Exchange 2003 移行ツールキット
(この記事は 2014 年 3 月 10 日に The Exchange Team Blog に投稿された記事 Exchange 2003 migration toolkit の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
Microsoft Exchange Server 2003 は、2003 年 9 月 28 日に市場に登場して以来、メッセージングや共同作業の分野で過去のリリースから優れたエクスペリエンスを継承し、提供し続けてきました。ここでは、Microsoft Exchange Server 2003 のお客様にどのような対応方法が用意されているかをご説明したいと思います。
今日のビジネスの懸案事項としてさまざまなお客様が上位に挙げるのが、データ セキュリティ、コンプライアンス、電子情報開示、モバイル デバイス/個人所有デバイスの活用 (BYOD)、IT 管理といった項目です。Exchange 2003 はメッセージングの分野において先駆的な役割を果たしてきましたが、10 年前の古い機能で今日のビジネス ニーズを満たすことは難しくなってきています。一方、Exchange Online や Microsoft Exchange Server 2013 は、こうした上位の懸案事項に向けて強化された最新のソリューションを提供するとともに、ビジネス ニーズを満たすための付加機能も備えています。Exchange Server のバージョンの比較をご覧いただければ、最新版のプラットフォームに移行するメリットがご理解いただけると思います。
Exchange 2003 からオンプレミスの Exchange 2013 に移行するには、2 段階の手順を踏む必要があります。Exchange Server 2003 からオンプレミスの Exchange 2013 に直接移行する標準の移行パスはないため、段階的な手順が必要となります。Exchange Online への移行の場合は、Exchange 管理センター (EAC) の移行ダッシュボードを利用すれば、オンプレミスのメッセージング システム (Exchange 2003 など) から Exchange Online や Office 365 組織にメールボックスとメールの内容を移行することができます。Exchange 2013、Exchange 2010、Exchange 2007、Exchange 2003 からはメールボックスとメールボックスのデータを移行でき、IMAP メッセージング システムからはメールボックスのデータを移行できます。
移行の計画を立てる際には、直近のニーズに対処することも重要ですが、同時に、メッセージング プラットフォームの将来像についてもしっかりと考慮する必要があります。ここでご紹介する情報や参考資料が、企業のニーズを網羅した意思決定を行ううえで一助となれば幸いです。
Exchange 2003 移行ツールキット
Exchange Server 展開アシスタント
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ee681665(v=exchg.141).aspx
Exchange 2003 - アップグレードと共存のロードマップ計画
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/aa998186(v=exchg.141).aspx
*ここでは、このほかにも移行に関する数多くの参考リンクをご紹介しています*
Exchange Server 展開アシスタントでは、オプションを適宜選択していくことで、Exchange 2010 からオンプレミスの Exchange 2013 に移行したり、Office 365 でホストされた Exchange 環境に直接移行したりすることを選択できます。このブログの最後で、Exchange 2010 と Exchange 2013 による特定の移行シナリオや共存に関する参考リンクをご紹介しています。
Exchange 2013 とそれ以前のバージョンの Exchange Server の共存
Exchange のバージョン |
Exchange 2013 組織の共存 |
Exchange Server 2003 およびそれ以前のバージョン |
サポートされません |
Exchange 2007 |
現時点では、以下のバージョンの Exchange でサポートされます Exchange 2007 Service Pack 3 (SP3) の更新プログラムのロールアップ 13 以上 (エッジ トランスポート サーバーを含む、組織内のすべての Exchange 2007 サーバー) Exchange 2013 の最新の累積更新プログラムまたは Service Pack (組織内のすべての Exchange 2013 サーバー) |
Exchange 2010 |
現時点では、以下のバージョンの Exchange でサポートされます Exchange 2010 SP3 および最新の更新プログラムのロールアップ (エッジ トランスポート サーバーを含む、組織内のすべての Exchange 2010 サーバー) Exchange 2013 の最新の累積更新プログラムまたは Service Pack (組織内のすべての Exchange 2013 サーバー) |
Exchange 2010 および Exchange 2007 が混在する組織 |
現時点では、以下のバージョンの Exchange でサポートされます Exchange 2007 SP3 の更新プログラムのロールアップ 13 以上 (エッジ トランスポート サーバーを含む、組織内のすべての Exchange 2007 サーバー) Exchange 2010 SP3 および最新の更新プログラムのロールアップ (エッジ トランスポート サーバーを含む、組織内のすべての Exchange 2010 サーバー) Exchange 2013 の最新の累積更新プログラムまたは Service Pack (組織内のすべての Exchange 2013 サーバー) |
オンプレミスの Exchange 組織
オンプレミスの Exchange 2007 またはそれ以降をベースとする組織では、ハイブリッド展開の構成が可能です。Exchange 2007 および Exchange 2010 の組織の場合、ハイブリッド構成ウィザードを実行して Exchange 2013 ベースのハイブリッド展開機能をサポートするには、オンプレミス組織に少なくとも 1 つの Exchange 2013 クライアント アクセス サーバーと 1 つの Exchange 2013 メールボックス サーバーをインストールする必要があります。Exchange 2007 および Exchange 2010 環境でハイブリッド展開を構成する場合は、Exchange 2013 クライアント アクセス サーバーとメールボックス サーバーの役割を 1 つのサーバーにまとめて設定することをお勧めします。Office 365 のハイブリッド機能をサポートするには、オンプレミスの Exchange 2013 サーバーすべてに、Exchange 2013 の最新の累積更新プログラム (CU) または Service Pack (いずれか新しい方) がインストールされている必要があります。
Exchange Server と Office 365 for enterprises テナントのハイブリッド展開における互換性については、次の表に記載されている Exchange 2013 ベースおよび Exchange 2010 ベースのハイブリッド展開の要件を参照してください。
オンプレミス環境 |
テナント バージョン v14 での Exchange 2010 ベースのハイブリッド |
テナント バージョン v15 での Exchange 2010 ベースのハイブリッド |
テナント バージョン v15 での Exchange 2013 ベースのハイブリッド |
Exchange 2013 最新 CU |
サポートなし*1 |
該当なし |
サポートあり |
Exchange 2010 SP3 |
サポートあり |
サポートあり |
サポートあり*5 |
Exchange 2010 SP2 |
サポートあり |
サポートなし*2 |
サポートなし |
Exchange 2010 SP1 |
サポートあり |
サポートなし*2 |
サポートなし |
Exchange 2007 SP3 RU 13 以降 |
サポートあり*3 |
サポートあり*4 |
サポートあり*5 |
Exchange 2007 SP3 |
サポートあり*3 |
サポートなし |
サポートなし |
Exchange 2003 SP2 |
サポートあり*3 |
サポートあり*4 |
サポートなし |
注:
1 - Exchange 2013 のセットアップでブロックされます。
2 - Exchange 管理コンソールでテナント アップグレードが通知されます。
3 – 少なくとも 1 つのオンプレミス Exchange 2010 SP2 サーバーが必要です。
4 - 少なくとも 1 つのオンプレミス Exchange 2010 SP3 サーバーが必要です。
5 - 少なくとも 1 つのオンプレミス Exchange 2013 CU1 またはそれ以上 (推奨) のサーバーが必要です。
Office 365 for enterprises
ハイブリッド展開を構成するには、テナント サービスで Office 365 for enterprises テナントと管理者アカウント、さらにユーザー ライセンスが設定されている必要があります。Exchange 2013 でハイブリッド展開を構成するには、Office 365 テナントのバージョンが 15.0.000.0 以上である必要があります。また、Office 365 テナントの状態をサービス バージョン間で移行させないでください。概要については、上記の表を参照してください。Office 365 テナントのバージョンと状態を確認するには、こちらに記載されている「Office 365 テナントのバージョンおよび状態の確認」を参照してください。
より実践的な支援を必要とする Microsoft Premier のお客様には、ワークショップ「Exchange Migration Readiness Assessment (EMRA)」が用意されています。企業の皆様は、マイクロソフトのサービスを利用して、信頼性と安全性に優れたビジネス上のやり取りや共同作業を実現しています。移行期間中、ユーザーに最適なパフォーマンスと可用性を確実に提供できるようにするために、マイクロソフトのサービス部門が移行準備のためのアセスメントをご提供します。
ビジネス向けにカスタマイズされた Exchange Migration Readiness Assessment では、Exchange Server 2010 展開の移行準備に焦点を当てて、Active Directory と既存の Exchange 環境を詳細に分析します。
また、主な分析結果や環境で収集された主要指標の概要をまとめた最終レポートが提示されるので、環境の現状や展開準備の全体的な状況が把握できます。
Exchange Server 2010 Migration Readiness Assessment では、IT 部門のニーズを重視しながら、データ センターと IT 部門の双方のスタッフが適切な移行を実施できるよう、4 日間のオンサイト サービスを行います。このアセスメントは、企業の固有のニーズを満たすよう、以下に重点を置いて設計されています。
オンプレミスのメッセージング環境を事前分析
ニーズに沿った知識の習得に重点を置き、IT スタッフの技能向上と作業準備を支援
既存のオンプレミス展開に関する詳細なレポートを作成
主要な計画指標を提示して、移行と展開を促進
ロードマップを策定し、移行を安心して進められるようにする
Exchange Online の機能サポート準備について対応状況を評価するオプションのコンポーネントを用意
移行を迅速化し、実施件数を増やす
マイクロソフトのサービス部門では、スムーズな移行を目的とした既存環境の包括的な評価を実施します。Exchange Server 2010 Migrations Readiness Assessment を利用することで、Microsoft Exchange Server 2010 のエンド ユーザー エクスペリエンスに影響を及ぼしかねない、コストのかかる移行の不備や遅延の発生を大幅に減らすことができます。
マイクロソフトのコンサルティングやサポート サービスの詳細については、マイクロソフトのサービス担当者にお問い合わせいただくか、www.microsoft.com/services (英語) を参照してください。
参考資料
Exchange 2010 へのアップグレードについて
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/aa998604(v=exchg.141).aspx
Exchange 2003 から Exchange 2010 へのアップグレードについて
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff805040(v=exchg.141).aspx
Exchange 2003 および Exchange 2007 から Exchange 2010 へのアップグレードについて
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff805036(v=exchg.141).aspx
チェックリスト: Exchange 2003 および Exchange 2007 からのアップグレード
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff805038(v=exchg.141).aspx
Exchange Server 2003 から Exchange Server 2007 へのアップグレード
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh757966.aspx
Exchange 2000/2003 を Exchange 2007 にアップグレードする場合のよくある間違い
https://support.microsoft.com/kb/555854 (機械翻訳)
Exchange ActiveSync から Exchange 2010 へのアップグレード
https://blogs.technet.com/b/exchange/archive/2009/12/08/upgrading-exchange-activesync-to-exchange-2010.aspx (英語)
MCS チーム ブログ: Exchange 2003/2007 から Exchange 2010 にアップグレードする場合のクライアント側環境の準備
https://blogs.technet.com/b/meamcs/archive/2010/12/19/prepare-client-side-environment-to-upgrade-from-exchange-2003-to-exchange-2010.aspx (英語)
Exchange 2003 メールボックスからのアップグレード
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd638113(v=exchg.141).aspx
組織から最後の従来の Exchange Server を削除する方法
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb288905.aspx
最初の Exchange Server 2003 コンピューターを管理グループから削除する方法
https://support.microsoft.com/kb/822931
SBS のお客様向け: SBS 2003 から SBS 2011 に移行する場合に、組織から最後の従来の Exchange Server を削除するためのガイド形式チュートリアル
https://social.technet.microsoft.com/wiki/contents/articles/2263.remove-the-last-legacy-exchange-server.aspx (英語)
Exchange Server 2003 をアンインストールする方法
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb125110(v=EXCHG.65).aspx
Office 365 Exchange 管理センターを使用してメールボックス データを移行する方法
https://support.microsoft.com/kb/2798131
Exchange 2003 のカットオーバー移行によるすべてのメールボックスの Office 365 クラウドへの移行 (Outlook.com ヘルプ)
https://help.outlook.com/ja-jp/140/ms.exch.ecp.emailmigrationwizardexchangelearnmore.aspx
段階的な Exchange 2003 の移行によるメールボックスのサブセットの Office 365 クラウドへの移行 (Outlook.com ヘルプ)
https://help.outlook.com/ja-jp/140/ff959224.aspx
マイクロソフト プロダクト サポート ライフサイクルに関する情報 (製品ファミリ別)
https://support.microsoft.com/lifecycle/default.aspx?LN=ja-jp&c2=730&x=15&y=9
Exchange MVP やコミュニティ コントリビューターが作成した Exchange 2003 の移行時に役立つガイド形式チュートリアルの動画の一覧 (YouTube)
https://www.youtube.com/results?search_query=exchange+2003+migration+to+exchange+2010&sm=3
Chris Lineback、Ed Grant
プレミア フィールド エンジニア