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新機能 「送信済みアイテム オプション」 について

こんにちは、Exchange サポート チームの加藤です。
今回は Exchange 2010 SP3 にて追加された新機能 「送信済みアイテム オプション (Sent Items Options)」 をご紹介します。

この新機能によってユーザーは 「送信者アクセス許可」 や 「代理送信アクセス許可」 を使用して送付されたメールを、自身のメールボックスの 「送信済みアイテム」 に表示するかどうか設定することができます。まず、Exchange 2010 SP2 までの動作について説明します。

Exchange 2010 SP2 までの動作


Exchange 2010 SP2 までの動作について、あるシナリオを使って説明します。

組織内に以下の 4 人のユーザーのメールボックスがあります。

ユーザー A
ユーザー B - [ユーザー A] のメールボックスについて 送信者アクセス許可 "Send As" を持っている
ユーザー C - [ユーザー A] のメールボックスについて 代理送信アクセス許可 "Send On Behalf Of" を持っている
ユーザー X

以下のように操作を行います。

ユーザー B が差出人に [ユーザー A] を指定して メール 1 を ユーザー X に送付
ユーザー C が差出人に [ユーザー A] を指定して メール 2 を ユーザー X に送付

このとき、送付されたメールは以下のように、実際の送信者の 「送信済みアイテム」 のみに表示 (保存) されます。

ユーザー B の 「送信済みアイテム」 に メール 1 が表示される
ユーザー C の 「送信済みアイテム」 に メール 2 が表示される
ユーザー A の 「送信済みアイテム」 には メール 1 も メール 2 も表示されない

つまり、ユーザー A は ユーザー B や ユーザー C がどのようなメールを [ユーザー A] として送付していたかを把握することはできませんでした。

Exchange 2010 SP3 での動作


上記の動作について、本新機能では ユーザー A の 「送信済みアイテム」 にも該当のメールを表示する設定が可能となりました。具体的には、ユーザー A は OWA (ECP) の操作画面から、[ユーザー A] として、または [ユーザー A の代理] として送付されるメールそれぞれについて、以下の [ 送信者と差出人のメールボックス ] オプションを設定することで、ユーザー A のメールボックスにおいて該当のメールを確認できます。

[ 送信者と差出人のメールボックス ] : ユーザー B や ユーザー C の 「送信済みアイテム」 に併せて、ユーザー A (自分) の 「送信済みアイテム」 にもメールが表示される

既定では従来の動作と同様である以下の [ 送信者のメールボックス ] オプションが設定されています。

[ 送信者のメールボックス ] : 従来の動作と同様に ユーザー B や ユーザー C の 「送信済みアイテム」 のみにメールが表示される

※注意 : 現時点 (2013/04/10) では上記の設定において [ メールボックスから (From Mailbox)] のオプションを使用することはできません。選択した場合、[ 送信者と差出人のメールボックス ] オプション選択時と同様の動作となります。

ユーザー A から参照する OWA の設定画面は以下のようになります。[オプション] - [すべてのオプションを表示] - [設定] - [送信済みアイテム] から設定可能です。

 

また、上記の設定については Exchange 管理シェルにおいてサーバー管理者側からも設定の確認・変更が可能です。

Title : Get-MailboxSentItemsConfiguration
URL : https://technet.microsoft.com/ja-JP/library/jj884077(v=exchg.141).aspx

Title : Set-MailboxSentItemsConfiguration
URL : https://technet.microsoft.com/ja-JP/library/jj884078(v=exchg.141).aspx

- 参考情報

Title : Messages sent by using the "Send As" and "Send on behalf" permissions are only copied to the Sent Items folder of the sender in an Exchange Server 2010 environment (英語)
URL : https://support.microsoft.com/kb/2632409/en-us

Title : What's New in Exchange 2010 SP3 (英語)
URL : https://technet.microsoft.com/ja-JP/library/jj965775(v=exchg.141).aspx

補足情報 - 送信者アクセス許可 と 代理送信アクセス許可 について


送信者アクセス許可 と 代理送信アクセス許可は以下のように設定方法に違いがあり、それぞれのアクセス許可を使って送付されたメールの表示にも違いがあります。

- 送信者アクセス許可 "Send As"

送信者アクセス許可を使用してメールを送付する場合、受信されたメール上では、差出人として設定されたユーザーの情報のみが表記されます。以下のスクリーンショットにおいては実際には UserB から送付され、差出人を UserA と指定したメールを表示しています。送信者アクセス許可は、サーバー上では、以下の Add-ADPermission コマンドや Exchange 管理コンソールの [代理人として送信するアクセス許可の管理] などから設定することができます。

   

Title : Add-ADPermission
URL : https://technet.microsoft.com/ja-JP/library/bb124403(v=exchg.141).aspx

- 代理送信アクセス許可 "Send On Behalf Of"

送信者アクセス許可を使用してメールを送付する場合、受信されたメール上では、差出人に加え、実際の送信者 (代理人) の情報が併せて表記されます。以下のスクリーンショットにおいては実際には UserC から送付されたメールを表示しています。代理送信アクセス許可は、サーバー上では、以下の Set-Mailbox コマンド の GrantSendOnBehalfTo パラメータや Exchange 管理コンソールの [配信オプション - 代理送信] などから設定することができます。

   

Title : Set-Mailbox
URL : https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/bb123981(v=exchg.141).aspx