Partager via


Exchange Server 2010 にてハブ トランスポートとメールボックス サーバーの役割が共存する DAG 環境のメールフローについて

今回は Exchange Server 2010 のマルチロール (DAG) 構成のメールフローについてご紹介します。

Exchange Server 2010 において以下の条件に合致する場合、メッセージは自身のサーバーではなく、別のサーバーへ優先して発信されます。
これは後述の弊社公開情報にて記載されている通り、メッセージ配信時の冗長性を担保するための想定された動作となります。

- 条件
・ Active Directory サイト内に複数ハブ トランスポートの役割がインストールされたサーバーが存在する。
・ サーバーが DAG (Database Availability Group) のメンバーである。
・ メールボックスとハブ トランスポートの役割がインストールされている。
 
- 参考情報
Title: DAG を使用する場合の、ハブ トランスポートとメールボックス サーバーの役割の共存
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/Ff699049(v=EXCHG.141).aspx
 
なお、Exchange Server 2010 では Set-MailboxServer コマンドにて、以下のように SubmissionServerOverrideList パラメーターに発信先 ハブ トランスポート サーバーを明示的に指定することが可能です。

Set-MailboxServer –Identity <ハブ トランスポート サーバーを設定するメールボックスの役割を持つサーバー名> -SubmissionServerOverrideList <ハブ トランスポートの役割を持つサーバー名>
例)
Set-MailboxServer –Identity EX01 -SubmissionServerOverrideList “EX01”
※今回の構成上、マルチロールであるため、上記例では EX01 にメールボックスとハブ トランスポートの役割が存在することを想定しています。

SubmissionServerOverrideList パラメーターに関しては、上述の条件に該当する環境においても有効であり、該当パラメーターに自身のサーバーを設定した場合には、メッセージの発信先は自身のサーバー上の EdgeTransport.exe となります。
この後 EdgeTransport.exe はカテゴライズ処理によって配信、または、転送先を判断しますが、もし配信先が DAG で冗長化されたデータベースで、なおかつ、自身のサーバー上でマウントされている場合には、Active Directory サイト内の別のハブ トランスポートの役割を持つサーバーへ転送します。こちらについても冗長性を持たせるための動作です。
従って、上述の条件のサーバー構成である場合には、同一サーバー内のユーザー間でのメッセージのやり取りにおいても、別のサーバーを経由して配信されます。

なお、SubmissionServerOverrideList を変更していない場合 (既定) は、メッセージを送信した際、既定では別のサーバーに発信され、そのサーバーを経由してメッセージは配信されます。
本動作は、より高い冗長性を維持するための想定された動作となりますが、何らかの理由 (物理的に離れている他サーバーを経由してメールを配信したくない場合など) でルーティングを制御する必要がある場合には、メールボックスとハブ トランスポートの役割を分けた構成にする、または、Active Directory サイトを分けるなどご検討ください。

 
※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。