Exchange 2010 で既定のフォルダー内のアイテムがアーカイブされないようにする
原文の記事の投稿日: 2011 年 8 月 5 日 (金曜日)
Exchange 2010 では、アイテム保持ポリシーを使用してメッセージの保存を管理できます。アイテム保持ポリシーは、削除タグまたはアーカイブ タグから成ります。削除タグは、[削除して回復を許可する] または [完全に削除] アクションを伴う保持タグです。アーカイブ タグは、[アーカイブに移動する] (つまり、アイテムをユーザーのアーカイブ メールボックスに移動する) アクションを伴う保持タグです。
保持タグは、メールボックス アイテムにどのように適用されるかによって、次の 3 種類に分類されます。
- 既定のポリシー タグ (DPT)。これはメールボックス内のタグなしアイテムに適用されます。タグなしアイテムとは、直接または親フォルダーからの継承によって適用された保持タグを持たないアイテムです。DPTとしては、アーカイブ DPT、削除 DPT、およびボイスメール メッセージ用 DPT の 3 種類を作成できます。
- 保持ポリシー タグ (RPT)。これは削除アクションを伴う保持タグで、[受信トレイ]、[削除済みアイテム] などの既定のフォルダーに対して作成されます。ただし、既定のフォルダーがすべてサポートされているわけではありません。RPT に関してサポートされている既定のフォルダーについては、「保持タグおよびアイテム保持ポリシーについて」の表を参照してください。[予定表] フォルダー、[タスク] フォルダー、および [連絡先] フォルダーはサポートされていないことに注意してください。
- 個人タグ。これはユーザーが Outlook 2010 および Outlook Web App のアイテムおよびフォルダーに適用できる保持タグです。個人タグは削除タグまたはアーカイブ タグです。これらのタグは、Outlook 2010 および OWA には [アイテム保持ポリシー] および [整理ポリシー] として表示されます。
保持タグを展開するには、それらのタグをアイテム保持ポリシーとして追加し、そのポリシーをメールボックスのユーザーに適用します。
Exchange 2010 SP1 では、[メモ] フォルダーに対するサポートが追加されました。Exchange 2010 RTM では、[メモ] フォルダー内のアイテムは処理されません。SP1 にアップグレードすると、ユーザーのアイテム保持ポリシーに [メモ] フォルダー用の RPT がない場合は、ユーザーのポリシーの DPT がそのフォルダー内のアイテムに適用されます。
既存の展開では、ユーザーたちは自分のメモを移動または削除するのに慣れていない可能性があります。
DPT が既定のフォルダーに適用されないようにするには、そのフォルダーに対して無効な RPT を作成します (またはそのフォルダー用の既存の RPT を無効にします)。管理フォルダー アシスタント (メールボックス アイテムを処理し、アイテム保持ポリシーを適用するメールボックス アシスタント) は、無効なタグの保存期間用のアクションを適用しません。アイテム/フォルダーは依然としてタグを持つので、それはタグなしとは見なされず、そこに DPT が適用されることはありません。
図 1: 既定の [メモ] フォルダー用の無効な保持ポリシー タグを作成して、このフォルダー内のアイテムに既定のポリシー タグが適用されないようにする
注意: サポートされている既定のフォルダーのいずれについても無効な RPTを作成できます。
[メモ] フォルダー内のアイテムが依然としてアーカイブされる理由
[メモ] フォルダー用に無効な RPT を作成した場合、そのフォルダー内のアイテムは削除されませんが、それらのアイテムは引き続きアーカイブに移動されます。なぜでしょう。これを防ぐには、どうすればよいのでしょうか。
これについては、次の点を理解しておく必要があります。
- アイテム保持ポリシーには、アイテムをアーカイブする DPT とアイテムを削除する DPT を使用できます。どちらもタグなしアイテムに適用されます。
- 移動アクションと削除アクションは、互いに 排他的 な関係にあります。メールボックスのフォルダーとメッセージには、アーカイブ タグと削除タグの両方を適用できます。これは二者択一の選択ではありません。
- [メモ] フォルダー用に無効な RPT を作成してアイテムを削除しないようにしても、引き続きメールボックス用のアーカイブ DPT が適用され、アイテムの移動は行われます。
- アーカイブに関しては、管理者が実施できるアーカイブ ポリシーは 1 つしかありません。それは "アーカイブに移動する" アクションを伴う DPT です。"アーカイブに移動する" アクションを伴う RPT を作成することはできません。そのため、"無効な RPT" アプローチを使ってアイテムが移動されないようにすることはできません。
- ユーザーはフォルダーやメッセージに個人タグを適用することによって、メールボックスの既定のアーカイブ ポリシーが適用される前または適用された後にアイテムを移動できます。
既定のフォルダー内のアイテムがアーカイブされないようにする方法
アイテム保持ポリシーからアーカイブ DPT を削除する以外、これを管理者が制御する方法はありません。しかし、アーカイブ DPT を削除してしまうと、ユーザーがメッセージやフォルダーに個人タグを適用しない限り、アーカイブへのメッセージの自動的な移動は行われなくなります。
これに対する回避策は、既定のフォルダーに Personal never move to archive という個人タグを適用するようにユーザーに指示することです (このタグは、Outlook/OWA では [整理ポリシー] の下に [移動しない] (Never) として表示されます)。このタグは、Exchange セットアップで作成される既定のアーカイブおよびアイテム保持ポリシーに含まれます。このタグを、作成する任意のアイテム保持ポリシーに追加することもできます。
図 2: ユーザーは [移動しない] (Never) アーカイブ ポリシーを既定のフォルダーに適用して、そのフォルダー内のアイテムがアーカイブされないようすることができる
注意: Outlook 2010 を使用して、既定の [メモ] フォルダーや個々のメモ アイテムにアーカイブ ポリシーを適用することはできません。このフォルダーにアーカイブ ポリシーを適用しようとするユーザーは、OWA を使用する必要があります。
これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は「Prevent archiving of items in a default folder in Exchange 2010」をご覧ください。