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自己紹介 ~ 書籍編 (裏話込み) ~

マイクロソフトの田中達彦です。

MSDNブログを始めたばかりなので、最初のうちはいくつか自己紹介を間に挟みながら、テクノロジーに関する情報発信をしていきます。
今回は、自己紹介の書籍編ということで、今までに執筆した書籍を裏話を交えながら紹介します。

実践プログラミング 入門編
2006年2月発行
ソフトバンク クリエイティブ刊
2000円 + 税

この書籍は、僕自身が初めて執筆した書籍です。
2005年度上半期に電気通信大学で実施した講義をもとに執筆しています。
電気通信大では、2004年から2006年まで、3年間非常勤講師として講義をしていました。
もともとの構想では、最初に行った2004年度の講義をもとに執筆する予定だったのですが、2004年度の講義は初めての講義ということもあり、準備が大変で、書籍にするには時間が足りませんでした。
講義の準備を土日に行い、火曜日に講義を行うという生活を半年続けました。
2年目の2005年度の講義は多少余裕ができて、最初から書籍を意識した講義にすることができました。

それまで雑誌の記事は結構書いていたものの、書籍の執筆に必要な体力と気力は雑誌記事とはケタが違います。
雑誌の記事は無酸素呼吸の運動のようなもので、一気に書いてしまいます。
一方、書籍はマラソンのような有酸素呼吸の運動のようなものです。
長い期間、気力が続かないと完成しません。
本書も、当初予定していた期間よりも、執筆期間が数か月延びてしまいました。

書籍は12の章で成り立っており、それぞれの章が1回の講義に相当します。
本書の執筆は、第1章から順番に書いていったわけではなく、第4章あたりから書き始めています。
講義が2005年7月に終わり、その直後の8月から執筆し、執筆が終わったのは12月です。
4か月も執筆期間にかけていると、最初に書いていた章と最後のほうの章の文体が微妙に異なってきたりもします。
章によってはなかなか筆が進まない章もあり、難産した書籍でした。

ゼロからはじめるプログラミング
2006年9月発行
ソフトバンク クリエイティブ刊
1900円 + 税

この書籍は、電気通信大の講義や、そのときの仕事であった学生向けの仕事を通じ、全くプログラミングの経験がない人の書籍が必要と痛感したことが執筆のきっかけです。
書籍の執筆前には、その時に売れていたプログラミングの入門書を30冊ほど買って、今までのプログラミングの入門書は本当に入門書なのかというリサーチから始めました。
電気通信大で講義をしていたときなので、プログラミングを学んでいるとき、どういう場面でつまづくかというアンケートを学生にしてもらいました。
その頃あった入門書は、知らず知らずのうちに前提知識を必要としていたものが多く、そのような場所がつまづく原因ということもわかりました。
一例を挙げると、入門書にも関わらず「C言語のXXに該当します」という文が平気で書いてあったりします。
それは、著者にC言語の知識があり、それを元に他の開発言語の入門書を書くと、読者もC言語の知識があるという錯覚におちいっているのだと思います。
そのような本を、C言語の知識がない人が読むと、そこでつまづいてしまう訳です。

本書の執筆は、2006年の6月から7月にかけて、約1か月で執筆しました。
僕の場合、書籍の執筆は会社の時間を使わず、プライベートな時間を使って執筆します。
平日の家に帰ってからと土日だけしか使えなかったので、執筆期間に発揮した集中力は、人生の中でも特筆ものです。
最初の書籍である実践プログラミング 入門編の執筆に4か月かかったマラソン書籍に比べると、一気に執筆してしまいました。
おそらく、2回目の書籍の執筆ということで経験値が上がっていたのでしょう。
文体も書きはじめと書き終わりでブレることもなく、一貫した文体で書くことができました。

本書に関しては、見開きの2ページで1つのことを説明するという手法を取っているだけにとどまらず、ページをまたがった文章を作らないということも気にしながら執筆しています。
図や表も、ページレイアウトの中の位置を決めて、そこに入れるようにしています。
イラストっぽいものは、このような図を入れてほしいという原稿を、デザインの人に清書してもらいます。
僕の書いた下手な絵をそれっぽく清書してもらえるので、さすがプロだなと思います。
本邦初公開の僕が書いた元のイラストの例です。
左のイラストが3ページ、右のイラストが203ページのものです。
本書をお持ちの方がいらっしゃれば、見比べてください。

初刷として多めの部数を印刷したにも関わらず市中在庫がなくなり、後述する第2版を出版するまではAmazonの中古で8000円の値段をつけていました。第2版を出版したら、一気に中古の値段が下がってしまいました...

ソフトウェア エンジニアリング講座3 プログラミング (共著)
2007年2月発行
日経BP社
3000円 + 税

本書は、北海道大学で実施していた高度人材育成の講座の関係者が集まって執筆した書籍です。
僕は、この書籍の中の第3章と第5章を執筆しています。
締め切りの時期が「ゼロからはじめるプログラミング」とちょうど重なっており、こちらのほうを先に執筆しました。
執筆期間は2006年の5月~6月です。
このソフトウェア エンジニアリング講座という書籍は全4巻となっており、執筆者が全部で50名くらいでした。

ソフトウェア エンジニアリング講座4 オープンシステム技術 (共著)
2007年2月発行
日経BP社刊
3200円 + 税

この書籍の僕の担当は第3章です。
ソフトウェア エンジニアリング講座3の第3章、第5章と合わせて、約90ページ分を担当しました。
執筆当時、スクリーンショットをWindows Vistaのベータ版を使用して撮影していました。
出版が少し遅れた関係で、ぎりぎりWindows Vistaの製品版を使用してスクリーンショットを取り直すことができました。

ディジタル信号処理の基本と応用 (共著)
2008年10月発行
ソフトバンク クリエイティブ刊
2200円 + 税

当時アカデミック系の仕事をしていて、C#を使用したカリキュラムを増やしたいということで企画した書籍です。
当時の宮城高専(現仙台高専)の本郷先生がメイン部分を執筆されています。

ゼロからはじめるプログラミング 第2版
2009年2月発行
ソフトバンク クリエイティブ刊
1900円 + 税

ゼロからはじめるプログラミングが絶版になってしまったので、新たにWindows Vista + Visual Studio 2008を使用して書き直した書籍です。
内容は初版とほぼ同じです。いくつかのバグを潰したので、完成度は第2版のほうが高くなっています。
おまけの部分も追加しているので、第2版のほうが少しお得です。
この書籍の市中在庫がなくなれば、Windows 7 + Visual Studio 2010で書き直した第3版を出版社に提案したいのですが、まだ市中在庫が残っているようです。

裏話はまだまだ書けるのですが、長くなってしまったので別の機会にします。
今まで執筆した6つの書籍の中でも、ゼロからはじめるプログラミング(第2版も含む)は渾身の作です。
全くプログラミングを知らない学生を採用した時の新人研修にでもご使用くだされば、たいへんありがたいです。

マイクロソフト
田中達彦

Comments

  • Anonymous
    October 03, 2010
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