パフォーマンス チームに聞く: Exchange 2013 SP1 のリリースに伴うサイジング ガイドの更新
(この記事は 2014 年 4 月 3 日に The Exchange Team Blog に投稿された記事 Ask The Perf Guy: Sizing Guidance Updates For Exchange 2013 SP1 の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
Exchange 2013 SP1 のリリースに伴い、お客様からのフィードバックや、マイクロソフト内部における大規模展開の監視結果、SP1 で新規導入または変更されたコンポーネントに関連する要件に鑑み、サイジング ガイドを改訂しました。この記事ではサイジング ガイドの変更点について簡単に取り上げます。また、サイジング ガイドに関する過去のブログ記事 (英語) も、今回の変更を式や表に反映して更新しました。
ここでは、主に 2 つの変更点について説明します。
CAS プロセッサのサイジング
MAPI/HTTP プロトコルの導入を受け、CAS のプロセッサ使用率に関して従来のサイジング ガイドを変更しました。MAPI/HTTP で CAS ロールが処理する要求は、RPC/HTTP でクライアントが生成する要求と比較すると、大幅に急増しています。各接続の処理では無視できない量のオーバーヘッドが発生するため、CAS 全体の CPU 要件も増大し、CAS とメールボックスのプロセッサ コア数の比は 1:4 から 3:8 になりました (50% の増加)。ここで注意が必要なのは、MAPI/HTTP は既定では無効に設定されているという点です。展開の要件や MAPI/HTTP の影響を十分に確認してから有効化したいと考えるお客様が多いのではないかと想定し、このような設計にしています。既定で無効に設定されているため、既存の Exchange 2013 展開環境で CAS 層の CPU リソースをただちに追加する必要はありません。ただし、MAPI/HTTP の評価プロセスおよび展開プロセスの一環として、キャパシティの増強を検討していただくことをお勧めします。マイクロソフトでは、将来的に MAPI/HTTP が Outlook クライアント接続の標準的な手法になるという予想に基づき、CAS プロセッサに関する要件をサイジング ガイドにできるだけ早急に盛り込むことが重要であると考えています。
また、.NET Framework 4.5.1 には、CAS 層の MAPI/HTTP のパフォーマンスとスケーラビリティに大きく影響する重要な修正が実施されています。MAPI/HTTP を使用する場合は必ず .NET Framework 4.5.1 を展開するようにしてください。
Ross Smith IV は、Exchange Server 2013 Server Role Requirements Calculator (英語) にサイジング ガイドの変更点を反映し、バージョン 6.3 に更新しました。
ページ ファイルのサイジング
Exchange のメモリ要件が増加するにつれ、従来のサイジング ガイドで推奨しているページ ファイルのサイジングを実施した場合に、展開環境のパフォーマンスを維持することが徐々に厳しくなってきました。以前のガイドでは、固定ページ ファイルのサイズは RAM 容量に 10 MB を追加したサイズとするように推奨していました。しかし、128 GB 以上の RAM 容量で展開された一般的なサーバーの場合、ページ ファイルのサイズを要件どおり RAM 容量 + 10 MB とすると、スペースの大部分が (通常はシステム ドライブ上で) 使用されてしまうため、十分なメリットが得られないおそれがあります。マイクロソフト内部の大規模な展開環境でページ ファイルの上限を設定して長期間実行した結果を基に、このときと同じページ ファイルのサイズをオンプレミスで展開しているすべてのお客様に推奨することにしました。Exchange 2013 への移行に伴い、今後は RAM 容量 + 10 MB または 32,778 MB (32 GB + 10 MB) のどちらか小さい方が、固定ページ ファイルの推奨されるサイズとなります。この変更によってお客様のサーバーで必要なスペースが解放されれば幸いです。
マイクロソフトは引き続き、お客様から寄せられるフィードバックや内部展開の監視結果を参考にして、サイジング ガイドの改良に取り組みます。また、ガイドを更新した際には、当ブログにてお知らせします。
Jeff Mealiffe
Exchange カスタマー エクスペリエンス担当
主任プログラム マネージャー リード