Red Hat Summit 2017 におけるマイクロソフト関連セッションのまとめ
先週、日本はゴールデンウィークの真っ最中でしたが、そんな中、米国ボストンで Red Hat Summit 2017 が開催され、12のキーノート、約300のセッション、100社を超えるパートナー企業が協賛、70ヶ国から約6000人の参加者が集結しました。今年のテーマは、IMPACT OF THE INDIVIDUAL。個人の選択と貢献がとても重要で、さらにコラボレーションによってインベーションが生み出されるという内容で、エンタープライズアプリケーション開発、IT オートメーション、コンテナとマイクロサービスなどのトレンドや新テクノロジーの紹介がなされました。
サミットでは、クラウドネイティブなコンテナベースアプリケーションを開発するにあたって、チームの共同作業、開発ワークスペース管理、アプリケーションのコーディング/テストなどを行える無料のオンライン開発ツール、OpenShift.io の発表、および、マイクロサービスをハイブリッド クラウド環境で迅速に開発するためのランタイムである OpenShift Application Runtimes の発表などが行われました。
そして、キーノートでは今年もマイクロソフトが登壇、SQL Server や .NET Core と OpenShift on Azure の統合デモや Microsoft Azure の最新情報と事例の紹介が行われました。
Jim Zimmerman (Senior SDE, Tech Evangelism and Development, Microsoft) と Steve Pousty (Lead Developer Evangelist, OpenShift Online, Red Hat) による統合デモ (約 12 分)
[embed]https://youtu.be/ot6Ey1DdpRQ?t=36m32s[/embed]
要点
- DayTrader ポータルおよび Skype Bot のデモ
- OpenShift on Azure で実行されている SQL Server コンテナの環境を利用。JDBC ドライバーも展開。
- .NET Core で作成されたマイクロサービスのコンテナのビルドを OpenShift で実施、OpenShift がビルドを監視してビルドをプッシュ。
- Azure の ARM Template と Red Hat Ansible Installer Script を利用
- Microsoft Bot Framework と Azure Functions を使った Skype Bot とも統合。Skype にも株価結果を出力できる。
- Windows Server IaaS で動いている .NET アプリをコンテナに移行して OpenShift と連携、スケールアップも実施できる (初公開)
Julia White (Corp Vice President, Azure+Security Marketing, Microsoft) によるキーノート (約 23 分)
[embed]https://youtu.be/ot6Ey1DdpRQ?t=48m43s[/embed]
要点
- オープンソースを使ってデジタルトランスフォーメーションをより早く実装するために、Red Hat + Microsoft で構築するハイブリッドクラウドとそれをサポートするエコシステムが貢献できる
- Microsoft Azure は世界中に 38 リージョン、アプリと地域の法律に対応 (ビデオによる世界中のデータセンター紹介)
- Trusted, Secured, Supported
- Trusted: マイクロソフトはクラウドに関する Trusted principle を構築。プライバシーの例では、マイクロソフトの最大の顧客である米国政府が、ダブリンのデータセンターの顧客データへのアクセスを令状により求めたことに対し提訴、 2 年にわたる裁判の末勝訴、クラウドのプライバシー保護に関する判例を作った。マイクロソフトはプライバシー原則を保護するためにここまでやる。
- Secured: 物理、論理セキュリティはもちろん、Microsoft Intelligence Security Graph と Digital Crimes Unit によりセキュリティをプロアクティブに守っている。昔は顧客からクラウドはセキュリティが不安だと言われたが、いまやクラウドのほうがセキュリティ上安全なのでクラウドに移行したいいわれるようになった。
- Supported: Red Hat とマイクロソフトはミッションクリティカルなアプリをサポートするために 1 つの場所で統合サポートを提供。
- クラウドの時代でもエンタープライズ企業ではハイブリッドクラウドが現実的だがオンプレミスとクラウドという 2 つの異なるシステムを一貫したポリシーと環境で使うことが困難で複雑、かつ高価になりがち。これをRed Hat + Microsoft のソリューションが解決する。
- Active Directory + Azure AD + OpenShift でセキュリティポリシーを統一できる。
- 一貫した開発環境、Azure Stack でオンプレミス/クラウド両方で同じ API が使える。一部の地域や部門でオンプレミス版を使う必要があっても一貫性を維持できる。
- 事例として Catalina 社 (小売チェーン、グローバルで 45,000 店舗を展開) が登壇、毎日 8 億トランザクションにもなる POS メッセージをグローバルで集めて利用するための、信頼できスケーラブルで強力なオープンソース プラットフォームとして、Red Hat on Azure を選択。
- Enable、Integrate、Release、Contribute の 4 つのカテゴリでマイクロソフトはオープンソースに引き続き貢献していく。
- 2017 年は .NET Core 2.0 on RHEL、SQL 2017 on Linux GA、RHEL on AzureStack のリリースが行われる。
- 3,000 人を超えるマイクロソフトの従業員がオープンソースにアクティブに貢献している。この中には Red Hat + Microsoft の統合サポートをしているメンバーも含まれる。
また、ブレークアウトセッションも以下の 8 セッションが行われ、Microsoft Azure, SQL Server on RHEL, .NET Core と Red Hat OpenShift, Ansible, CloudForms との統合や、統合サポートについての紹介、そして関連事例 2 本の紹介 (ボルボとアムステルダム・スキポール空港) が行われました。
(それぞれのセッションスライドPDFが各セッション詳細ページからダウンロードできます)
- Accelerating your journey to Microsoft Azure with Ansible and CloudForms
- Drive into Red Hat OpenShift Container Platform on Microsoft Azure
- Introduction to SQL Server on RHEL and OpenShift
- Microservices and OpenShift with .NET Core and .NET Standard 2.0
- Microsoft and Red Hat Partner and Deliver Integrated Support, a Unique Offering in the IT World
- Run .NET and SQL Server naively on Linux with OpenShift
- [事例] A road to containers at Volvo Cars
- [事例] Schiphol Airport: Sharing the experience of running a multicloud OpenShift integration CPaaS with API management in production
最後に、来年の Red Hat Summit 2018 は 2018 年 5 月 8 日からサンフランシスコで開かれる予定です。今後もますます両社の連携が深まっていきそうな予感のするサミットでした。