クラウドへの移行を促進する Azure Migrate と Azure Site Recovery の新機能
執筆者: Sneha Agrawal (Senior Program Manager, Microsoft Azure)
このポストは、2019 年 1 月 8 日に投稿された New Azure Migrate and Azure Site Recovery enhancements for cloud migration の翻訳です。
マイクロソフトは、お客様のクラウドへの移行とデジタル トランスフォーメーションを支援するために継続的にサービス強化を行っています。こうしたサービス強化については、「Windows Server と SQL Server のお客様に Azure が選ばれる 3 つの理由」でも紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。今回の記事では、Azure への移行支援を目的として追加された Microsoft Azure Migrate と Azure Site Recovery の新機能をご紹介します。
Azure Migrate
Azure Migrate では、オンプレミス環境を検出し、Azure への移行プランを作成することができます。今回は特に多かったご要望に沿って、Azure Government とヨーロッパの 2 つの地域で Azure Migrate をご利用いただけるようにしました。他の Azure の地域についても、今後サポートを予定しています。
各地域で検出および評価に関するメタデータは、以下の Azure リージョンに保存されます。
地域 | メタデータが保存されるリージョン |
米国 | 米国中西部、米国東部 |
ヨーロッパ | 北ヨーロッパ、西ヨーロッパ |
Azure Government | 米国政府バージニア |
Azure Portal で移行プロジェクトを作成すると、メタデータの保存先のリージョンは無作為に選択されます。たとえば米国でプロジェクトを作成する場合、保存先のリージョンには米国中西部か米国東部が自動的に選択されます。各地域の特定のリージョンにメタデータを保存したい場合は、REST API (英語) を使用して移行プロジェクトを作成し、API 要求でリージョンを指定します。
なお、選択した地域によって移行先の Azure リージョンが制限されることはありません。Azure Migrate では、30 以上の Azure リージョンへの移行計画を作成できます。詳細についてはドキュメント「評価のカスタマイズ」をご覧ください。
Azure Site Recovery
Azure Site Recovery (ASR) は、オンプレミスの仮想マシン (VM) を Azure の IaaS VM に移行するリフトアンドシフトの移行を支援します。皆様からいただいたフィードバックに基づいて、今回 ASR の強化を行い、クラウドへの移行をさらにスムーズにしました。ASR の強化点は以下のとおりです。
- ブート タイプが UEFI の物理サーバーをサポート: Azure ではこれまで、ブート タイプが UEFI の VM はサポートされていませんでした。しかし、ASR ではこのようなオンプレミスの Windows Server のブート タイプを移行時に BIOS に変更し、Azure に移行することができます。従来、ASR でブート タイプを変更できるのは VM のみでしたが、今回の機能強化によってブート タイプが UEFI の物理サーバーの移行もサポートされるようになりました。ただし、サポート対象は Windows マシンのみ (Windows Server 2012 R2 またはそれ以降) となりますのでご注意ください。
- Linux ディスクのサポート: これまで ASR には Linux マシンのディレクトリに関する制限があり、/ (ルート ディレクトリ)、/boot、/usr などのディレクトリが VM の同一 OS ディスクに存在する場合のみ移行が可能でした。また、/boot ディレクトリがディスク パーティション上ではなく LVM ボリューム上に存在する場合には対応していませんでした。しかし最新版の ASR では、異なるディスクにディレクトリが存在する場合や LVM ボリュームに /boot ディレクトリが存在する場合にも対応しました。これにより、LVM で OS とデータ ディスクを管理する Linux VM の場合やディレクトリが複数のディスクにまたがって存在する場合にも、ASR で移行できるようになりました。詳細については、ドキュメント「VMware VM および物理サーバーの Azure へのディザスター リカバリーのサポート一覧」を参照してください。
- どこからでも移行可能: ASR では、サーバーがプライベート クラウドやパブリック クラウドなど、どこで実行されているかにかかわらず Azure に移行できます。今回 AWS VM のゲスト OS の対応範囲が拡大され、ASR で以下のオペレーティング システムの AWS VM を Azure に移行できるようになりました。
移行元 | OS バージョン |
AWS | ● RHEL 6.5+ New● RHEL 7.0+ New● CentOS 6.5+ New● CentOS 7.0+ New● Windows Server 2016● Windows Server 2012 R2● Windows Server 2012● 64 ビット版 Windows Server 2008 R2 SP1 またはそれ以降AWS から Azure への移行の詳細については、ドキュメント「Amazon Web Services (AWS) VM を Azure に移行する」を参照してください。 |
VMware と物理サーバー | サポート対象の OS バージョンの詳細については、ドキュメント「VMware VM および物理サーバーの Azure へのディザスター リカバリーのサポート一覧」を参照してください。 |
Hyper-V | ゲスト OS の制限はなし |
マイクロソフトは引き続き皆様からのご意見に耳を傾けながら、サービスの向上に努めてまいります。フィードバックやアイデアがありましたら、Azure Migrate (英語) や ASR (英語) の UserVoice フォーラムまでお気軽にお寄せください。
これらのツールを使用されたことがない方は、まず Azure Migration Center をご利用ください。また、マイクロソフトは Azure Migration のコースの評価と計画を無料で実施しています (英語)。最適な移行を行うためにぜひご利用ください。