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ブロックチェーンの世界で国内トップを独走中! 今後も国際展開と技術革新を推進し、世界一を目指す

「ビットコイン、ブロックチェーンで世界を変えていく」をスローガンに掲げ、日本最大のビットコイン取引所を運営する株式会社bitFlyer (以下、bitFlyer)。2016 年 4 月には総額役 30 億円の資金調達も実施し、この業界では世界第 2 位の資本金を保有する企業になっています。その bitFlyer が創業直後から活用しているのが BizSpark。今回は bitFlyer 代表取締役の加納 裕三 氏と取締役 CTO 小宮山 峰史 氏に、会社の最新状況や、BizSpark の活用方法とメリット、今後の展望などについてお話を伺いました。

写真左より、株式会社bitFlyer 代表取締役 加納 裕三 氏、株式会社bitFlyer 取締役 CTO 小宮山 峰史 氏

 

約 30 億円の資金調達で世界 2 位の資本規模に
取引額も急増し、月間 1,300 億円を達成

 

―― まずは貴社の概要についてお教えください。
加納 当社は「ビットコイン、ブロックチェーンで世界を変えていく」ことを目的に、2014 年 1 月に設立した会社です。それ以来、お客様に安心、安全に使っていただける仮想通貨総合プラットフォームの実現を目指し、ビットコインなどの仮想通貨販売所や取引所、決済サービスを運営しています。また設立当初からブロックチェーンの研究開発も行っており、ブロックチェーンの新たな可能性の開拓や、新規サービスの創出にも取り組んでいます。たとえば当社のブロックチェーン研究所では、「ビットコイン監査ツール」「バウンサー」「ブロックチェーン・ライター」「ブロックチェーン・ドキュメント」というサービスを、2015 年 9 月に発表しています。

 

―― 貴社の強みはどこにありますか。

加納 金融とテクノロジーの両方を深いレベルで理解している人材がいることと、独自のブロックチェーンを保有していることです。ブロックチェーンの研究開発も、既に 3 年行っています。これは世界的に見ても、最も長い期間だと思います。

 

―― 2016 年 4 月には総額約 30 億円の資金調達も実施しましたね。

加納 これによって資本金は 39 億円になり、この業界では世界で 2 番目に大きな資本金を持つ会社になりました。日本国内では資本金はもちろんのこと、ユーザー数や売上でもトップを独走しています。直近の取引額は月間 1,300 億円、この半年あまりで 10 倍になりました。

 

―― 加納さんは日本ブロックチェーン協会の代表理事も務めていらっしゃいます。

加納 2016 年 4 月に、日本価値記録事業者協会を改組する形で日本ブロックチェーン協会を設立し、代表理事に就任させていただきました。この協会では、仮想通貨が国内で普及するための、健全な環境作りに取り組んでいます。

 

―― 他の企業への出資にも積極的ですね。

加納 社内に「ブロックチェーン・エンジェルファンド」というファンドを組成し、ブロックチェーン事業の創出と育成支援を行っています。このようなファンドは国内初です。このファンド活用の第 1 号が、2016 年 1 月に実施した、大阪に拠点を置くシビラ株式会社との資本業務提携です。この会社は、IoT 機器とブロックチェーンを連携させるアプリケーションを構築できるプラットフォーム「hublive」を開発しています。2016 年 6 月にはサンフランシスコに拠点を置く breadwallet LLC への出資も行いました。ここはビットコインの保管、送付、受け取りを行うウォレットアプリを iOS と Android 端末向けに提供しています。これらを bitFlyer のサービスと組み合わせることで、仮想コインやブロックチェーン利用者に新たな利便性を提供でき、国際的な普及にも貢献できると考えています。

 


日本ブロックチェーン協会 (および日本価値記録事業者協会) は、2014 年以降の仮想通貨、ブロックチェーンに対する国内での注目の高まり、利用者の増加を受け、健全な普及、発展に貢献するために設立、改組されました (出所:日本ブロックチェーン協会) 。

 

システムの開発・運用は Microsoft Azure 上で実施
充実した PaaS 機能の存在が大きな魅力

 

―― サービスを支えるシステムの開発や運用は、ほぼすべて Azure 上で行っているとか。

小宮山 オンプレミスでも Microsoft SQL Server やファイアウォール、VPN を運用していますが、それ以外はすべて Azure 上に実装しています。

 

―― Azure を採用した理由は。

小宮山 PaaS の機能が充実しているからです。実際に当社のサービスは、ほとんどが Azure の PaaS で動いています。

 

―― 実際に使っている機能は。

小宮山 Worker ロール、Web ロール、Azure DB、BLOB、Service Bus、Redis Cache など、ほぼ一とおりの機能を活用しています。

加納 IaaS ではインフラ レイヤーもこちらで見る必要があり、セキュリティ確保にたいへん気を使います。ネットワーク レベルでシステムを攻撃されると、ビットコインを盗まれてしまう危険性があるからです。このような事件は、他社で既に発生しています。これに対して Azure の PaaS であれば、ネットワークが隠蔽化されており、インフラ レベルにまで気を使わなくても、十分なセキュリティが確保できます。またマイクロソフトは企業向け製品を長く提供していることもあり、信頼性にも徹底的なこだわりを感じます。このような PaaS を活用することは、リソースの限られたスタートアップ企業が迅速にサービスを提供するうえで、重要なことだと思います。

 

―― 2014 年 8 月からは BizSpark も使っていらっしゃいますが、Azure の利用はこれ以降ですか。

小宮山 Azure は会社設立前から使っていますので、BizSpark を利用する前からライセンスを保有しています。

 

―― 既に Azure のライセンスをお持ちという状況で、BizSpark を利用することにした理由は。

加納 オンプレミスで導入する SQL Server や、開発に使用する Microsoft Visual Studio のライセンスのために利用することにしました。また Azure に関しても、テスト環境の構築は BizSpark の無償ライセンスを活用しています。

 

創業時のコスト負担を軽減した BizSpark
情報収集や認知拡大にも貢献

 

―― BizSpark 活用のメリットは。

加納 やはり必要なソフトウェアを無償ですぐに利用できる点が大きいと思います。設立当初の規模でこれらのライセンス料を支払うのは、たいへんな負担になるからです。実際 SQL Server や Visual Studio だけではなく、Windows や Microsoft Office のライセンスも BizSpark で賄っています。

小宮山 情報収集も行いやすくなります。マイクロソフトでスタートアップ企業を担当されている方が、さまざまな形で情報を提供してくれるからです。これまでも何度か Azure に関する説明会を開催してくださり、大型イベントにも招待してくれました。スタートアップ担当者とはとても仲良くさせていただいており、困った時にはすぐに相談するようにしています。

加納 Azure に強いパートナー企業の紹介や、エンジニアの紹介もしてくれたこともあります。またマイクロソフトのシニアマネージメントにも紹介していただき、当社のブロックチェーンへの取り組みを知ってもらいました。認知拡大にも一役買っていると感じています。注目度が高まった結果、優秀な人材も採用しやすくなっています。

 

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―― どのような方が応募されていますか。

小宮山 これまでに 10 名ほど、ハーバード大学卒業者からのレジュメを受け取っています。そのうち数名と面接を行い、最終的に 1 名を採用しました。とてもエッジーなエンジニアです。

 

―― 社員数はかなり増えましたか。

加納 この半年でほぼ倍になりました。30 億円の資金調達も、人材確保に貢献していると思います。これだけの資金があれば、何があっても数年は潰れる心配がありません。ブロックチェーンの研究開発は長期的な取り組みが必要なので、安心して仕事ができる環境も重要だと考えています。

 

国際展開と技術革新を積極的に推進し
ブロックチェーンで世界一の存在に

 

―― 今後の展開は。

加納 大きな動きとしては国際展開があります。既にサンフランシスコの breadwallet LLC に出資していますが、当社のオフィスもシリコンバレーに準備しているところです。国際展開を行うことで FinTech の利便性をさらに高めることができます。その一方で、ウォレットを活用した新たなサービスの展開や、パブリックチェーンの問題を解決できるプライベートチェーンの開発も進めていく予定です。ブロックチェーンにはまだまだ技術革新の余地があります。このような取り組みを積極的に行うことで、世界一の存在になることを目指しています。

 

―― これからスタートアップする人へのアドバイスはありますか。

加納 IT 系のスタートアップであれば、BizSpark の活用をお勧めします。リソースが限られる創業時にマイクロソフト製品を無償で使えるのは、メリットが大きいからです。マイクロソフトのエバンジェリストからの助言や人脈形成など、無償ライセンス以外の付加価値もあります。

小宮山 今はクラウド活用も必須になると思いますが、私自身は Azure が一番使いやすいと感じています。充実した PaaS 機能を揃えていることが、Azure の最大の魅力です。また開発を Visual Studio で行えば、整合性のある開発環境をすぐに構築できます。Java で開発する場合には、各バージョンに合った組み合わせを自ら行う必要があり、これがたいへんな作業になりますが、Visual Studio ならこれが不要になります。

加納 BizSpark には創業直後からいろいろと助けてもらいましたが、来年 8 月には期限が切れます。当社も今では十分な体力がありますので、年内にはライセンス購入を行う予定です。

 

―― ぜひよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

 

株式会社bitFlyer
2014 年 1 月に設立された、ビットコインとブロックチェーンの専門企業。ビットコインの販売/買取や、ブロックチェーンを活用した各種サービスなどを提供しています。ビットコインの取引額は国内最大となっており、日本で唯一自社開発のブロックチェーンを持っていることも大きな特徴です。また 2016 年 4 月には総額約 30 億円の資金調達を実施、この業界では世界で第 2 位の資本規模となっています。