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Exchange 2013 の容量警告メッセージ

* 警告メッセージの条件について一部修正、並びにお問い合わせ内容の紹介を追加しました。

 

こんにちは、Exchange サポートチームの山木です。

Exchange 2013 をご利用のお客様から、メール ボックスのクォータ制限値を超過したのに、警告メッセージが送信されない、送信される時間帯が不規則、警告メッセージの発行間隔のスケジュールになっても送信されないなどのお問い合わせを頂くことがあります。
警告メッセージとは、メール ボックスに対して設定されたクォータ制限値を超えた場合に、対象のメールボックスに対して制限を超えたことを示す警告メッセージを Exchange が自動送信する機能となります。皆様も一度は警告メッセージを受け取り、あわてて不要なメッセージを削除した経験があるかと思います。

Title : メールボックスの記憶域のクォータを構成する
URL : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/aa998353(v=exchg.150).aspx

Title : Exchange 2013 のメールボックス データベースの管理
URL : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj150580(v=exchg.150).aspx

そこで今回は、Exchange 2013 における警告メッセージの送信動作について説明したいと思います。
Exchange Server 2013 では、Exchange 2010 以前とは動作が変更されており、以下の条件で警告メッセージが送信されます。
 
<警告メッセージ送信条件>
Exchange 2013 では以下の 2 つの条件を同時に満たした状態でユーザーがメールボックスにログオンした際に、格納域のチェックが行われ、警告メッセージが送信されます。

1. 前回の格納域チェック (LastQuotaNotificationTime) のタイミングから 24 時間以上が経過している
2. [警告を表示する使用量]、[送信を禁止する使用量]、[送受信を禁止する使用量] の各クォータ制限値を超過している

そのため、クォータ制限値を超えてもユーザーがメール ボックスにログオンしていなければ、格納領域の警告メッセージは送信されません。
例えば、長期休暇中にクォータ制限値を超えたとしても、休暇中には警告メッセージは送信されず、休暇明けにメールボックスを開いた時点で、警告メッセージが送信されます。
また、既定の警告メッセージの送信間隔 (24 時間) の間にユーザーのメールボックスの容量が変化し、格納領域のステータスが変化してもユーザーへ格納領域の警告メッセージは送信されません。
警告メッセージが送信されない、送信される時間帯が不規則というお問い合わせを受ける背景には、このような Exchange 2013 の動作が関係しています。

続きまして警告メッセージに関してよくご質問頂く内容のご紹介です。

警告メッセージの送信間隔を変更する方法
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格納領域の警告メッセージの送信間隔は既定で 24 時間となりますが、メールボックス サーバーで以下のレジストリを追加いただくことで送信間隔を変更することができます。参考までに変更手順をご案内致します。

<クォータの警告送信間隔変更>
- 変更手順
1. [ファイル名を指定して実行] にて "regedit" と入力し、レジストリ エディタを起動します
2 . 次のレジストリ キーに移動します

HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\MsExchangeIS\ParametersSystem

3. 以下のレジストリを作成します

名前 : MailboxMaintenanceIntervalMinutes
種類 : REG_DWORD
値 : 警告メッセージを送信する間隔を "分" 単位で指定します

4. Microsoft Exchange Information Store サービスを再起動します
注意 : Microsoft Exchange Information Store サービスの再起動中はメールが送受信できなくなりますので、ユーザー様の影響が少ない時間帯に実施ください。

警告メッセージの送信スケジュールについて
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Exchange Server 2013 では、Exchange 2010 で提供されていた、指定した時刻に格納領域の警告メッセージを送信する機能は実装されておりません。
なお、Exchange 管理センターにて表示される警告メッセージのスケジュール設定に関しましては、誠に恐縮ながら設定をいただいても Exchange 2013 環境では動作いたしません。
こちらにつきましては GUI にて設定画面が表示される動作自体が弊社製品の不具合であり、お客様にはご迷惑をおかけしておりますことを、お詫びいたします。

 

データベース スキーマバージョンがもたらす影響
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前述の通り、Exchange 2013 において警告メッセージが正しく送信されるためには、前回の格納域チェック タイミング (LastQuotaNotificationTime) が非常に重要な要素となりますが、データベースのスキーマ バージョンが何らかの要因で正常に更新されていない場合、メールボックスに対するメンテナンス処理 (既定で 24 時間に 1 回) により、メールボックスへのログオンがなくとも LastQuotaNotificationTime が更新される、といった状況が発生します。そしてこの場合、前述の 1 の条件を満たした状態でメールボックスへログオンすることが非常に困難となり、実質的に警告メッセージが配信されない、といった事象に至ることがあります。
なお、データベース スキーマについては以下をご参照ください。スキーマが正しく更新されない要因については特定されておりません。

Title : Exchange 2013 データベース スキーマの更新
URL : https://blogs.technet.com/b/exchangeteamjp/archive/2014/04/07/3626479.aspx

お客様の環境でそのような状態が発生していないかを確認するためには、まず以下のコマンドを実行し、そのデータベースの現在のスキーマ バージョンを確認します。

Get-MailboxDatabase <データベース名> -status | fl CurrentSchemaVersion

続けて以下のコマンドにより、そのデータベースがサポートされる最大バージョンを確認します。
Get-MailboxDatabaseCopyStatus <データベース名> | fl MaximumSupportedDatabaseSchemaVersion

CurrentSchemaVersion が MaximumSupportedDatabaseSchemaVersion と一致していれば、問題ありません。CurrentSchemaVersion の値の方が低い場合には、データベース スキーマが正しく更新されていないこととなりますので、以下の手順で手動アップデートいただくことをお奨めします。

手順
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1. Exchange 管理シェルを起動します。

2. 以下のコマンドを実行し、CurrentSchemaVersion を更新します。

   Update-DatabaseSchema -Identity <DB 名>

3. 次のコマンドを実行し、データベースのマウントを解除します。

   Dismount-Database -Identity <DB 名>

4. 続けて以下のコマンドを実行し、再度データベースをマウントします。

   Mount-Database -Identity <DB 名>

5.Update-DatabaseSchema コマンドを実行した DB 上のメールボックスへ Outlook または OWA でログオンします。

6. 以下のコマンドを実行し、データベースの CurrentSchemaVersion が MaximumSupportedDatabaseSchemaVersion の値となっていることを確認します。

   Get-MailboxDatabase -Status | fl Name,CurrentSchemaVersion

7. 続いて以下のコマンドを実行し、メールボックスの CurrentSchemaVersion が MaximumSupportedDatabaseSchemaVersion の値となっていることを確認します。

   Get-MailboxStatistics -Identity <手順 5 でメールボックスにログオンしたメールボックス名> | fl DisplayName,CurrentSchemaVersion

今回は以上となりますが、Exchange サーバーを構築、運用いただいている皆様において、少しでも参考になりましたら幸いです。
今後も当ブログおよびサポート チームをよろしくお願いいたします。