Windows 10(1607) 上で、Lync 2010 クライアントが起動しない
Japan Lync/Skype サポートチームです。
現在、最新Windowsの更新として提供されておりますWindows 10 (1607: Anniversary Update) にアップデートすると、Lync 2010 クライアント起動時にエラーが発生し、起動することができなくなります。
この問題は、Windows 10 に含まれる msftedit.dll が更新されることによって発生しておりますが、残念ながら、この問題につきましては回避する方法がございません。
この問題が発生する原因につきましては、Lync 2010では、msftedit.dll 内で定義している非公開のメモリ構造の一部について、そのメモリ構造に含まれている値のオフセット アドレスを固定値で定義しておりました。
一方で、Windows 10 (1607: Anniversary Update)に含まれている msftedit.dll では、このメモリ構造が変更されたために参照されるアドレスが不正なアドレスとなり、不整合が生じております。
なお、問題の要因となっておりますメモリ構造については非公開となっているため、通常の公開 API を利用したプログラム実装と異なります。
すなわち、今回、Lync 2010 では製品のリリース当初に設計した実装方法に起因して問題が生じている事となります。
しかしながら、Lync 2010 はサポート ライフサイクルが延長サポート フェーズに移行しておりますため、セキュリティ以外の修正の実施が終了となっており
結果として、今回の環境での対策といたしまして、修正プログラムを作成することが致し兼ねる状況となっておりますことを深くお詫び申し上げます。
なお、Lync 2010クライアントのリリース時期において、Windows 10 はまだ存在しておらず
製品の設計上、Windows 7/Vista/XP、Windows Server 2003 SP2/2008 SP2 以外への完全な対応が考慮されておりませんでした。
そのため、Windows 10 側の更新に起因して、利用できない状況が発生する可能性が存在しており、
残念ながら、Lync 2010 クライアントについては、Windows 10 でのご利用について、動作は保証されておりませんことをご容赦ください。
Lync 2013、Skype for Business 2015、Skype for business 2016 では msftedit.dll を使用せず、riched20.dll を公開されたインターフェースにて使用しているため、問題は発生いたしません。
Windows 10 で Lync の機能ををご利用いただく際にはクライアントアプリケーションとして Lync 2013、Skype for Business 2015、Skype for Business 2016 をご利用いただきますようお願いいたします。
Lync 2013 以降は Office 製品の一部に組み込まれていますため、一部機能制限を許容いただければライセンス認証のない Basic 版をご利用いただくことをご検討いただければと存じます。
参考技術情報
TITLE: Microsoft Skype for Business Basic
URL: https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=49440
※ Skype for Business Basic 2016 のダウンロードページになります。
TITLE: Lync Basic とは
URL: https://support.office.com/ja-jp/article/Lync-Basic-とは-A1821C3D-7631-483C-8791-3D16B10B844D
TITLE: Skype for Business Server 2015 のクライアントの比較表
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dn933896.aspx
※ 機能制限についてはこちらの記事をご参照ください。
TITLE: Skype for Business Basic 2016 システム要件について
URL: https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2016/06/10/sfb-basic-2016-softwarerequire/
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