BizTalk Server における AS2 のサポート
このトピックでは、AS2 処理の概要と、その実装方法BizTalk Server簡単に説明します。
AS2 の概要
EDI のトランスポートには、一般的に付加価値通信網 (VAN) が使用されます。 これらは、正確かつ法的拘束力のある監査記録などの付加価値サービスを提供するプライベート ネットワークです。 しかし、企業は EDI ドキュメントの交換をインターネット上で行うように移行しています。 この方法は、コスト削減、柔軟性や効率性の向上を実現し、冗長性やスケーラビリティの面でも利点があります。
EDI over the Internet (EDIINT) を実装するための最も一般的な方法として、AS2 (Applicability Statement 2) を使用する方法が挙げられます。 AS2 の仕様では「MIME-Based Secure Peer-to-Peer Business Data Interchange」が定義されています。 MIME データで作成されたエンベロープを含むメッセージは、HTTP over TCP/IP を使用して送信されます。
AS2 は HTTP POST 操作を使用して EDI や XML などのビジネス データを送信します。 AS2 が実行する処理は EDI データの送信だけではありません。 要求 URI は、メッセージ データのアンパックやハンドリングに使用する AS2 処理を指定します。 Message Disposition Notification (MDN) は、元の送信者の URL に対する HTTP 応答メッセージの本文か、または新しい HTTP POST 操作によって、確認として返されます。
EDI メッセージングの詳細については、「 AS2 メッセージング」を参照してください。
BizTalk Server での AS2 の実装方法
BizTalk Serverには、AS2 のサポートを提供するネイティブ機能が含まれています。 この機能は、アダプターやアクセラレータなどの製品へのアドインではなく、 製品に組み込まれ、次の機能を提供します。
BizTalk Server は AS2 で定義された方法でメッセージの送信、受信、および検証を行います。 BizTalk Server は、暗号化、署名、および圧縮によってデータ転送のセキュリティを確保します。 これを行うため、BizTalk Server は暗号化キー、デジタル署名、および証明書を使用します。
BizTalk Server を使用すると、受信 AS2 メッセージと送信 AS2 メッセージを否認不可ストレージに保存できます。 これには、エンコードまたはデコードされた AS2 メッセージの保存と、MDN の保存も含まれます。
BizTalk Serverは、添付ファイル名を AS2 メッセージの一部として保持する機能を提供します。
BizTalk Serverを使用すると、重複する受信メッセージをチェックできます。
MDN を返すには、確認されるメッセージと同じ接続を使用して同期的に行うこともできますし、別の接続を使用して非同期的に行うこともできます。
MDN が指定した時間内に受信されなかった場合に、AS2 メッセージを再送信できます。
BizTalk Server は、AS2 に固有の状態レポートを提供します。 これらのレポートには、インターチェンジに関連付けられた確認を含め、AS2 送信の包括的な状態が含まれます。
AS2 では、HTTP アダプターが受信側と送信側の両方で使用されていることが必要です。
BizTalk Serverでは、契約ごとに証明書を定義することで、AS2 メッセージの既定の署名証明書をオーバーライドできます。 パーティに別の証明書を指定する方法については、「 AS2 プロパティの構成」を参照してください。
BizTalk Server の AS2 コンポーネント
AS2 トランスポートBizTalk Server使用されるコンポーネントには、次のものがあります。
AS2 ドキュメントの処理に必要なアイテム (パイプラインとスキーマを含む) を含めた BizTalk EDI アプリケーション。
Note
BizTalk Serverで AS2 機能を構成すると、構成プログラムによってこのアプリケーションが作成されます。 AS2 メッセージを処理するアプリケーションを作成する場合は、アプリケーションから BizTalk EDI アプリケーションへの参照を追加する必要があります。 詳細については、「BizTalk Server EDI アプリケーションへの参照を追加する方法」を参照してください。
AS2 経由で受信した EDI メッセージについて、AS2 処理、続いて EDI 処理を実行する AS2EdiReceive パイプライン。 詳細については、「 AS2 受信コンポーネント」を参照してください。
AS2 経由で受信した非 EDI メッセージについて、AS2 処理を実行する AS2Receive パイプライン。 詳細については、「 AS2 受信コンポーネント」を参照してください。
AS2 経由で送信している EDI メッセージについて、EDI 処理、続いて AS2 処理を実行する AS2EdiSend パイプライン。 詳細については、「 AS2 送信コンポーネント」を参照してください。
AS2 経由で送信している非 EDI メッセージについて、AS2 処理を実行する AS2Send パイプライン。 詳細については、「 AS2 送信コンポーネント」を参照してください。
AS2 ドキュメントのトランスポートに関与する取引先の処理プロパティを設定できる取引先管理 (TPM) のユーザー インターフェイス。 詳細については、UI ガイダンスと開発者 API 名前空間リファレンスの「AS2 処理におけるアグリーメントの役割」および「EDI および AS2 UI」を参照してください。
AS2 インターチェンジおよび関連する確認の包括的な状態を提供する状態レポートのユーザー インターフェイス。 詳細については、「 EDI および AS2 状態レポート」を参照してください。
参照
AS2 ソリューション アーキテクチャ
EDI および AS2 状態レポート
BizTalk Server AS2 ソリューションの開発と構成