Tech・Ed スペシャルセッション パネル討論! 「情報漏えい徹底防御」 vs. 「使いやすさの追求」 について
皆さん、こんにちは。小島です。
先週金曜日、大盛況のうちに 4 日間の Microsoft Tech・Ed 2006 Yokohama が閉幕しました。
ご参加されていた皆様、お疲れ様でした。 わたしも、無事にオフィスに戻りました。。
既に、松井がいくつか Tech・Ed の様子を伝えていますが、わたしからは BoF について感想などを書いてみたいとおもいます。
BoF とは??
BoF というのは、「Birds of a Feather」の略で、日本語では「類友」(類は友を呼ぶ) と訳されているようです。 欧米の技術コンファレンスではお馴染みなのですが、日本の Tech・Ed では、今年初めてスペシャルセッションとして本格的に取り入れられました。 BoF は、登壇者と受講者という関係が明確になっている技術セッションとは全く異 なり、特定のトピックに興味を持つ有志やグループがわいわいと集まり、登壇者・参加者の垣根なくカジュアルにディスカッションするセッションです。 まだまだ日本の Tech・Ed 参加者の間では、BoF スタイルに馴染みが薄いのか(?)活発なディスカッションが実現できるくらいにセッションの温度が高まるまでには、少々時間がかかってい たように思えました。
わたしは、今回の Tech・Ed で 1 つの BoF セッションに、お世話役として関わらせていただきました。
8 月 29 日 パネル討論! 「情報漏えい徹底防御」 vs. 「使いやすさの追求」 (前編&後編)
このパネル討論は、個人情報保護法や日本版 SOX 法の法改正により IT でのコーポレート ガバナンス体制の整備が見直されている時代背景をうけて、企業内でのシステム管理・クライアント管理ポリシーが厳しくなっていく中で、エンドユーザーとシステム管理者の間で不協和音がたつ要因となりえる「セキュリティ強化とユーザーの利便性のバランス」について、管理者側 vs ユーザー側という 2 つの視点でディスカッションをしていました。 もちろん、全企業に適応される正しい答えなどない悩ましい問題について議論していますので何かしらの結論が導き出されるものではありませんでしたが、ディスカッションを通して、いろいろな企業の管理者の考え方、いろいろな立場のユーザーの考え方を参加者全員が真剣に聴 き、ときに共感し、ときに共感できない意見に出会って自分の考え方を再確認し、また、新しい考え方を発見するという、気づきの場になっていたように思えます。 討論の内容は、Web News でも取り上げられていますが、この記事で述べられていることだけでなく、参加者の皆さんは個々人でまったく違う感想を持ち帰られたのではないでしょうか。
メインにディスカッションされていた内容ではなかったのですが、セッションの中で、システム管理者が企業内で嫌われ者になってしまう現状についても議論されました。 この議論の内容は、IT Pro オーディエンス部のミッション「IT Pro の皆様をハッピーにする」に大きく関連していることもあり、とても興味深く聞かせていただきました。
システム管理者が嫌わてしまう場面では、「新しいポリシーやシステムを勝手に導入して、ユーザーの生産性を下げさせる嫌なヤツ!」というユーザーの声がよく聞かれるようです。 システム管理者は、経営層や管理職、もしくは部門担当者などユーザー側からあがってきた要望を、既存の技術やソリューションを上手に組み合わせて IT で実現し、そして維持管理する人です。 それにも関わらず、いつしか、天下無敵の管理者権限を振りかざす悪代官かのように、勝手にユーザーに制限を与えている人だと誤解されてしまうケースもあるようです。
それに対して、パネリストの 1 人がお話されていたことは、とても印象的でした。
「新システム導入のリクエストが、ユーザーからあがってくるようになるとシステム管理者とユーザーとの幸せな関係が築けるのではないだろうか。 日本人は、特に新しいものを嫌う傾向がある。 また、新しいシステムを実装すると、一時的に生産性が落ちるのも事実だと思う。でも、 ユーザーが新システム導入により実現できる本当に優先すべきこと、たとえば、セキュアなシステムの必要性を正しく認識していれば、一時的な生産性の減退や多少の不便さはトレードオフとして考え、新システムの導入をすすんでシステム管理者にリクエストできるようになるでしょう。」
システム管理者はユーザーの要望を実現する人だということが企業内できちんと認知されたら、たしかに本当に幸せなユーザーとの関係ができるのでしょうね。
そんなことを思っていたら、ふと、以前コミュニティの勉強会に参加したとき、NT-Commietee2 の福原さんがおっしゃっていたことを思い出しました。
「システム管理は、コンピュータを管理するだけではなく、人と人とをどう結びつけるかを考えることである。 」
システム管理を兼務されていた福原さんは、当時、本社から離れた分室でお仕事されており、本社のネットワークから隔離されてしまっている状況をオフィスの皆さんと嘆いていたそうです。 そして、分室にいる社員の皆さんを、なんとか本社のネットワークに繫げたいとご尽力されたそうです。
かっこいいですよね。 この言葉とエピソードを聞いたとき、本当に感動しました。
システム管理者は、ユーザーの皆さんの快適な職場環境や、機密情報保護のような会社にとって重要なミッションを IT で実現する素晴らしいお仕事をされている IT ヒーローだと思います。
TechNet Online 担当のわたしとしては、システム管理者の皆さんがユーザーさんたちに感謝されたり喜んでもらえるシステムを構築する時に役立てていただける技術情報やソリューションを、しっかりと TechNet でご提供していかねばと、あらためて強い使命を感じました。