次の方法で共有


はじめよう VDI 第 4 回 ~QoS 編~

Japan Lync/Skype サポートの和気です。

今回は Lync VDI Plug-in 利用時の QoS について語りたいと思います。
Lync VDI Plug-in を利用する際の独特な QoS 設定はありません。

しかし、3 点程注意点がありますので、注意点をご紹介したいと思います。

(1) Lync Server 2013 / Skype for Business Server 2015 における QoS
(2) Windows クライアントにおける QoS
(3) VDI Plug-in 使用時の QoS

(1) Lync Server 2013 / Skype for Business Server 2015 における QoS
==================================================================
Lync Server/Skype for Business Server 環境の QoS の機能として
エンド ポイントから送出されるパケットに DSCP (Differentiated Services Code Point) と呼ばれる優先度を付与することが可能です。(これは、一般的な QoS の話と同じです。)
エンド ポイントとしては、Lync/Skype for Business クライアントはもちろんのこと、フロント エンド サーバーやエッジ サーバーで提供される各サービスなどがあります。

特に音声・ビデオといったリアルタイム性の要求されるパケットに高い優先度 (高い DSCP 値) を割り当てることで、
DSCP を使用した QoS が実装されたルーターやスイッチといったネットワーク機器において、DSCP 値に応じた優先度でパケットが処理されます。
その結果、音声・ビデオ通信において、最適なユーザー エクスペリエンスを得ることが可能となります。

QoS は、Lync VDI Plug-in 利用する/しないに関わらず必要な機能ではありません。
上述の通り、最適なユーザー エクスペリエンスを得るために実装を推奨しております。
なお、この方針に関しまして、Lync VDI Plug-in 利用時に特有の方針はございません。

QoS については、より具体的な設定手順などに関するリンク等は URL にまとまっています。

- Skype for Business Server 2015
Title: Skype for Business 2015 のネットワーク要件の計画 -> サービスの品質の管理
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/gg425841(v=ocs.16).aspx

- Lync Server 2013
Title: サービスの品質 (QoS) の管理 (Lync Server 2013)
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/gg405409(v=ocs.15).aspx

- 上記 URL から参照可能な情報
・Windows に基づかないデバイスの QoS の有効化
・電話会議、アプリケーションおよび仲介サーバーのポート範囲の構成
・エッジ サーバー のポート範囲の構成
・Microsoft Lync クライアントのポート範囲の構成。これらのポート範囲はクライアント コンピューターにのみ適用され、通常、サーバーで構成されたポート範囲とは異なります。
・電話会議、アプリケーションおよび仲介サーバーの Lync Server 2013 における QoS (Quality of Service) ポリシーの構成
・音声ビデオ エッジ サーバーの QoS (Quality of Service) ポリシーの構成
・Windows 7 または Windows 8 で実行しているクライアントのサービス品質 (QoS) ポリシーの構成
・Microsoft Lync Phone Edition デバイスにおけるサービスの品質 (QoS) の構成。

(2) Windows クライアントにおける QoS
====================================
VDI 環境におけるローカル コンピューターも Windows クライアントと信じていますので、まずは Windows クライアントにおける QoS について説明します。

Windows OS 上の Lync/Skype for Business クライアントにおいて QoS を有効化する場合、以下の 2 つの手順が必要です。

a. Lync/Skype for Business クライアントで使用する
b. QoS ポリシーの設定

a. Lync/Skype for Business クライアントで使用する
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Lync/Skype for Business クライアントでは、既定では 1024~65535 の範囲の任意のポートが使用されます。
しかし、QoS を構成する場合、音声やビデオ、アプリケーション共有といったサービスごとに使用するポートの範囲を構成し、
通信で実際に使用されたポートからサービスを特定し、適切な DSCP 値をマーキングできるようにする必要があります。

例 : 音声トラフィックで使用するポート    … 50020 - 50039
ビデオ トラフィックで使用するポート … 58000 - 58019  など

Lync/Skype for Business クライアントで使用されるポートの範囲の指定は、サーバーで Set-CsConferencingConfiguration コマンドレットを使用して行います。
詳細な設定手順に関しましては、以下の URL をご参照ください。

Title: Microsoft Lync クライアントのポート範囲の構成
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj204760(v=ocs.15).aspx

b. QoS ポリシーの設定
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Windows クライアントにおいては、OS の QoS の機能を使用して、パケットのマーキングを行います。
具体的には、グループ ポリシーの "ポリシー ベースの QoS" を構成することで、特定のパケットに任意の DSCP 値を割り当てることが可能です。
なお、この QoS の機能は、Windows 7 以降の OS のみでサポートしており、Windows Vista 以前の OS では対応してません。

Lync/Skype for Business クライアントでは、手順 a で指定したポートを使用して通信を行います。
ポリシー ベースの QoS を使用して、手順 a で指定した特定のポート範囲に対して、高い優先度の DSCP 値を割り当てるよう構成することで、
音声やビデオなどのパケットに適切な DSCP 値を割り当てて送出することが可能となります。

詳細な設定手順に関しましては、以下の URL をご参照ください。

Title: Windows 7 または Windows 8 で実行しているクライアントのサービス品質 (QoS) ポリシーの構成
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj205371(v=ocs.15).aspx

(3) VDI Plug-in 使用時の QoS
============================
既にご確認いただいているように、Lync VDI Plug-in を使用した場合、音声・ビデオの通信はローカル コンピューター側で送受信されます。
そのため、ローカル コンピューターにおいて、ポリシー ベースの QoS を構成し、音声・ビデオ通信のパケットに DSCP 値が割り当てられるよう構成する必要があります。

音声・ビデオ通信に使用されるポートの範囲は、Lync VDI Plug-in を使用する環境であるか同課に関わらず、(2)-a の手順で構成可能です。
また、ポリシー ベースの QoS を構成手順は (2)-b と同様の手順で構成が可能です。

1点、考慮すべき点としては、ポリシー ベースの QoS を構成する際のプロセス名の指定があります。
ポリシー ベースの QoS を構成する場合、通信を行うポートの範囲に加え、プロセス (lync.exe など) を指定することも可能です。
そのため、必須でありませんが、(2)-b で、プロセス lync.exe の指定を行う場合があります。

Lync VDI Plug-in を使用する場合、ローカル コンピューター側では Lync/Skype for Business クライアントは使用されないため lync.exe のプロセスは使用されません。
Lync VDI Plug-in の DLL が、Windows 標準の RDP クライアント (mstsc.exe) や Citrix 社のクライアントに読みこまれ、動作いたします。
したがいまして、ポリシー ベースの QoS の構成時にプロセス名を指定する場合、mstsc.exe や Citrix 社のクライアントのプロセス名を指定する必要があります。

以上の内容に関しましては、以下の Blog 記事 (英語) にも記載があります。
TechNet や日本語の公開情報のご用意がなく、大変恐縮でございますが、適宜ご参照ください。

Configuring Lync 2013 VDI Plug-in support for QoS
https://blogs.technet.microsoft.com/nexthop/2013/10/24/configuring-lync-2013-vdi-plug-in-support-for-qos/

 

関連ブログ
========
はじめよう VDI 第 1 回 ~基礎知識編~
https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2014/10/22/vdi-1/

はじめよう VDI 第 2 回 ~確認項目編~
https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2014/10/27/vdi-2/

はじめよう VDI 第 3 回 ~通信編~
https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2014/11/21/vdi-3/

Office 2013 with SP1 と Lync VDI 2013 Plug-in の共存環境
https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2015/12/28/office-2013-with-sp1-lync-vdi-2013-plug-in/

Lync 2013 VDI Plug-in が Runtime Error を伴って異常終了する
https://blogs.msdn.microsoft.com/lync_support_team_blog_japan/2015/06/22/lync-2013-vdi-plug-in-runtime-error/

本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。