SQL Server の歴史を振り返る(第 2 回目)
Microsoft Japan Data Platform Tech Sales Team
坂本 禎尚
リレーショナルデータベースは乱暴な言い方をしてしまえば、データを入れる為の器に過ぎないと言えるでしょう。
もちろん、その器は中に入っているデータを高速に出し入れできて、かつ堅牢であるべしというような要件を兼ね備える必要はありますが。
でも、「使う人にとって究極的に大事なことってそこじゃないよね?」と彼ら(SQL Server 7.0 当時の開発陣)は考えたわけです。
例えるなら、ある器の中に美味しそうな具が沢山入ったシチューがあったとします。
言うまでもなくシチューをデータに見立てての話ですが、そのシチューが入っている器こそがデータベースというミドルウェアです。
その器はどこかに穴があいていたり欠けていたりと危ない部分があっては困りますし、食事を取るのに持ちやすい形である必要はありますが、しょせんは器です。
「いやいや、器の見た目だって料理を引き立てる重要な要素でしょ。」という意見もあるかもしれません。もちろん、その通りです。
しかし、どんなに立派な器だって中に入ったシチューという料理自身が最も重要であることには変わりがありませんし、その料理を食べにくくしてしまうような器では本末転倒だと言うことです。
更に、その器の中に入っているシチューを美味しく頂くためには、スプーンやフォーク、場合によってはナイフや箸といったような食器も必要になってきます。
これらがあって初めて、器の中に入っているシチューを快適に美味しく頂くことができるというわけです。
今から 20 年以上前に SQL Server をリアーキテクトした開発者達は、データベースの中に収まっているデータこそがユーザーにとって最も重要なものであり、ストレージコストばかりかかる宝の持ち腐れデータとして終わらせるのではなく、ユーザーにとって価値ある情報(インテリジェンス)に変えて提供するという部分まで考える必要があると考えたのです。
ですから、SQL Server 7.0 には当時から既に OLAP や ETL と言われるビジネス インテリジェンス領域の機能も製品の中に包含されていました。
つまり、これが上述のスプーンやフォークといった食器にあたります。
その後、ビジネスアナリティクス分野も含めて数え上げるときりがないほどの追加や拡張は行われているものの、データが全ての中心にあってこれを最大限利活用する為のデータ プラットフォーム、これこそマイクロソフトが目指すべき SQL Server という製品の形であるというコンセプトはこの 20 数年の間何一つ変わることなく今に至っています。
SQL Server の歴史を振り返る編は次回が最後になります。