Microsoft Dynamics NAVのアーキテクチャーと機能 (ja-JP)
この記事では、Microsoft Dynamics NAVのアーキテクチャー、主要な機能やライセンスモデルについて説明します。
アーキテクチャー
NAV 2009&2013
Microsoft Dynamics NAVは主に3つのコンポーネントで構成されています。(3層アーキテクチャー):
- データ層:データベースサーバ内でMicrosoft Dynamics NAVのデータをデータベース上に格納します。(NAV 2013以降からはMicrosoft SQL Serverで格納されています)
- アプリケーション層:アプリケーションサーバ内(NAV2009 RTC以降)ですべてのビジネスロジックや、Microsoft Dynamics NAVの通信を管理します。
- クライアント層:クライアントアプリケーションを使ってユーザーはMicrosoft Dynamics NAVとインターフェイスします。
- Microsoft Dynamics NAV 2009ではRTC (RoleTailored Client) とクラシッククライアントがあります。
- Microsoft Dynamics NAV 2013では、Windowsクライアント(RTCとして)、ウェブクライアント、ウェブサービスクライアント、SharePointクライアントを経由したMicrosoft Dynamics NAVポータルフレームワーク、とプログラム側のアクセスとしてNASサービスクライアントが用意されています。
- すべてのコンポーネントが同じコンピューターにインストールされている - この構成はデモインストールや開発環境で使用され、開発者がネットワーク接続やコンポーネント間のセキュリティを深く考えることなく構築できます。
- Windows/RoleTailored クライアントとMicrosoft Dynamics NAVアプリケーションサーバは同じコンピューターでインストールし、データ層のみ別のコンピューターにインストールする。
- 3層ともすべて別々のコンピューターにインストールする。.
NAV2013R2以降
このバージョンからは、クラウド環境に適合するため、マルチテナントへも対応しています。詳細のアーキテクチャーについては、[[Multi-tenancy in Dynamics NAV2013R2|マルチテナントのページ]]を参照してください。
旧バージョン
旧バージョンのMicrosoft Dynamics NAV(NAV 2009以前)では2層アーキテクチャーになってました。2層アーキテクチャーモデルは、純粋なクライアント/サーバソリューションで、データ層、データ変換層はサーバ側で処理され、アプリケーションロジック、プレゼンテーション層はクライアント側で処理されてました(「クラシッククライアント」と呼ばれています)。そのため、アプリケーションロジック(ビジネスロジック)とプレゼンテーションそう(ユーザーインターフェイス)はクライアントコンピューターで実行されてました。
機能
Microsoft Dynamics NAVは管理者に純正データベースサーバか、Microsoft SQLサーバをDBMSとして使用するか選択できます(NAV 2013以降ではMicrosoft SQL Serverのみ選択可能です)SQLサーバは大きいサイズのデータベースに適していますが、クラシックデータベースよりメンテナンスが必要となります。オリジナルのデータベースサーバは「C/SIDE」と呼ばれており、 Client/Server Integrated Development Environmentの略です。
NAV 2009からは、Microsoftは全く新しいクライアントインタフェースとして、RoleTailored Client(略してRTC)がリリースされました。従来のように全ユーザーに対して同じインタフェースを持つのではなく、RTCでは日々の業務内容が反映された、必要な情報のみ表示されるインタフェースに切り替わりました。また、向上した機能点として、チャート図、カラーのレポート、Microsoft Officeスタイルのリボンが採用されています。
NAVバージョン5以前で使用されていたNAVクライアントインタフェースは、NAV 2009ではクラシッククライアントとして存続されました。
クラシッククライアントでは、純正データベースとSQLデータベースのどちらもサポートしていますが、RoleTailored ClientではSQLデータベースが必須要件となっています。さらに、SQLデータベースログインでの認証方法は、RoleTailored Clientではサポートされていません。
2012年10月にMicrosoftはNAV 2013をリリースし、クラシッククライアントへのサポートを終了しました。RoleTailored ClientはWindowsクライアントに変わり、ビルトインのウェブクライアントとSharePointクライアントが追加されました。ウェブクライアントを使用するには新たにアドオン等を追加することなく、コンピューターやモバイル端末で使用可能です。
他のMicrosoftの3つのERP製品と比べ、Dynamics NAVは「そのまま使用する」というよりかは、配送や製造業に向けられています。ソリューションは標準機能も持っていますが、どちらかというと「ERPシステムを開発するための構築キット」のような位置づけです。パスカル言語ににた開発言語は開発者にとっては簡単にアクセスでき、ソフトウェアを素早く開発できるように設計されています。サーバサイド側のTransact-SQLストアドプロシージャの設定は必要なく、一つの言語でアプリケーションとデータベースを管理します。
2013年4月時点ではDynamics NAVは全世界で94,000社によって使用されており、エンドユーザー数はおよそ200万人です。Microsoft Dynamics NAVは全Microsoft Dynamicsライセンス販売実績の45%を占めています。
純正な世界的ERPとして、Microsoft Dynamics NAVは43カ国の公式ローカライゼーション(商習慣対応アドオン)を持ち、非公式(現地パートナー開発)ローカライゼーションもリリースされています。これらローカライゼーションにより、現地の税法要件などをDynamics NAVで対応することが可能となっています。 Dynamics NAV 2013バージョンから、Microsoftは製品のリリースサイクルを変更し、メジャーバージョンのリリース頻度を年次リリースにしており、製品ロードマップは全Dynamics製品分が発表されています。カスタマーロイヤリティにより、これからもDynamics製品は重要視されていくことでしょう。NAVソリューションは、IAS/IFRSへも対応しています。
Microsoft Dynamics NAVは以下の機能が備えられています:
- 財務管理
- サプライチェーン管理
- 生産管理
- 物流管理
- CRM
- 販売&マーケティング
- プロジェクトとリソース管理
- サービス管理
- 従業員管理
Microsoft Dynamics NAVの[[Customize Microsoft Dynamics NAV|カスタマイズ]]は簡単で、Dynamics NAV用の バーティカルソリューション は豊富です。
ライセンス体系
Microsoft Dynamics NAVは同時接続数ライセンス体系を採用しています。
2006年に、Microsoftは「ビジネスレディーライセンス / Business Ready License」(BRL)モデルを発表しました。お客様はユーザーセッションを購入し、システムへ部分的にアクセスできるライセンス体系です。2種類のユーザーがあり、ビジネスエッセンシャル / Business Essentials (BE)と、アドバンストマネージメント / Advanced Management (AM)です。AMの方がBEよりも機能が豊富です。以前のライセンス体系では、「モジュールベースライセンス / Module Based License」(MBL)が採用され、このライセンスのみでは機能はなく、個別にモジュールを購入する体系でした。現時点ではMicrosoftはMBLを保有するお客様にはBRLライセンス体系へ移行するオプションを用意しています。
NAV 2013が発表され、Microsoftはさらに新しく「パーペチュアルライセンス / Perpetual Licensing」を発表し、価格体系をよりシンプルなものにしました。NAV 2013から2種類のユーザーライセンスのみ用意しています。
- フルユーザー / Full User(すべてのNAVデータアクセス権限を持つユーザー)
- リミテッドユーザー / Limited User (リミテッドユーザーはすべてのNAVデータに対して読み込みアクセス権限を持ちますが、書き込みには制限があります)
同時接続ライセンスモデル(Concurrent license)は、NAVをどのクライアントからでもアクセスが可能です(Windowsクライアント、ウェブクライアント、SharePoint クライアント等…)
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