こんなトラブルには Autodiscover にも注目
これまでにも本ブログで何度も (こちら や こちら で) 取り上げられている Autodiscover ですが、Outloook 上で Autodiscover によって動作している機能は様々です。
一見関係が無さそうであっても、Audiscover で取得される情報に注目することでトラブルシュートが進むことが多々あります。
そのため、Autodiscover によって動作している機能をピックアップして紹介します。
なお、下記のサンプルにあるような Autodiscover にて取得できる XML データの内容を確認する際は こちら で紹介している "電子メールの自動構成のテスト" の機能をご利用ください。
1) アーカイブ メールボックスへの接続
Outlook からアーカイブ メールボックスへ接続する際、Outlook はプライマリのメールボックスのユーザー (ここでは user01@contoso.com ) の Autodiscover の結果に記載のあるアーカイブ メールボックスの情報を確認します。具体的には以下のような情報が返されます。
<AlternativeMailbox>
<Type>Archive</Type>
<DisplayName>インプレース アーカイブ - user01</DisplayName>
<LegacyDN>/o=contoso/ou=Exchange Administrative Group (FYDIBOHF23SPDLT)/cn=Recipients/cn=9c95c1da8cc945fb97776fb73f0b3e12-user01/guid=d0d2f9d2-290c-4cde-a996-45257c35b1ce</LegacyDN>
<Server>d0d2f9d2-290c-4cde-a996-45257c35b1ce@contoso.com</Server>
<OwnerSmtpAddress>user01@contoso.com</OwnerSmtpAddress>
</AlternativeMailbox>
別のサンプルとして、オンプレミス環境のユーザー user02 がアーカイブ メールボックスを Office 365 側に保持している場合、以下のような情報が返されます。
もし Outlook からクラウド上のアーカイブ メールボックスへ自動的に接続がされない問題は発生している際は、SmtpAddress の値にも注目ください。Outlook は user02 のプライマリ メールボックスの Autodiscover の結果として下記のデータを保持し、次にアーカイブ メールボックスへアクセスするために SmtpAddress の値を基に再度 Autodiscover の要求を行います。仮に SmtpAddress の値のドメイン部分 (下の例では contoso.mail.onmicrosoft.com) が Autodiscover ができないような間違った表記となっていた場合は、自動的に接続することができませんので ArchiveDomain プロパティ等を見直す必要があります。
<AlternativeMailbox>
<Type>Archive</Type>
<DisplayName>インプレース アーカイブ - user02</DisplayName>
<SmtpAddress>7007fd26-99cb-4d8d-8e21-de7c9de98b99@contoso.mail.onmicrosoft.com</SmtpAddress>
<OwnerSmtpAddress>user02@sokato365.com</OwnerSmtpAddress>
</AlternativeMailbox>
2) フル アクセス許可を持つ共有メールボックスへの接続
AutoMapping を有効 (既定) にして共有メールボックスのフル アクセス許可をユーザー付与した場合も、前述のアーカイブ メールボックスと同様に紐づけされた共有メールボックスが下記のように Autodiscover のデータ内で返されます。このサンプルでは 2 つの共有メールボックスの値が返っています。
<AlternativeMailbox>
<Type>Delegate</Type>
<DisplayName>shared01</DisplayName>
<SmtpAddress>shared01@contoso.com</SmtpAddress>
<OwnerSmtpAddress>shared01@contoso.com</OwnerSmtpAddress>
</AlternativeMailbox>
<AlternativeMailbox>
<Type>Delegate</Type>
<DisplayName>shared02</DisplayName>
<SmtpAddress>shared02@fabrikam.com</SmtpAddress>
<OwnerSmtpAddress>shared02@fabrikam.com</OwnerSmtpAddress>
</AlternativeMailbox>
ここでも同様に SmtpAddress のアドレスで再度 Autodiscover の要求が作成され、接続先のサーバー名等を Outlook が取得します。仮に contoso.com が Autodiscover 実施可能なドメインで、fabrikam.com は Autodiscover 用の A レコードなどを持たず Autodiscover が実施できないドメインであるとします。その場合、Outlook は shared02@fabrikam.com に接続する際の接続先 URL を取得できないため、shared01@contoso.com のみ Outlook 上に表示されます。
3) Exchange 2013 以降のパブリック フォルダー メールボックスへの接続
Exchange 2013 以降のオンプレミス サーバーや Exchange Online ではパブリック フォルダーに接続するために、SMTP アドレスを保持するメールボックス (パブリック フォルダー メールボックス) に接続します。この接続先のメールボックスについても下記の通り、Autodiscover で情報を取得しておりますので Outlook からパブリック フォルダーへの接続に問題が見られる場合はこの値にも注目ください。
<PublicFolderInformation>
<SmtpAddress>pfm01@contoso.com</SmtpAddress>
</PublicFolderInformation>
その他にも多くの機能が Autodiscover によって動作しておりますので、トラブルシュートを行う上でのひとつのポイントとして Autodiscover で取得した内容にも注目して頂ければと思います。