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Windows ストアを使用してアプリによる収益を得る

前回は、Windows 8 が開発者にとっていかに最大かつ単一のプラットフォームであるかについてお話ししました。このブログ記事では、価格設定と支払方法の詳しいしくみや、アプリによる収益を得るためのオプションの例を示すことで、この機会の活用方法を紹介します。この記事は、商業ライセンス チームのリード プログラム マネージャーである Arik Cohen が執筆しました。

-- Antoine


現在、Windows ストアでダウンロードできるすべてのアプリは、ユーザーが無料で入手でき、現在までは Windows 8 リリースのプレビュー機能を維持しています。Windows 8 RTM (Release To Manufacturing) では、企業アカウントにサインアップしており、サポートされている国のいずれかに住むすべての開発者は、有料アプリを公開および提供できるようになります。

アプリの価格設定のしくみ

アプリの開発者は、常に自分のアプリの価格設定を管理できます。アプリの配布準備をするときに、価格帯を選択してアプリの価格 (およびそのアプリが提供するアプリ内販売の価格) を設定します。価格帯の幅は 1.49 米国ドル~ 999.99 米国ドルで、開発センターで完全な価格帯の一覧を見ることができます。価格帯で選択する通貨は、サインアップしている国で Windows ストアがサポートしている通貨に基づいています。

価格帯により、ストアでサポートされているどの通貨でも、アプリの販売には同じ価格が選択されることが保証されます。現地の価格設定は外国為替レートに基づき、指定の通貨基準に対して適切な精度を提供するために丸められます。

アプリの価格帯を設定する Windows ストアのダッシュボード ページが表示されたスクリーンショット

支払方法のしくみ

有料アプリのアップロードを計画している場合は、課税に関する情報 (お住まいの市民権を有する国に基づいて、国税庁の適切な納税申告用紙に記入します) およびお客様の収益を入金できる銀行口座の詳細を提供していただく必要があります。(今後のブログ記事で、提供する必要のあるデータの詳細について説明します。)

対象となるすべてのトランザクションのお支払いは、月単位で処理されます。トランザクションは、購入発生の 30 日後に支払い対象となります。支払いを受けていないアプリ販売の金額が 200 米国ドルまたは同等額まで累積されると、支払いを受領することができます。アプリ販売とは販売合計金額を表し、アプリの収益とは販売金額からストアの手数料を引いた金額を表すことに注意してください。ストアの手数料はトランザクション ベースでも計算されます。これらの手数料はアプリの価格の 30% を基準とし、アプリの販売額が 25,000 米国ドルまたは提供終了までの販売額 (アプリの販売とアプリ内購入の合計) と同額に到達した後は、アプリの価格の 20% に変更されます。

支払条件の詳細については、開発センターのアプリ開発者契約のセクション 5 をご覧ください。支払条件により、すばらしいアプリには報酬が与えられ、より大きなビジネス チャンスを創出します。

収益化のオプション

上記の条件とプロセスは、ストア プラットフォームを使用するすべてのトランザクションに適用されます。ただし、開発者としてアプリ、コンテンツ、サービスをどのように収益化するかを決める際には、さまざまなオプションがあります。選択できるいくつかの異なるモデルを見てみましょう。

  • 完全な有料バージョンのアプリに簡単にコンバージョンできる試用版
  • アプリ内購入による長期的な収益化
  • アプリ内での広告
  • 独自の既存メカニズムを通じた請求

簡単にコンバージョンできる試用版

Collecting Smiles の開発者はすばらしい描画アプリ Colors の作成者です。彼らは特定の価格でこのアプリをユーザーに販売したいと考えていますが、すべてのユーザーがこのアプリのすばらしい機能を確認することができ、購入しようという気になるようにしたいと考えています。彼らはユーザーが使い始められるように、すべての機能を期間限定で使用できる試用版アプリを提供することを決定しました。Windows Phone では、試用版のあるアプリは試用版のないアプリの最大 5 倍の収益をもたらすことがわかっています。

アプリの配布準備をする間に 7 日間の試用を選択することで、すべてのユーザーが、アプリの説明ページにある [試す] ボタンをクリックして、購入を決める前にアプリにアクセスできるようにしました。

Colors アプリの内容ページ

ストアの試用機能を使うことで、アプリの開発者は次の機能を受けられます。

  • コンバージョン プロセスを示す分析
  • 試用版のユーザーと完全バージョンの有料ユーザーの両方を対象にした単一のコード ベース。これにより、ユーザーはシームレスに試用版から完全バージョンに移行することができ、データの再入力や設定の移植、別のアプリに慣れる必要はありません。
  • 試用期間終了後に試用版の起動を停止するシステム機能
  • ユーザーに完全バージョンのアプリの購入を促すことができる API セットへのアクセス

Colors アプリの試用版アプリの画面。この画面から、ユーザーは試用版を継続するか、アプリを購入するかを選択できます。

詳細については、開発センターのアプリの試用版の作成方法をご覧ください。

アプリ内購入

アプリ内購入を使うと、ユーザーがアプリからより多くの価値を得ることができるため、こうしたユーザーから簡単に追加の収益を得ることができます。新しい機能へのアクセスを販売したり、アプリの将来のバージョンで購入できる追加機能を提供することができます。

たとえば、子供向けのエンターテインメント アプリ Sticker Tales の開発者である Attack Pattern は、このアプリをストアで無料アプリとして提供する予定です。これにより、ユーザーは Farm パック (Windows 8 Release Preview で今日から入手できます) のすべてのゲームとコンテンツにアクセスできるようになります。ただし、子供が (Unicorn パックや Stunt Cars パックなどの) 追加コンテンツを使いたくなった場合は、両親が簡単にアプリ内から追加機能を購入できます。すべてのアプリ内購入では、ユーザーが Microsoft アカウントのパスワードを入力して、意図的に購入しようとしていることを保証する必要があります。

アプリ内購入が可能であることを表示する Sticker Tales アプリ

Windows 8 でアプリ内購入が発生する前に表示される確認画面の例

詳細については、開発センターの対象アプリでアプリ内購入をサポートする方法をご覧ください。

広告

多くのアプリは、ダウンロードの際やアプリの使用中に直接ユーザーに請求する代わりに、広告を使用して収益を得ることを選択するでしょう。開発者は、Windows 8 アプリ構築の技術的な認定の要件を満たす、任意の広告プロバイダーを使用することができます。

Microsoft では、広告を簡単に Windows 8 アプリに統合するために、Windows 8 Advertising SDK (英語) を提供しています。

独自の請求システムの使用

アプリやサービスが既に特定のトランザクション プロバイダーに依存していたり、他の事業との連携からメリットを得ている場合があります。ユーザーは、なじみがあり、信頼できるトランザクション エクスペリエンスの信頼感と効率を重視しています。この場合、対象のアプリ内で独自のトランザクション プロバイダーを使用して、ユーザーが期待するエクスペリエンスを提供することができます。

Windows ストアをトランザクション プロバイダーとして使用していない場合、対象のアプリが次のような認定の要件をすべて満たしているか確認したいことがあります。

  • 購入確認の際に、ユーザーに対してトランザクション プロバイダーを特定する
  • トランザクションを処理する前に、ユーザーに認証のためのメッセージを表示する
  • 支払プロセッサが最新の PCI Data Security Standard を満たしている必要がある

Windows 8 アプリの認定の要件の全詳細については、開発センターをご覧ください。

サーバーからの購入の検証

アプリが特定のコンテンツや、特定のユーザーがアクセスできる機能に、頻繁にアクセスする必要がある場合があります。特定のユーザーが実際にその機能を購入したことを検証する場合は、ストアの領収書機能を使用して、特定の購入を検証できます。

購入を初期化すると、そのつど、RequestAppPurchaseAsync または RequestProductPurchaseAsync を使って、署名された XML 領収書を入手したり、GetAppReceiptAsync を使って直接要求することができます。

 <Receipt xmlns="https://schemas.microsoft.com/windows/2012/store/receipt" 
    Version="1.0"
    ReceiptDate="2012-03-15T11:34:05-08:00" 
    ReceiptDeviceId="b809e47cd0110a4db043b3f73e83acd917fe1336">
    <AppReceipt
        Id="182A6BB6-A7CE-4040-94E9-44AF572D7FD5"
        AppId="contoso.SalesApp_5q2xcn1j1t576"
        LicenseType="Full"
        PurchaseDate="2012-03-14T15:48:12-08:00"/>
</Receipt>

領収書は標準 XML デジタル署名を使って署名されており、これを検証して、Windows ストアから発行されたものであることを確認できます。各領収書の要素の ID は、アプリを取得したユーザーおよびデバイスごとに一意です。

領収書をサービスで使用して、呼び出し元が適切に特定の機能セットやコンテンツにアクセスできることを検証できます。たとえば、アプリがログインを要求する場合、サービス上で購入とユーザーのデータを安全に関連付けることができます。これにより、確信を持って特定の使用をストアからの特定の購入までさかのぼることができます。

収益化戦略の準備とテスト

アプリの開発中、ユーザーが試用版のアプリを実行しているときに、アプリ内にある [完全バージョンの購入] ボタンが正常に表示されることを確認するなど、さまざまな商業取引の状態をテストする場合があります。CurrentAppSimulator オブジェクトを使用すると、CurrentApp オブジェクトを使用してストアが提供するすべての機能にアクセスできます。また、いくつかのたいへん重要な開発ツール (ストア サービスが提供できる任意の応答をシミュレートする機能 (ネットワークの利用不可、ユーザーの取り消し等) および構成 XML ファイルを通じて現在のユーザーの状態を設定する機能) も使用できます。

構成ファイルは次の 2 つの部分に分割されます。

  • 掲載情報 - ストア サービスによって通常提供されるデータ、およびアプリとアプリ内製品に関する最新の説明と価格設定情報を提供します。
  • ライセンス情報 – アプリから購入可能なものに対するユーザーの状態を提供します。

CurrentAppSimulator の使用方法の詳細については、開発センターを参照するか、試用版アプリとアプリ内購入のサンプル (英語) をご覧ください。

CurrentAppSimulator 機能は、ストアに送信されるとアプリで利用できなくなることに注意してください。有効なユーザーのライセンスを使ってアプリを実行し、アプリがこの機能のいずれかを呼び出すと、アプリは認証に失敗します (また、コード内に例外を生成します)。

ビジネス チャンス

Windows は現在までに 6 億 3,000 万ライセンスが世界中の 200 以上の国と地域で販売され、他の追随を許さない世界的規模に拡大しています。ストアが提供する柔軟な収益化オプションと合わせて、Windows 8 は開発者に最大かつ単一のプラットフォームを提供します。

皆さんが作成したアプリに出会えることを、心よりお待ちしています。

--Arik Cohen

Comments

  • Anonymous
    July 27, 2012
    The comment has been removed

  • Anonymous
    August 01, 2012
    > 今後のブログ記事で、提供する必要のあるデータの詳細について説明します。 W-8BENの書き方について、日本向けの補足をお願いしたいです。 とくに、日米の制度の違いがあるので、Type of beneficial owner でどれを選べばよいかは悩むところです。合名会社、合同会社や個人事業主などに対応する Type of beneficial owner の一覧があると嬉しいですね。

  • Anonymous
    August 02, 2012
    今のガイドラインではアダルト物アプリをストアーで配布することができません ですが、この手のアプリケーションは結構需要があり、アダルト物っぽいアプリを作るだけで結構な売り上げがあがることもあります もちろん、見せてはならない層はいるので何かしらの対策はいるでしょうか、 アダルト物や暴力性のあるアプリケーションをストアーで配布できるようにしてほしいです (アップルストアーやgoogleストアーではこの手のアプリの配布不可能なのでWindowsStoreで先駆けてやればシェアを大きく広げることもできるかもしれません)