ドキュメント セットの紹介
原文の記事の投稿日: 2011 年 10 月 19 日 (水曜日)
こんにちは、Quentin です。本日の投稿では、興味深い新しいコンテンツ タイプを紹介します。これはマルチ ドキュメント ベースの作業生産物を整理するためのアーキテクチャ コンポーネントとして使用されます。ドキュメント セットはドキュメントとサイトの間に位置します。ドキュメント セットは、共同作業の対象となる一群の関連ドキュメントがあるときに使用できますが、まったく新しいドキュメント ライブラリやサイトは必要ありません。ドキュメント セットが共同作業用のワークスペースを提供するので、ユーザーはそこで一群の関連ドキュメントを操作できます。SharePoint 2010 のリリース以降、Microsoft の社内および顧客によってドキュメント セットがさまざまなシナリオで使われているのを目にしました。たとえば、研究プロジェクト、ソフトウェア開発仕様、ナレッジ マネジメント リポジトリ、ユーザビリティ研究などです。
ドキュメント セットはフォルダーに似ていますが、ドキュメント セットにアクセスすると、カスタマイズ可能な Web パーツ ページが表示されます。ドキュメント セットにドキュメントをアップロードすると、それらのドキュメントはドキュメント ライブラリ ビューと同様に機能する Web パーツ内に表示されます。ドキュメント セットのいろいろな機能によって、関連ドキュメントのプロジェクトに対する作業が迅速かつ容易に行えるようになります。以下に、これらの機能をいくつか列記します。
- 共有メタデータにより、ドキュメント セット内のすべてのアイテムに対して同じメタデータが適用されます。
- ドキュメント セットの作成時に既定のドキュメントを自動的に準備できます。
- ウェルカム ページという Web パーツ ページにドキュメント セットのコンテンツを表示できます。また、このページをカスタマイズして、ドキュメント以外の情報も表示されるようにできます。
ドキュメント セットは、管理対象外のものを管理しやすくすると共にコラボレーションとメタデータをドキュメントの作成と管理に持ち込むことで、私たちのドキュメント管理構想全体にうまく適合します。ドキュメント セットは、コンテンツの整理と検索に使用できます。ドキュメント セットによって、ドキュメントのグループ化と関連付けが容易になります。ドキュメント セットは、ドキュメント セット自体およびその中のドキュメントのメタデータの列を使用することを助長します。共有列により、ドキュメント セットのメタデータが内部のすべてのドキュメントに適用されます。ドキュメント セットのプロパティをドキュメント セットのウェルカム ページに表示すると便利です。ドキュメント セットを使用すると、関連ドキュメントのグループに対する作業が迅速かつ容易に行えるので、時間とコストの節約になります。
私たちは Microsoft の社内と顧客の両方で観察されたシナリオに基づいてドキュメント セットを構築しました。たとえば、Office チームでは機能に組み込む製品のパーツを系統立てて整理しており、機能ごとにその機能に従事したチームが存在します。これらの機能には、仕様、開発計画、およびテスト計画があります。ドキュメント セットを使用すると、必要なドキュメントの作成と機能ごとのドキュメントのコレクションの管理が容易になります。
顧客の側にも同じようなシナリオがあることがわかりました。たとえば、販売提案書では、プレゼンテーション、スプレッドシート、および販売契約書が必要になります。こうしたケースでは、各アイテムを個別に管理するのでなく、メタデータを共有し、アイテムのコレクションに対してワークフロー プロセスを実行しなければならないことがあります。私たちは、パートナーと顧客がドキュメント セットを採用し、それぞれの垂直シナリオごとにドキュメント セットをカスタマイズして、重要なプロセス (たとえば、ケースや研究プロジェクトを管理する) をサポートすることを期待しています。
ここまで、ドキュメント セットを何に利用できるのかを手短に述べてきました。以下では、ドキュメント セットの主要機能について簡単に説明することにします。
ウェルカム ページ
ドキュメント セットにアクセスすると、ドキュメント セットが典型的なフォルダー ビューとは違うことに気付くはずです。ドキュメント セットにはカスタマイズ可能なウェルカム ページがあります。このページには、既定でドキュメント セット プロパティ Web パーツがあります。コンテンツ タイプのドキュメント セットの設定ページから、この Web パーツにドキュメント セットのどの列を表示するかを指定できます。また、ドキュメント セット コンテンツ Web パーツもあり、ここにはドキュメント セットに追加されたドキュメントが表示されます。
これはカスタマイズされていないウェルカム ページの例です。いくつかのドキュメントがあります。
これはカスタマイズされたウェルカム ページの例です。画像が変更され、メモ掲示板が追加されています。このウェルカム ページはリスト内の特定のコンテンツ タイプのすべてのドキュメント セットで共有されているので、変更はすべてのインスタンスに反映されます。これにより、ウェルカム ページへの変更が迅速かつ容易になります。なぜなら、既存のドキュメント セットに即座に更新が行えるからです。
利用可能なコンテンツ タイプ
ドキュメント セットに利用可能なコンテンツ タイプを選択できるので、ドキュメント セット内で使用できるコンテンツ タイプを制御できます。
既定のコンテンツ
新しいドキュメント セットの作成時に自動的に作成されるようにするドキュメントを指定できます。既定のドキュメントを指定できるので、特定のドキュメント セットに対してユーザーが使用するテンプレートを制御できます。これにより、使用するテンプレートを見つけてアップロードするための時間が節約されます。もちろん、ユーザーは各自のドキュメントをドキュメント セットにアップロードすることもできます。
共有列
ドキュメント セットの列を、そのドキュメント セット内のすべてのドキュメントで共有できます。そうすれば、その列は読み取り専用になるので、値の変更はドキュメント セットのプロパティを編集することによってのみ可能になります。これにより、ユーザーの時間が節約されます。なぜなら、ユーザーはメタデータを 1 か所で変更すればよく、それによってドキュメント セット内のすべてのドキュメントで更新されるからです。これはメタデータの一貫性を保証することにも役立ちます。共有列を使用すると、すべてのドキュメントに確実に一定のメタデータを持たせることができるからです。
送信
サーバーの全体管理で指定された送信場所をドキュメント セットに利用できるので、構成済みのコンテンツ オーガナイザーにドキュメント セットを送信できます。また、ワークフロー アクションを使用しても、コンテンツ オーガナイザーにドキュメント セットを送信できます。コンテンツ オーガナイザーは、メタデータに基づいてコンテンツをフォルダー、ライブラリ、または他のサイトに転送するためのものであり、SharePoint 2010 の新機能です。
カスタマイズ可能なリボン
SharePoint 2010 での主要な改善点の 1 つにリボン インターフェイスがあります。これは Office クライアント アプリケーションで使用されるリボンに似ています。ドキュメント セットには独自のリボンがあり、送信、削除、バージョンの取得などの操作を遂行できるようになっています。このリボンをカスタマイズして、新しいコマンドを追加することもできます。
バージョン管理
ドキュメント セットには独自のバージョン管理機能があり、チェックイン済みバージョンのドキュメントおよびドキュメント セットのプロパティのスナップショットを取得するために使われます。
ワークフロー
ドキュメント セットは、ドキュメントのコレクションに対するワークフローをサポートしています。SharePoint Designer では、バージョンの取得、承認処理の開始など、ドキュメント セットに固有のワークフロー アクションをいくつか利用できます。
まとめ
ドキュメント セットは、プロジェクト ベースの作業で関連ドキュメントを系統立てて整理するための優れた方法です。ドキュメント セットは、カスタマイズ可能で共同作業をサポートする環境を提供し、これを使用することによってマルチ ドキュメント ベースの作業生産物のニーズに対応できます。ドキュメント セットは、中核的な情報アーキテクチャ コンポーネントでもあり、これを使用することによって研究ノートブック、販売提案書、製品仕様書などの概念を表現できます。ドキュメント セットは、自動的なテンプレートの準備、一群のドキュメントの共同作業、およびドキュメントに関する情報 (メタデータのプロパティなど) の共有を容易にします。
ECM ブログの RSS フィードを購読し、このブログを読み続けてください。私はこれからもドキュメント セットについての記事をブログに投稿していくつもりです。そして、カスタム ドキュメント セット コンテンツ タイプの作成とウェルカム ページのカスタマイズについて説明しようと思っています。
Quentin Christensen
ドキュメント/レコード管理、プログラム マネージャー
これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は「Introducing Document Sets」をご覧ください。