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SharePoint Server で監視を計画する

適用対象:yes-img-13 2013yes-img-162016 yes-img-192019 yes-img-seSubscription Edition no-img-sopSharePoint in Microsoft 365

SharePoint Server が正常に実行されていることを確認するには、IT プロフェッショナルはファーム、サーバー、アプリケーション、サービス、パフォーマンスを注意深く監視する必要があります。 問題が発生するのを未然に防ぐために定期的に予防メンテナンスを実施し、問題が発生したときの損害を最小限に抑えるための計画を作成してください。

Microsoft には、SharePoint Server 環境の全体的な正常性状態を監視するのに役立つ多くのツールが用意されています。 何か問題が起きた場合は、豊富なリソースを見つけ、監視ツールを使用してログを分析し、原因を突き止め、正しい処置を行って、問題を解決できます。

また、SharePoint Server 環境を監視するユーザーの数を計画する必要もあります。 次に、問題が発生したときに実行する処置を定めた対応計画を作成します。

監視ツールの概要

SharePoint Server の監視と問題のトラブルシューティングに使用できるツールは多数あります。 各ツールは SharePoint 環境のさまざまな部分に対応し、一部のツールでは領域が重なることがあります。 どのツールを使用すれば、監視アクションが最大化されるかを検討してください。 使用できる監視ツールには以下のものがあります。

  • SharePoint Health Analyzer

    サーバーの全体管理ホーム ページで、[ 監視]、[ 正常性アナライザー] の順にクリックします。 この組み込み機能を使用すると、セキュリティ、パフォーマンス、構成、および可用性に関する問題を分析して解決することができます。 Health Analyzer ルールは、あらかじめ定義されていて、毎時間、毎日、毎週、毎月などのスケジュールされた間隔で実行されます。 エラーが検出された場合は、該当するルールがトリガーされます。 各ルールには、エラー発生の理由についての短い説明と、問題を解決するためのステップバイステップのヘルプが記載された詳細な記事へのリンクが付いています。 ヘルプの手順を実行するとき、ルールを再実行して、解決結果を確認できます。 そのエラーがリストにない場合は、問題が解決されたということです。

  • タイマー ジョブ

    サーバーの全体管理ホーム ページで、[ 監視]、[ タイマー ジョブ] の順にクリックします。 SharePoint Server では、構成可能なタイマー ジョブを使用して正常性データを収集し、データをログ フォルダーとログ データベースに書き込みます。 その後、このデータはファーム サーバーの正常性状態を表示するレポートで使用されます。

    タイマー ジョブは、スケジュールしたり、有効または無効にしたり、必要に応じて実行したりできます。 毎日、毎週、および毎月のスケジュールには実行時間帯も指定します。 タイマー サービスは、この間隔に基づいて無作為に時刻を選択し、対象の各サーバーでこのタイマー ジョブを実行します。 この機能は、ファームの複数のサーバーで実行される負荷の大きいジョブに適しています。

    注:

    ファームのすべてのサーバーで同時にタイマー ジョブを実行すると、システムのパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。 タイマー ジョブを計画するときは、他のタイマー ジョブと時間帯が重ならないように注意してください。

  • レポート

    サーバーの全体管理ホーム ページで、[ 監視]、[レポート] の 順にクリックします。 この機能を使用すると、診断ログとデータ収集を構成したり、管理レポートと正常性レポートを表示したりできます。 構成によってはディスク領域が使い尽されて、システムのパフォーマンスに悪影響を及ぼすこともあるので、どのような構成を設定したらよいか、慎重に計画する必要があります。

  • Microsoft PowerShell

    PowerShell は、SharePoint Server を監視するための強力なツールです。 コマンドを実行して、表示すべき的確なログを取得できます。 詳細については、「 SharePoint Server での診断ログの表示」を参照してください。

  • SharePoint Server 用 System Center 管理パックを使用した System Center - Operations Manager

    System Center - Operations Manager は、多数のコンピューターについて、サービス、デバイス、および操作を 1 つのコンソールで監視できる強力な監視プラットフォームです。 Operations Manager を使用すると、可用性、パフォーマンス、構成、およびセキュリティの状況に関して生成された状態、正常性、パフォーマンス情報、および通知を表示できます。 詳細については、「Operations Manager」を参照してください。

    Operations Manager を使用して SharePoint Server を監視するには、System Center Management Pack for SharePoint Server をインストールする必要があります。 このツールを使用すると、イベントを監視し、SharePoint コンポーネント固有のパフォーマンス カウンターを 1 か所に集めて集中管理し、必要に応じてオペレーターの操作を求める通知を発生させることができます。 System Center Management Pack for SharePoint Server 2016 をダウンロードしてインストールします。

  • イベント ビューアー

    イベント ビューアーは、Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップインの 1 つです。 イベント ビューアーを使用すると、イベント ログを参照、管理できます。 これは問題をトラブルシューティングするのに非常に便利なツールです。 複数のログからフィルター処理によって特定のイベントを選び出し、有用なイベント フィルターをカスタム ビューとして再利用できます。 詳細については、「イベント ビューアー」をご覧ください。

  • SharePoint 開発者ダッシュボード

    このツールは、開発者やシステム管理者にとって SharePoint Web ページのパフォーマンスの分析に役立つ診断情報を提供します。 ページの読み込みが遅い、Web パーツが正常に動作しない、あるいはページ上のデータベース クエリが正常に動作しないという場合、このユーティリティが役に立ちます。 SharePoint 開発者ダッシュボードは、既定では無効になっています。 有効にするには、PowerShell を使用します。 詳細については、「 SharePoint 開発者ダッシュボード」を参照してください。

  • Windows Management Instrumentation (WMI)

    WMI には、SharePoint Server 環境を監視するための多数のクラスが用意されています。 管理可能なリソースごとに、それぞれ対応する WMI クラスが存在します。 詳細については、「 Windows Management Instrumentation (WMI) の概要」を参照してください。

  • SQL Server Reporting Services (SSRS)

    SQL Server Reporting Services には、組織のレポートの作成、展開、管理に役立つ、すぐに使用できるさまざまなツールとサービスが用意されています。 さらに、レポート機能の拡張とカスタマイズに使用できるプログラミング機能も備えています。 SQL Server Reporting Services を使用すると、リレーショナル、多次元、または XML ベースのデータ ソースから、対話型、表形式、グラフィカル、または自由形式のレポートを作成できます。 レポートを発行してレポート処理をスケジュールし、必要に応じてレポートにアクセスできます。 SQL Server Reporting Services を使用すると、定義済みのモデルに基づいてレポートを作成したり、モデル内のデータを対話的に探索したりできます。 種々の表示形式から選択し、レポートを他のアプリケーションにエクスポートし、発行されたレポートを購読することができます。 作成したレポートは、Web ベースの接続を通じて、あるいは Windows アプリケーションや SharePoint サイトの一部として表示できます。 詳細については、「 Reporting Services (SSRS)」を参照してください。

SharePoint Health Analyzer、タイマー ジョブ、レポート、PowerShell は組み込みの機能ですが、System Center、System Center Management Pack for SharePoint Server 2016、および SQL Server Reporting Services は独立したツールです。 SharePoint 開発者ダッシュボードと WMI は組み込みのツールであり、開発者またはシステム管理者を対象としています。 これらのツールは補完的であり、さまざまなシナリオに適用されます。

次の表は、これらのツールの概要です。 特定のシナリオの下でどの監視ツールを使用すべきかを判断する際は、これらの監視ツールの利点と欠点を比較検討する必要があります。

監視ツールの概要

ツール 任意または組み込み 必要なスキル レベル 利点 欠点 リソース
SharePoint Health Analyzer 組み込み 基本 問題を解決するための操作指示があります。
カスタマイズ可能。 必要としない一部のルールを無効にすることができます。
考えられるすべての問題を対象にしてはいません。
ルールは、問題が発生した後にのみトリガーされます。
SharePoint Server で SharePoint Health Analyzer ルールを構成する
View and resolve SharePoint Health Analyzer alerts in SharePoint Server
SharePoint Health Analyzer ルール リファレンス (SharePoint Server 2016)
タイマー ジョブ 組み込み 上級: タイマー ジョブを有効または無効にすることと、スケジュールを変更することの意味 (影響) をよく考える必要があります。 監視アイテムの範囲が広いです。
スケジュールが容易です。
カスタマイズ可能。 個別の要件に合わせて新しいタイマー ジョブを作成できます。
システムのパフォーマンスに影響を及ぼし、お互いに対立する可能性があります。 SharePoint Server 2016 で SharePoint Health Analyzer タイマー ジョブを構成する
SharePoint Server のタイマー ジョブ リファレンス
Reporting 組み込み 表示スキル レベル: 基礎 フレキシブル。 ログに記録するイベントの重要度を構成したり、イベント ログのオーバーフロー防止機能を有効にしたり、トレース ログを構成したりできます。 管理および正常性の統計のみが表示され、解決案は示されません。
ログ データを解釈する必要があります。
パフォーマンスとディスク使用量に影響を及ぼす可能性があります。
SharePoint Server 2016 でレポートとログを表示する
PowerShell 組み込み 上級: 調べる対象を知っている必要があり、PowerShell のコマンドを実行することも必要です。 データをフィルター処理したり、それをさまざまな方法で表示したりできます。また、データのフィルター処理、並べ替え、グループ化、および Excel 2016へのエクスポートが可能なグリッドにデータを出力することもできます。 どの PowerShell コマンドを実行すればよいかを知っている必要があります。 SharePoint Server で診断ログを表示する
System Center と System Center Management Pack for SharePoint Server 任意だが推奨 上級: 調べる対象およびデータの解釈方法を知っている必要があります。 このツールでは、ソフトウェアとハードウェアのインシデントを検出、診断、警告し、ナレッジ記事を参照できます。 これは、多くの主要なシナリオを監視することで、より少ない人数でより多くの監視を行うのに役立ちます。 追加のサーバーを展開する必要があります。 System Center Management Pack for SharePoint Server 2016
イベント ビューアー 組み込み 基礎 複数のイベント ログのイベントを表示したり、有用なイベント フィルターをカスタム ビューとして保存して再利用したり、イベントへの対応として実行するタスクをスケジュールしたり、イベントの購読を作成したり管理したりできます。 解決案は示されません。 イベント ビューアー
SharePoint 開発者ダッシュボード 組み込み 上級: 調べる対象およびデータの解釈方法を知っている必要があります。 SharePoint ページのパフォーマンスを分析するのが容易です。 SharePoint ページのパフォーマンス監視に限定されます。 開発者ダッシュボードの使用
Windows Management Instrumentation (WMI) 組み込み 上級: 調べる対象およびマネージ オブジェクトに対する WMI スクリプトの記述方法を知っている必要があります。 ソフトウェア アプリケーション、ハードウェア コンポーネント、およびネットワークに関係するシステム イベントを監視、追跡、および制御することができます。 監視するマネージ オブジェクトを特定する必要があります。
WMI スクリプトを記述する必要があります。
Windows Management Instrumentation (WMI) の概要
SQL Server Reporting Services 任意だが推奨 上級: レポートをデザインおよび管理する必要があります。 レポートを作成および管理するための包括的なプラットフォームです。 ソリューションを作成および開発するには高度なスキルが必要です。 PerformancePoint ダッシュボード デザイナーと Visual Studio について知っている必要があります。 Reporting Services (SSRS)

サーバーの数が 10 以下の SharePoint ファームについては、少なくとも次の独立ツールをインストールすることをお勧めします。

  • System Center 2012 - Operations Manager および System Center Management Pack for SharePoint Server 2013

    SharePoint 製品の正常性状態を監視します。

  • SQL Server Reporting Services

    Reporting Services を使用してレポート定義言語 (RDL) ファイルを表示し、Visual Studio と PerformancePoint ダッシュボード デザイナーによってレポートをデザインする場合は、これを展開してください。

監視シナリオを特定する

監視するシナリオ (正常性、ワークフロー、検索、SQL Server、仮想環境、パフォーマンスなど) を特定します。 次の表に、重要なシナリオと、それらのシナリオの監視に使用できる監視ツールを示します。

シナリオと監視ツール

ツール/シナリオ 正常性 検索 Databases パフォーマンス ワークフロー 仮想環境 Business Data Connectivity ビジネス インテリジェンス Access Services ファーム サーバー サービス アプリケーション Web アプリケーション
SharePoint Health Analyzer X X X
タイマー ジョブ X X X X X
レポート X X
PowerShell X
System Center と System Center Management Pack for SharePoint Server X X
イベント ビューアー X
SharePoint 開発者ダッシュボード X X X √* X X X X X X X X X
Windows Management Instrumentation (WMI) X √** X X X X X
SQL Server Reporting Services X

注:

*: SharePoint 開発者ダッシュボードは Web ページのパフォーマンスを監視するだけです。

**: WMI インターフェイスは Hyper-V サービスを管理できます。

毎日、毎週、および毎月の監視アイテムを決定する

SharePoint Server 2013: Operations Framework and Checklists ホワイト ペーパー」の「Daily Tasks」セクション (第 45 ページ)、「Weekly Tasks」セクション (第 53 ページ)、「Monthly Tasks」セクション (第 54 ページ)、および「Impromptu Tasks」セクション (第 54 ページ) に基づいて、日単位、週単位、および月単位でどのアイテムを監視するかを決定できます。

注:

このホワイト ペーパーは SharePoint 2013 に対応するものですが、この情報を使用して SharePoint Server の監視スケジュールを計画する際に役立てることができます。

監視人員を計画する

SharePoint Server 環境を監視するために必要なユーザーの数を見積もる必要があります。 SharePoint 環境の規模によっては、SharePoint 環境の監視のために専任者を割り当てることも考えられます。 非常に大きなエンタープライズ ファームの場合、各ファームの専任者として 1 人か 2 人が必要になることがあります。

監視人員を計画するときは、次の点を考慮してください。

  • 小規模ファーム (小さなユーザー ベース、または基幹業務 (LOB) アプリケーション)

  • 中規模ファーム (エンタープライズ、サービス アプリケーションなど)

  • 大規模エンタープライズ ファーム (大規模エンタープライズ、多数のサービス アプリケーション、セルフ プロビジョニングなど)

  • 高可用性要件 (サービス レベル契約 (SLA))

  • 高パフォーマンス要件 (ページ レンダリング時間)

  • ユーザー ベースの大きさ (一意のユーザーの人数)

  • 同時ユーザー数 (ポータルに同時にアクセスするユーザーの人数)

  • 1 秒あたりの要求数 (ピーク時における数も)

  • 運用の成熟度

  • 管理ツール

次の表に、サーバーの数に応じて SharePoint 環境の監視に要するおおよその人員とスキル レベルを示します。 なお、この表は非常に大まかな見積もりにすぎません。

必要な監視人員

サーバーの数 必要な人員 必要なスキル レベル
1 ~ 4 1 基本
4 ~ 10 1 ~ 2 上級
10 ~ 40 3 ~ 4 基礎および上級
40 ~ 100 5 以上 基礎および上級
100 以上 10 以上 基礎および上級

対応計画を作成する

起こり得る問題に備え、問題が起きたときに取るべき処置を明記するために、対応計画を作成することを推奨します。

対応計画では、既に実行可能な解決策を提供している SharePoint Health Analyzer ルールは除外してください。 すぐに実行できる解決策がない問題については、イベント ビューアーなどの監視ツールを使用してログを詳しく調べ、解決策を見つける必要があります。

次の表に、対応計画を作成するときに考慮すべき要素をいくつか示します。

対応計画で推奨するアイテム

アイテム 説明
通知/イベント/問題 逐語的なメッセージ、逐語的なイベント、または問題の説明。
影響を受けるサービス/アプリケーション その問題によって影響を受けるサービスまたはアプリケーション。
現象 その問題の現象。
重要度 その問題の重要度。 重要度が高い問題は優先度を高くする必要があります。
問題を解決すべき時間 (分数または時間数) 許容できるサービス停止時間。
考えられる原因 その問題を引き起こす可能性のある原因。
解決策 その問題の解決策。
連絡先 その問題が発生したときに連絡する相手。
エスカレーション 解決策を実行してもその問題がうまく解決されなかった場合に連絡する相手 (人またはチーム)。
関連リソース Microsoft Learn for SharePoint Server に関する記事など、問題の解決に役立つ可能性のあるリソース。
注: 特記事項。

関連項目

概念

SharePoint Server 2016 での監視の概要

SharePoint Server の SharePoint 用アプリを監視する

ストレージおよび SQL Server の容量計画と構成 (SharePoint Server)

SharePoint Server 2016 でキャッシュ パフォーマンスを監視する

その他のリソース

Microsoft ネットワーク モニター