拡張追跡

Microsoft BizTalk Accelerator for RosettaNet (BTARN) では、プロセスとメッセージを追跡する機能が強化されています。 BizTalk Serverのビジネス アクティビティ監視 (BAM) のネイティブ機能は、メタデータのみを追跡することです。 BTARN は、サービス コンテンツとヘッダーの両方のメッセージ コンテンツを追跡します。

次の表は、BTARN でのデータ追跡の全範囲を示しています。 ここでは、プロセスおよびメッセージの追跡について説明します。 否認不可データの詳細については、「 RNIF メッセージ処理」を参照してください。

追跡される情報	機能	ユーザー アクセス
RosettaNet のプロセスとメッセージの追跡	メタデータ (データベース テーブルとデータのビュー) は BAM 経由、メッセージ本文は専用インターフェイス経由	BAM ユーザー インターフェイスまたはカスタム ユーザー インターフェイス
エラーとイベント	Windows イベント ログを使用する	イベント ログ
否認不可データ	ワイヤ形式のメッセージが保存されている専用インターフェイス経由	BTARNArchive データベース内の MessageStorageIn テーブルと MessageStorageOut テーブル、および SDK を使用したテーブル

プロセスとメッセージの追跡

BTARN は、プロセス アクティビティとメッセージ アクティビティという 2 つの基本的なアクティビティを追跡します。 プロセス アクティビティは、public-process オーケストレーションのメッセージ処理を追跡します。 メッセージ アクティビティは、送信パイプラインと受信パイプラインにおけるメッセージ処理を追跡します。

プロセス アクティビティは、メッセージ メタデータ全体を追跡します。 メッセージ アクティビティは、プロセス アクティビティ メタデータとメッセージの内容を追跡します。

プロセス アクティビティ

パブリック プロセス オーケストレーション (開始側または応答側) がインスタンス化されるたびに、パブリック プロセスは、BAM 追跡データベースにプロセス アクティビティ レコードを作成します。 オーケストレーションは、パブリック プロセスの各地点で追跡メタデータを保存します。 オーケストレーションが停止すると、プロセス アクティビティも停止します。

BTARN は、次の 2 つのインスタンスでプロセスの完全なメタデータを追跡します。

• BTARN がレスポンダーであり、要求アクション メッセージを受信する場合

• BTARN がイニシエーターであり、基幹業務 (LOB) アプリケーションから要求メッセージを受信する場合。

  BTARN がメッセージを送受信するたびに、パブリック プロセスによってプロセス アクティビティの状態が更新されます。

メッセージ アクティビティ

メッセージ アクティビティは、送信パイプラインと受信パイプライン経由でメッセージを追跡します。 送信パイプラインまたは受信パイプラインがメッセージを処理するたびに、パイプラインはメッセージ アクティビティを作成します。 パイプラインは、BAM 追跡データベースにメッセージ アクティビティ レコードを作成し、BTARNArchive データベースにメッセージ レコードを作成します。

メッセージ アクティビティは、Service Content とヘッダーを含めたメッセージの内容を保存します。 受信パイプラインで MIME デコーダーの処理が成功すると、アクティビティはメッセージの内容の 4 つの部分を、MessageContent テーブルの [ContentXml] 列にテキスト形式の XML として保存します。 MIME デコーダーの処理が失敗すると、アクティビティはメッセージの内容を MessageContent テーブルの [ContentBinary] 列にバイナリ形式で保存します。

関連付けにおける追跡データの使用

BTARN は、各プロセスを特定の PIP (正または負のシグナル、要求と応答のシグナル) のすべての交換メッセージに関連付けるために必要な情報を追跡します。 また、BTARN がその PIP に対して失敗の通知を送信した場合に、0A1 メッセージの関連付けに使用される情報も追跡します。 PIP インスタンス ID、開始側パーティ名、相手側パーティ名の組み合わせにより、アクティビティに関連付けられたメッセージが決まります。

データベースの追跡

プロセス アクティビティとメッセージ アクティビティは、BAMPrimaryImport SQL Server データベースに追跡メタデータを保存します。 このデータベースでは、"bam_Process" というプレフィックスで始まる名前のテーブルにはプロセス アクティビティ追跡データが格納され、"bam_Message" というプレフィックスで始まる名前のテーブルにはメッセージ アクティビティ追跡データが格納されます。 各プロセス アクティビティまたはメッセージ アクティビティのテーブルには、対応するレコードが 1 つあります。 この 2 つのアクティビティとメタデータの追跡に関する情報は、"bam_Metadata" というプレフィックスで始まる名前のメタデータ テーブルに含まれています。

BAMPrimaryImport 追跡データベースのデータは、次のビューを使って使用できます。 これらのビューとその他のビューは、BTARN 管理コンソールの Microsoft SQL Server ノードで使用できます。

追跡ビュー	データ
bam_Process_AllInstances	PIP によって定義された RosettaNet プロセスの状態
bam_Message_AllInstances	すべてのメッセージの状態
bam_Process_CompletedInstances	完了したプロセスの状態

メッセージ アクティビティは、メッセージ の内容を BTARNArchive データベースの MessageContent テーブルに保存します。 メッセージの内容は、メッセージの一意の識別子を使用して MessageContent テーブルにクエリを実行すると確認できます。 このアクティビティは、"bam_Message" というプレフィックスを使用して、メッセージ アクティビティ追跡テーブルの ContentKey 列に一意の識別子を保存します。

重要

メッセージ アクティビティは、BTARNArchive データベースの MessageContent テーブル内のクリア テキストでメッセージの内容を共有します。 これは、メッセージが暗号化されたり、署名されるシナリオを含むすべての追跡シナリオで発生します。 メッセージ コンテンツのアクセシビリティが心配な場合は、BTARNArchive データベースへのアクセスを制限できます。

BTARN では、BAM 追跡 API を使用して追跡データを保存します。

状態コード

BAMPrimaryImport データベースの bam_Process_Active と bam_Process_Completed テーブルには、プロセスの状態を示す Status 列があります。 次の表は、各状態コードの値を示しています。

状態コード	プロセスの状態
-1000	ActivityNotPresentFatalError
-500	UnexpectedFatalError
-100	Initiated0A1
-99	TerminatedOnError (0A1 で終了した以外の終了)
-85	TerminatedBy0A1
-75	TimedOutOnResponseSignal
-50	TimedOutOnResponse
-25	TimedOutOnActionSignal
0	RegisteredActivity
1	ActivityToBeInitiated
10	ReceivedAction または SentAction
25	ReceivedActionSignal または SentActionSignal
35	ReceivedActionSignal2 または SentActionSignal2 (シグナル 2 は RNIF v11 用です)
50	ReceivedResponse または SentResponse
75	ReceivedResponseSignal または SentResponseSignal
85	ReceivedResponseSignal2 または SentResponseSignal2 (シグナル 2 は RNIF v11 用です)
100	ActivityCompleted

アクティビティ定義ファイル

アクティビティ定義ファイルでは、BAM で追跡するフィールドおよびその表示方法を定義します。 このファイルの詳細については、「 追跡アクティビティ定義ファイルの操作」を参照してください。

BAM の詳細については、BizTalk Server ヘルプの「ビジネス アクティビティ監視 (BAM)」を参照してください。

参照

追跡アクティビティ定義ファイルの操作
BizTalk Accelerator for RosettaNet により BizTalk Server に追加される機能