Windows Azure ストレージでのローカル冗長ストレージの提供
このポストは、6 月 11 日に投稿された Introducing Locally Redundant Storage for Windows Azure Storage の翻訳です。
Windows Azure では、ローカル冗長ストレージおよび地理冗長ストレージという、2 つのタイプの冗長ストレージを提供しています。
ローカル冗長ストレージ (LRS: Locally Redundant Storage) : 持続性と可用性に優れたストレージを、単一の場所 (同一サブ地域内) で用意し、一次拠点内で、同じ内容のデータのコピー (レプリカ) を 3 つ保持します (詳細は SOSP のレポート (英語) を参照)。これにより、お客様のストレージアカウントの可用性や持続性には影響を与えることなく、確実に一般的な (ディスク、ノード、ラックの) 障害を復旧できます。ストレージへのすべての書き込みは 3 つのフォールトドメインに分散され、3 つのレプリカへ同時に書き込まれます。その後、処理の成功を示す報告がクライアントに返されます。データ センターの一部が使用不能になるような大規模な障害が発生した場合は、お客様のサブスクリプション契約情報を使用して、ローカル冗長ストレージでデータ損失の可能性があることをご連絡します。
地理的冗長ストレージ (GRS: Geo Redundant Storage): 一次拠点に加え、同一地域内の数百キロ離れた場所にある二次拠点 (サブ地域が異なる) でもデータを保管することにより、サービスの持続性を最大限に高めます。Windows Azure のブロブおよびテーブルのデータは、必ず地理的に離れた場所に複製されますが、キューデータについては、現時点ではジオレプリケーションを行っていません。地理冗長ストレージでは、お客様のデータの 3 つのコピー (レプリカ) を、一次拠点と二次拠点の 2 か所に保持します。これにより、各データセンターが一般的な障害を独力で復旧できると同時に、データを遠隔地に複製することで、大規模な障害にも備えることができます。LRS と同様に、データの更新内容を一次拠点にコミットしてから、クライアントに処理の成功を示す報告が返されます。この処理の完了後、GRS では、離れた場所にある二次拠点へと、対象の更新内容を非同期的に複製します。ジオレプリケーションの詳細については、Windows Azure のジオレプリケーションの紹介 (英語) をご覧ください。
地理的冗長ストレージは、現在利用されている既存のストレージ アカウントでは、既定では全アカウントで有効化されています。地理的冗長ストレージを無効化するには、Windows Azure ポータルからジオレプリケーションを解除 (英語) します。Windows Azure ポータルからアカウントを新規作成する (英語) 場合は、作成時に冗長ストレージ オプションを指定できます。
価格の詳細 : 既定のストレージは地理的冗長ストレージで、現在の料金設定に変更はありません。GRS の現在の料金は、新料金の発表以前と同じです。今回の料金改定に伴い、マイクロソフトでは、GRS よりも手頃な割引料金 (データの保存量に応じて 23 ~ 34% お安くなります) でローカル冗長ストレージをご提供することになりました。無効化していたジオレプリケーションをあとから有効化すると、一次拠点から二次拠点へとデータを複製するブートストラップ処理のため、帯域幅に対する一時課金が発生します。このブートストラップで課金される帯域幅の量は、ブートストラップ時に対象のストレージアカウントが保持するデータ量と同量になります。このブートストラップで使用する帯域幅の料金は、ストレージ アカウントが属する地域で決められています。該当地域 (ゾーン) の送信データ転送料金表でご確認ください。ブートストラップ完了後は、一次拠点と二次拠点の間でデータの地域間レプリケーションを実行しても、帯域幅への追加課金は発生しません。また、ストレージアカウントの利用当初から GRS を使用している場合は、ブートストラップ時の帯域幅への課金はありません。詳細については、料金の詳細をご覧ください。
地理的冗長ストレージほど高度な持続性を必要としないストレージについて、ローカル冗長ストレージを利用し、コストを削減したいと思われるお客様もいらっしゃるでしょう。こうしたデータは一般に、(a) 重要度が低いデータ、または一時的なデータ (ログなど) か、(b) たとえ失われても、別の場所に保管されたソースから復元できるデータに分類されます。後者の例としては、別の Windows Azure ストレージ アカウント (地理冗長ストレージを使用) で保管されている、完全なマスター データから復元可能な、エンコードされたメディアファイルが挙げられます。さらに、企業によっては、データの保管地にできる国を地理的に制限している場合があります。ローカル冗長ストレージを利用すれば、ストレージ アカウントごとに選択した拠点以外に、データが保存されることはありません (地理冗長ストレージでのデータの複製場所については、こちら (英語) でご確認いただけます)。
Monilee Atkinson、Brad Calder