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Windows の開発でのベータプログラムの必要性

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こんにちは、Windows開発統括部の鈴木です。

マイクロソフトでは、製品開発においてさまざまな形態のベータプログラムを実施し、お客様の声をもとに製品の品質を向上させる取り組みを行っています。

今回はベータプログラムについて、みなさんにお伝えしてみようと思います。

Windowsの開発チームでは全世界共通のベータプログラムが実施されています。しかし、37言語版ある中でベータの段階でリリースされる言語版は英語版、ドイツ語版そして、日本語版のみです。

その理由は、日本市場はマイクロソフトとして重要であり、日本語入力機能などの機能的にも、言語的にも非常に高度な対応が必要となるからです。また、日本には多くのパソコンメーカーがあり、他国のメーカと比べて多機能なパソコンを出荷していますし、ハードウェアメーカーやソフトウェアメーカーも多く存在しますので、早い段階からの検証と対応が必要となります。もちろん、日本市場のお客様が製品品質に対してシビアであることも一つの理由です。

韓国語版、中国語版といった東アジアの他のダブルバイト言語に対してのパイロット言語としての位置づけとしての意味も少なくありません。

Windowsは、まず何語版でもない言語ニュートラルな状態で開発しながら、ユーザーインターフェース部分をそれぞれの言語へ翻訳を行います。つまり、英語版でも日本語の入力ができるし、日本語のフォントがインストールされているので日本語表示も可能です。(もう、みなさんはご存知だと思います)

日本語入力機能関連のプログラムコードのバグは日本語版のみということではなく、全ての言語版のプログラムコード上に反映させなければならないし、日本語表示についても、他の言語に先駆けてダブルバイトにした際の文字列長などの調整が必要となってきます。ですから、早期にベータプログラムを実施し、より多くのユーザーのさまざまな操作や環境で試用いただいて早期に問題を発見し、修正する必要があるのです。

ここまで、ベータプログラムの必要性を説明しましたが、どのようなプログラムが存在するのか説明します。

beta 右の図は、各プログラムの参加ユーザー数をピラミッドで表したものです。

下から、カスタマー プレビュー プログラム、MSDN/TechNet サブスクライバー、テクニカル ベータ プログラム、テクニカル アダプション プログラムの4つです。

カスタマー プレビュー プログラムは マイクロソフト製品ページからどなたでもWindows 7のベータ版をダウンロードして試用できるものです。

MSDN/TechNetサブスクライバーはMSDN / TechNet Plus のそれぞれのサブスクライバーサイトからダウンロードして試用でき、問題点などをディスカッションするコミュニティーが存在します。

テクニカル ベータ プログラム(TechBeta) とテクニカル アダプション プログラム(TAP)はともに招待制となっており、参加には一定の参加要件と実行課題があり、参加者は直接開発チームとのコミュニケーションパスを持ち、ベータの評価時にバグレポートという形でフィードバックを行うことができます。この二つのプログラムをウィンドウズ開発統括部の私たちが米国のチームと一緒に実行しています。

最上位のTAPは特定の企業ユーザー様やパートナー様によりベータリリースよりも前から評価が開始され、企業ユーザー様においては、ベータ製品を実際の企業システムに導入し、業務シナリオでの問題の早期発見、解決、全社展開へのノウハウ蓄積をしていただき、パートナー様においては、ソフトウェア製品の早期対応などパートナー様のビジネスがマイクロソフトの新製品とともにスムースに進めていただけるよう準備していただきます。

相互の契約書の元に、参加企業様とのコミュニケーションは非常に密に行われ、早期より多くの技術情報が提供され、ベータ、RCといったマイルストーンに限らず、中間ビルドが提供され、迅速なバグ修正の確認や他の変更に対して検証をおこなっていだきます。

問題によっては、お客様先へ出向いて問題箇所を特定したり、マイクロソフトのラボでの検証を共同でおこなったり、パートナー様の製品をお借りして再現テストを行ったりします。バグによるフィードバック以外にも、次期製品へのフィードバックをいただく機会もあります。

TechBetaとTAPで寄せられたフィードバックレポートはすべてデータベースに蓄積され、要望など実現しなかったものは、次の製品開発の仕様策定の段階でレビューされます。また、現在実施中のScenario Feedback でも広くユーザー様の感想をお聞きすることによって、次の製品への課題発見の手助けとなりますので、皆様の回答をお待ちしております。

Windows 7の開発も最終段階へ入ろうとしており、まだまだ気が抜けない日々をすごしておりますが、最後までWindows 7が最高の製品になるよう努力し続けていきます。

皆様とともに・・・

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