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コラム: プロジェクトポートフォリオ管理

こんにちは。ここ数日は、底冷えする寒さと断続的な雨で結構体調を崩されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。実は私も多少風邪気味なのですが、そんなときはビタミンCの力で何とか乗り切ることが多いです。

プロジェクト ポートフォリオ管理(以下、PPM)は、プロジェクトや組織を横断的にプロジェクトの状況(主に、各種のリソースや資産)を把握し、投資や改善ポイントを検討したりするものです。プロジェクトや組織を横断した見える化ですね。

では、PPMを行う必要があるのはどういった組織や人たちであるか・・・ですが、大きく分けてしまうと2つになるかと。

ひとつは、複数の開発プロジェクトをもつシステムを開発側(一番わかりやすい例は、SIベンダーですね)。もうひとつは、システムをもっている発注者側(一番わかりやすい例は、情報システム部門ですね)です。

開発側としては、複数の顧客の複数の案件を常に実施している状況であるため、各プロジェクトの状況としてだけではなく、プロジェクト横断的な状況を的確に把握し、迅速に判断する必要があります。極端な話ですが、失敗しているプロジェクトにより多くのリソースを配置するべきか、はたまたその失敗しているプロジェクトを止めてしまうかといった判断は、どちらにせよ迅速に行わないといけないわけです。

発注者側としては、自社のシステムを複数のベンダーに開発依頼を行っていたり、自社開発を行っていたりするわけで、これまた、プロジェクト横断的に進捗や投資配分を把握し、迅速に対応していく必要があります。

しかしながら、このPPM、そう簡単に実践するのは難しいですよね?理由のひとつは、個々のプロジェクトの管理(プロジェクトの進捗管理もさることながら、リソース管理や資産管理(構成管理、変更管理なども含む))だけでも大変なものです。これらを個々のプロジェクトで行っていないと横断的に収集したデータの信頼性が落ちてしまう(現実と乖離してしまう)という事態にもなりかねません。

PPMは、大事なのですが、まずは、個々のプロジェクトの管理が基本となっていることは抑えておかないといけないポイントではないでしょうか。そのためには、現状、ライフサイクル管理がどの程度実践できていて、どういったデータを収集できるのか、それらからどのような測定が行えるのかを把握し、PPMを行うにあたって必要十分な収集が行えているか、行えていないならば何を行う必要があるのかを見極めて、改善を段階的に行っていくことが求められてきます。

PPMをあるシステムを導入し実践しているが、それとは別にプロジェクト管理は他のツールを使っている、この二つは連動していないといったことがないようにする必要もあります。二重管理は、それによる開発生産性への阻害とデータの信頼性の低下につながりかねないためです。せっかくしっかりやっているのにもったいない・・・なんてことにならないようにすることも大切ですね。

PPMを徹底している会社というのももちろんあるわけですが、他国ですが、非常にドラスティックに実施している事例もあります。インドの会社では、勤務実績記録がそのままプロジェクトの管理へ、そしてPPMへ引き渡される仕組み(仕組みとはシステムがあるというだけではなく、プロセスやそれを順守するルールと教育も含めたもの)が確立されていて、「記録しない→給与に影響」という図式も成り立っているそうです。

さまざまな業務が IT 化されていく中で、IT システムを開発している開発業務が実は一番 IT 化が進んでいないのではとも言われていますが、それは、業務の複雑性などからもくるわけですが、よりビジネスとして確立し、それに伴い IT 化が進んでいくことは、現場で働く開発者の方々にもより能力を発揮できる環境が整うことを意味しています。

ながさわ