Power BI Embedded って何だろう?
Microsoft Japan Data Platform Tech Sales Team
倉重 秀昭 / Hideaki Kurashige
本記事の内容は、以前の Power BI Embedded について説明したものです。Microsoft は 2017 年 5 月に Power BI サービスと Power BI Embedded の統合を発表しました。 この統合により、1 つの API サーフェスで一貫性のある機能セットが提供されるようになりました。現在は「Power BI Embedded」の管理メニューのみが Azure Portal に残っています。
Power BI Service の兄弟のような位置づけのサービスとして Power BI Embedded があります。Power BI Service は SaaS の BI ですが、Power BI Embedded は ISV が Web アプリケーションやデスクトップ アプリケーションに Power BI レポートを組み込むための Microsoft Azure 上のサービスです。
今回は、この Power BI Embedded がどのようなものかを紹介させていただきたいと思います。
Power BI Embedded とは
Power BI Embedded は、Power BI レポートを Web アプリケーションやデスクトップアプリケーションに組み込んで、社外に公開する時に有効となるサービスです。
「Power BI Embedded を使えば、Power BI Service とまったく同じ操作感でレポートを作成・管理し、社外に共有(公開)できるのでは?」と勘違いされる方も多いのですが、実は違います!
Power BI Embedded と Power BI Service で共通しているのは、「レポート開発にPower BI Desktop を利用できる」という事くらいで、レポート管理の仕組みや認証の仕組みなど、ほとんどの部分は異なる仕組みになっています。
具体的には Power BI Embedded では、レポート開発に Power BI Desktop を用いますが、そのレポートを登録・管理したり、カスタムアプリケーションから呼び出す際には、すべて Power BI Embedded が提供する API 使って操作します。
Power BI Embedded は、「Power BI のレポートをWeb アプリケーションやデスクトップアプリケーションに組み込む」ために提供しているサービスですので、外部アプリケーションと連携をしやすい様に、API 経由で管理する形態をとっています。
Power BI Embedded で利用可能なデータソース
Power BI Embedded では、以下のデータソースを利用可能です。
データソースに関しても Power BI Service と Power BI Embedded では対応状況が異なりますので、検討される場合には、利用したいデータソースが対応しているかどうか確認が必要です。
- Direct Query データソース
・レポートの表示や操作の度に、データソースにアクセスする方式。
・現在は、ベーシック認証が利用可能なクラウドデータソースのみサポートしています。具体的には、以下のようなデータソースを Direct Query データソースとして利用可能です。- Azure SQL Database
- Azure SQL DataWarehouse
- Azure HDInsitht Spark
- キャッシュデータソース
・可視化・分析に必要なデータを内部に取り込む方式。
・Power BI Desktop で接続できるデータソースであれば、どのデータソースであっても利用可能。※キャッシュデータソースに関しては、2016 年 9 月 12 日時点で、データ更新ができないため、注意が必要です。
Power BI Embedded のセキュリティー
カスタムアプリケーションからPower BI Embedded 上のレポートを呼び出しユーザーに公開する場合、以下の2つの部分のセキュリティーを考慮する必要があります。
- Power BI Embedded ⇔ カスタムアプリケーション(呼び出し元アプリケーション) 間のセキュリティー
Power BI Embedded と 呼び出し元のアプリケーションのセキュリティーに関しては、Power BI Embedded 側で、AccessKey と Access Token ベースのセキュリティーの仕組みを提供しています。この Access Key と Access Token を使用したセキュリティーの仕組みについては、以下に詳しく記載されています。Power BI Embedded での認証と承認
- カスタムアプリケーション ⇔ ユーザーのセキュリティー(ユーザー認証)
Power BI Embedded では、カスタムアプリケーションのユーザー認証・認可の仕組みは提供しておりません。ユーザー認証・認可の機能については、Azure AD を使うなど、通常の Web アプリケーション・デスクトップアプリケーションと同じような手法を用いて、独自実装していただく形になります。
Power BI Embedded のライセンス
Power BI Embedded は、Power BI Service とは異なり、レポートに対する「セッション」に対して料金を課す課金モデルになっています。
Power BI Embedded のレポートがユーザーに表示されると、セッションが開始され、ユーザーがレポートを閉じたとき、セッションが開始されてから1時間後のどちらか早い方にセッションが終了します。
Power BI Embedded の具体的な価格については、以下に詳しく記載されていますのでご参照ください。
※ Power BI Embedded の費用は Power BI Service の様にエンドユーザーが支払うのではなく、サービス提供元が購入しエンドユーザーにサービスを提供する形になります。
以上、今回は Power BI Embedded の概要について紹介させていただきました。