待望の ASP.NET MVC 3 Beta リリースで Web 開発がさらに楽しく♪
さて、続いて ASP.NET MVC 3 Beta のご紹介をします。
私のブログ記事「早くも ASP.NET MVC 3 Preview 1 リリースです」でお知らせした ASP.NET MVC 3 Preview 1 から 3 ヶ月もたたないうちに、とうとう ASP.NET MVC 3 Beta がリリースされました。
★ ダウンロードとセットアップ
ダウンロードには下記の 2 通りの方法があります。
- Web PI (Web プラットフォーム インストーラー) からインストール
- ダウンロード センター (ASP.NET MVC 3 Beta) からダウンロード
今回の Beta から Razor View エンジンが別コンポーネントとして提供されるようになりました。そのため、上記のダウンロードセンターでは、AspNetMVC3Setup.exe (MVC3 コンポーネント) に加えて、AspNetWebPages.msi (Razor エンジン: ASP.NET Web Pages) がそれぞれ入手できるようになっています。これらのファイルを使って ASP.NET MVC 3 Beta をセットアップする場合には、まずは AspNetWebPages.msi を先にインストールしてください。
一方、Web PI を使ってインストールする場合は、これらは考慮する必要はありません。すべて Web PI が必要なコンポーネントを順番にインストールしてくれます。
★ 開発・実行環境
MVC 3 からは、完全に ASP.NET 4 に移行します。そのため、環境として下記が必要となります。
- .NET Framework 4 および Visual Studio 2010 または Visual Web Developer 2010 Express
★ プロジェクト テンプレート
MVC 3 Beta をインストール後、Visual Studio 2010 の [新しいプロジェクト] に ASP.NET MVC 3 Web Application というプロジェクト テンプレートが追加されます。
このテンプレートを選択すると、続いて下記のダイアログが表示され、使用するテンプレートと View エンジンの選択、および単体テストプロジェクトの作成の指定がおこなえます。このダイアログは Preview 版では無かったものです。
★ Razor View エンジン (ASP.NET Web Pages)
Razor 記法 (Razor Syntax) の部分では、Preview 版では System.Web.Mvc アセンブリ配下にあった Razor エンジン (ASP.NET Web Pages) が切り離されて、単独の System.Web.WebPages アセンブリとなります。そしてこれは AspNetWebPages.msi というセットアップパッケージで ASP.NET MVC 3 とは別コンポーネントとして提供されます。また、このアセンブリは WebMatrix でも Razor エンジンとして使用されます。
MVC 3 Preview のアセンブリ構成 |
MVC 3 Beta のアセンブリ構成 |
さらに、今回の Beta から、これまでの .cshtml (C#) に加えて、.vbhtml (VB) による Razor 記法も使用できるようになりました。
★ 新しい ヘルパーメソッド
リリースノートにも書かれている通り、新しいヘルパーメソッドが使用できるようになりました。
Helper |
Description |
Chart |
Renders a chart within a view. Contains methods such as Chart.ToWebImage, Chart.Save, and Chart.Write. |
Crypto |
Uses hashing algorithms to create properly salted and hashed passwords. |
WebGrid |
Renders a collection of objects (typically, data from a database) as a grid. Supports paging and sorting. |
WebImage |
Renders an image. |
WebMail |
Sends an email message. |
これらの詳細は、下記の ASP.NET Web Pages API リファレンスを参照してください。
ASP.NET API Quick Reference
https://www.asp.net/webmatrix/tutorials/asp-net-web-pages-api-reference
★ ASP.NET Web Pages (Razor) の楽しみ方
WebMatrix を使って Twitter.Search などの API を試された方もいらっしゃると思います。これらのヘルパーは Microsoft.Web.Helpers.dll として提供されます。
このアセンブリを参照することで、これらのヘルパーメソッドを ASP.NET MVC 3 の View でも使用することができます。
記述例:
<p>@Twitter.Search("@chack411")</p>
<p>@Bing.SearchBox()</p>
このように、パーツ化されたヘルパーを使って Web ページにいろいろな機能を追加することができます。また、WebMatrix で作成した Web サイトを ASP.NET MVC 3 ベースに移行させることも容易です。
◇◇◇
ここでご紹介した以外にも、jQuery ベースの AJAX や Validation を使用できるようになったり、Visual Studio 2010 で NuPack と呼ばれるさまざなオープンソースコンポーネントを管理するツールが使用できるようになったりと、さまざなま新機能が実装されてきています。詳細は、ダウンロード センター (ASP.NET MVC 3 Beta) からダウンロードできるリリース ノート (ASP.NET-MVC-3-Beta-Release-Notes.doc) や、関連ドキュメントをご参照ください。RTM に向けて日本語ドキュメントも整備していく予定です。
Web スタックとして、WebMatrix Beta 2 と ASP.NET MVC 3 Beta が同時にリリースされ、さまざまな方法で Web 開発をおこなう環境がそろってきました。これらの新しいツールやフレームワークを使って、ぜひいろいろな Web 開発にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Razor 楽しいですよ