【機能比較】 MED-V v.s. XP Mode
2010 年 4 月の新着情報にもありますが、Windows 7 と日本語環境での動作に対応した Microsoft Enterprise Desktop Virtualization 1.0 SP1 がリリースされました。 現状、Windows 7 で利用できるデスクトップ仮想化ソリューションは MED-V と Windows XP Mode の 2つが選択可能となっています。
MED-V 1.0 SP1
https://www.microsoft.com/japan/Virtualization/solution-product-vpc.mspx
Windows XP Mode
https://windows.microsoft.com/ja-JP/windows7/products/features/windows-xp-mode
それぞれの製品の推奨される利用シーンは下記の通りです。
XP Mode の利用をお勧めするシーン
・個人利用や、SOHO環境などユーザーレベルでの管理が行える環境での利用
・小規模環境 (クライアント PC の台数が250台未満程度) での利用
・検証環境として利用
MED-V の利用をお勧めするシーン
・企業などで多くユーザーが仮想デスクトップを利用
・中 ~ 大規模環境 (クライアント PC の台数が 250 台以上)での利用
・Windows 2000 や Windows XP (SP1、SP2) を、仮想デスクトップの OS として利用
・仮想デスクトップ環境の展開管理を一元管理
・仮想デスクトップ上の特定アプリケーションだけをユーザーに使わせたい
・特定の Web サイトのみを仮想デスクトップ側のブラウザで表示させたい
・仮想デスクトップのセキュリティ更新プログラム適用やアンチウィルスのパターンファイル更新を一元管理したい
では、仕様や機能面を比較してみたいと思います。
(MED-V 1.0 SP1 の仕様で比較します。将来提供予定のMED-V 2.0 では仕様が変更される可能性があります)
両製品の違いについて
MED-V と XP Mode の一番大きな違いは、 管理機能と展開機能の有無 になります。
(1) 管理機能
XP Mode は基本的にスタンドアロンの環境での利用を想定しており、集中管理の機能を持ちません。仮想デスクトップの各種設定や、仮想側 / ホスト側どちらの環境を使うかはユーザーが判断する必要があります。
逆に MED-V は集中管理の機能を有し、ポリシーベースで様々な設定の一元管理とホストへの適用を実施可能です。
MED-V と XP Mode の管理機能を比較すると以下の表のようになります。
下記のような様々な設定を仮想デスクトップに適用することが可能です。
MED-V の環境ではユーザーはホスト側、仮想デスクトップ側を意識しない、シームレスな環境として利用可能になります。これはセキュリティ面でも大きなメリットになるかと思います。
(2) 展開機能
XP Mode は Microsoft の Web サイトより、Windows XP SP3 の 仮想 OS イメージをダウンロードして、ユーザーが個別にカスタマイズして利用する形になっています。Web からダウンロードした仮想 OS イメージには再配布権がありませんので仮想 OS をカスタマイズして仮想 OS イメージをユーザーに展開することはできません。
MED-V は仮想デスクトップのイメージをあらかじめ作成してマスタリングし、そのイメージをユーザーに配布して利用することが可能です。また仮想デスクトップの 展開~更新~利用終了までのライフサイクル管理をすべてのフェーズでサポートします。
さらに MED-V では、どのユーザーにどの仮想デスクトップを配布するのかも制御ができますので、業務ごとに最適化された仮想デスクトップを特定の利用者にのみ配布することも制御可能になっています。
ここまでMED-V と XP Mode を比較してきましたが、個人が自宅で使うような用途であれば XP Mode は既存のアプリケーションを動作させるうえで非常に有効なソリューションです。
しかし、企業で XP Mode を使用する場合には、仮想 PC の集中管理ができないため、仮想 OS の導入や展開、アップデート、不要になった場合の回収の方法など管理作業をユーザー自身で行う必要が出てきます。この場合、ユーザーを介すことによるコスト増が避けられませんし、一度展開した仮想 OS を削除するなどの徹底も困難になるためいつまでも社内に Windows XPが存在し続けるリスクが発生します。以上のことから、導入展開の手法や運営方針をご検討いただき、手作業での管理が可能な範囲までなら XP Mode で対応し、それ以上の台数をある程度の規模で展開する場合には運用を集中管理できる MED-V を導入するというように適切な製品をご選択いただきたいと思います。