアップ、ビルド、および実行するには
ソリューションの C# または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。
ASP.NET アプリケーション サービス データベースを構成したことを確認します。
Note
SQL Server Express Edition を実行している場合、サーバー名は .\SQLEXPRESS になります。 ASP.NET アプリケーション サービス データベースを構成するとき、および Web.config の接続文字列では、このサーバーを使用する必要があります。
Note
ASP.NET ワーカー プロセス アカウントには、この手順で作成されるデータベースに対するアクセス許可が必要です。 これを実行するには、sqlcmd ユーティリティまたは SQL Server Management Studio を使用します。
サンプルを単一コンピューター構成で実行するか、複数コンピューター構成で実行するかに応じて、次の手順に従います。
サンプルを同じコンピューターで実行するには
Makecert.exe が存在するフォルダーがパスに含まれていることを確認します。
管理者特権で実行した Visual Studio の開発者コマンド プロンプトで、サンプルのインストール フォルダーから Setup.bat を実行します。 これにより、サンプルの実行に必要なサービス証明書がインストールされます。
Client.exe を \client\bin で起動します。 クライアント アクティビティがクライアントのコンソール アプリケーションに表示されます。
クライアントとサービスの間で通信できない場合は、WCF サンプルのトラブルシューティングのヒントに関するページをご覧ください。
サンプルを複数のコンピューターで実行するには
サービス コンピューターにディレクトリを作成します。 インターネット インフォメーション サービス (IIS) 管理ツールを使用して、このディレクトリ用に servicemodelsamples という仮想アプリケーションを作成します。
サービス プログラム ファイルを \inetpub\wwwroot\servicemodelsamples からサービス コンピューターの仮想ディレクトリにコピーします。 ファイルのコピー先が \bin サブディレクトリであることを確認します。 Setup.bat、GetComputerName.vbs、Cleanup.bat の各ファイルもサービス コンピューターにコピーします。
クライアント コンピューターにクライアント バイナリ用のディレクトリを作成します。
クライアント プログラム ファイルを、クライアント コンピューターに作成したクライアント ディレクトリにコピーします。 Setup.bat、Cleanup.bat、ImportServiceCert.bat の各ファイルもクライアントにコピーします。
サーバーで、管理者特権で Visual Studio の開発者コマンド プロンプトを開き、
setup.bat service
を実行します。setup.bat
にservice
引数を指定して実行すると、コンピューターの完全修飾ドメイン名を使用してサービス証明書が作成され、Service.cer というファイルにエクスポートされます。Web.config を編集して、新しい証明書名 (<serviceCertificate> の
findValue
属性) を反映させます。これは、コンピューターの完全修飾ドメイン名と同じです。Service.cer ファイルを、サービス ディレクトリからクライアント コンピューターのクライアント ディレクトリにコピーします。
クライアント コンピューターの Client.exe.config ファイルで、エンドポイントのアドレス値をサービスの新しいアドレスに合わせます。
クライアントで、管理者特権で Visual Studio の開発者コマンド プロンプトを開き、ImportServiceCert.bat を実行します。 これにより、サービス証明書が Service.cer ファイルから CurrentUser - TrustedPeople ストアにインポートされます。
クライアント コンピューターで、コマンド プロンプトから Client.exe を起動します。 クライアントとサービスの間で通信できない場合は、WCF サンプルのトラブルシューティングのヒントに関するページをご覧ください。
サンプルの実行後にクリーンアップするには
- サンプルの実行が終わったら、サンプル フォルダーにある Cleanup.bat を実行します。
Note
このサンプルを複数のコンピューターで実行している場合、このスクリプトはサービス証明書をクライアントから削除しません。 複数のコンピューターで証明書を使用する Windows Communication Foundation (WCF) サンプルを実行した場合は、CurrentUser - TrustedPeople ストアにインストールされたサービス証明書を忘れずに削除してください。 削除するには、コマンド certmgr -del -r CurrentUser -s TrustedPeople -c -n <Fully Qualified Server Machine Name>
を実行します。たとえば、certmgr -del -r CurrentUser -s TrustedPeople -c -n server1.contoso.com
となります。
セットアップ バッチ ファイル
このサンプルに用意されている Setup.bat バッチ ファイルを使用すると、適切な証明書を使用してサーバーを構成し、サーバー証明書ベースのセキュリティを必要とする自己ホスト型アプリケーションを実行できるようになります。 このバッチ ファイルは、複数のコンピューターを使用する場合またはホストなしの場合に応じて変更する必要があります。
次に、バッチ ファイルのセクションのうち、該当する構成で実行するために変更が必要となる部分を示します。
サーバー証明書の作成。
Setup.bat バッチ ファイルの次の行は、使用するサーバー証明書を作成します。 %SERVER_NAME% 変数はサーバー名を指定します。 この変数を変更して、使用するサーバー名を指定します。 このバッチ ファイルでの既定は localhost です。
証明書は、LocalMachine ストアの場所の My (Personal) ストアに保存されます。
echo ************ echo Server cert setup starting echo %SERVER_NAME% echo ************ echo making server cert echo ************ makecert.exe -sr LocalMachine -ss MY -a sha1 -n CN=%SERVER_NAME% -sky exchange -pe
クライアントの信頼された証明書ストアへのサーバー証明書のインストール。
Setup.bat バッチ ファイルの次の行は、サーバー証明書をクライアントの信頼されたユーザーのストアにコピーします。 この手順が必要なのは、Makecert.exe によって生成される証明書がクライアント システムにより暗黙には信頼されないからです。 マイクロソフト発行の証明書など、クライアントの信頼されたルート証明書に基づいた証明書が既にある場合は、クライアント証明書ストアにサーバー証明書を配置するこの手順は不要です。
certmgr.exe -add -r LocalMachine -s My -c -n %SERVER_NAME% -r CurrentUser -s TrustedPeople